by Thomas Hawk

持続可能エネルギーを使った電気自動車を開発するテスラのCEOであるイーロン・マスク氏は、「温暖化は存在しない」と考えるトランプ大統領とは正反対の立場に見えます。しかし、2020年11月のアメリカ大統領選を前に「誰に投票するか」を尋ねられたマスク氏はトランプ大統領に投票する可能性があることを示唆しました。

Opinion | Elon Musk: ‘A.I. Doesn’t Need to Hate Us to Destroy Us’ - The New York Times

https://www.nytimes.com/2020/09/28/opinion/sway-kara-swisher-elon-musk.html

Elon Musk says he may vote for Trump, despite saying climate crisis is existential threat | The Independent

https://www.independent.co.uk/news/world/americas/us-election/elon-musk-vote-trump-president-us-elections-b681470.html

ニューヨーク・タイムズが行ったインタビューの中で、11月の大統領選で誰を選ぶか尋ねられたマスクCEOは、トランプ大統領に投票する可能性を否定せず、「大統領候補の討論会を聞いてみないと何とも言えない」と回答。「多分、人々はバイデンが勝つかどうかを見たいのだと思います。もし彼がうまくやれば、選挙にも勝つでしょう」と述べ、多くの人がバイデン氏を支持する状況について認識した上で、討論の内容によって誰に投票するかを決めることを示唆しました。マスクCEOは自分の政治観を「社会的にリベラルで、経済的には中央、もしくは中央より右寄りかもしれません」としつつも、「はっきりしているのは、共産主義者ではないということです」と説明しています。

マスク氏は、支持母体である共和党が石油産業から大きな支援を受けているにもかかわらず、トランプ大統領は電気自動車を開発するテスラに対し「できる限りの支援をしてくれた」と考えているとのこと。マスク氏は「大統領とは何度も持続可能なエネルギーについて話し合いました。彼が支援的なときもありましたが、結局のところ石油・ガス業界ははるかに大きいため、より彼は大きな支援を受けることができます。電気自動車産業は小さいのです」と語りました。

マスク氏は大統領の諮問委員として気候変動について助言を行っていましたが、トランプ大統領が2017年にパリ協定からの脱退を発表した後に、諮問委員を辞めています。



トランプ大統領の考えはテスラとは正反対のものであるため、両者の意見は一致しないものと見られていましたが、近ごろはよい関係を築いているとのこと。マスク氏はテスラだけでなくスペースXのCEOも務めていますが、トランプ大統領はスペースXとNASAが共同開発した再利用可能ロケット「Falcon 9」の打ち上げに参加したほか……

NASAとSpaceXによるアメリカ初の民間宇宙船の打ち上げムービー&写真まとめ - GIGAZINE



新型コロナウイルスの影響で閉鎖を命じられたテスラの工場に対して、トランプ大統領は「工場を再開させるべきだ」と擁護していました。



マスク氏はその後、閉鎖命令を無視して工場を再開させています。

テスラが閉鎖命令を無視して工場を再開、「逮捕されるとしたら私だけに」とマスクCEO - GIGAZINE



なお、問題の討論会は日本時間9月30日の午前に終了し、その内容についてCNNのニュース番組は「Shit show(クソみたいなショー)だった」と表現しました。

【詳報】「史上最悪のディベート」トランプVSバイデン - アメリカ大統領選挙2020:朝日新聞デジタル

https://www.asahi.com/articles/ASN9Z2QR9N9YUHBI00G.html