「許せない」夫と不倫女のLINEに絶句…妻が奪い取った賠償額

写真拡大 (全2枚)

争族、離婚トラブル、労働問題…弁護士事務所には今日も様々な相談が舞い込みます。そこで本連載では、弁護士法人アズバーズ代表の櫻井俊宏氏が、実際に寄せられたトラブル事例を紹介し、具体的な対策を解説します。 ※プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。

「やっぱり…」妻絶句。不倫が発覚した場合の法律問題

1 LINEに女のとんでもない画像が!?

「じゃあ、出張行ってくる」

「うん、気を付けて。いってらっしゃい」

そういって、夫は家を出ていきました。

「名古屋まで出張なんだ」と聞いたのは8日前のこと。私は今日まで疑いの気持ちを隠し続け、夫を送り出しました。

実は最近、夫が私の目をしっかり見ようとしないのです。それに洗濯物に出したワイシャツには、嗅いだことのない香水の匂いがついています。不安な思いが拭えない私は、先日インターネットでGPSを購入して、夫の車につけました。

さっそく確認してみたら。

「やっぱり…」

夫の車は東北のほうへ向かっていました。

************************************************

一度寝るとなかなか起きない夫。出張から帰ってきた当日、テーブルに置かれたままのスマホをこっそりと手に取り、寝ている夫の指を押しつけてみました。指認証はうまくいき、携帯電話を開くことができました。

「なにこれ!?」

LINEのやりとりを見て、私は絶句しました。

夫と卑猥な行為をしている女の画像がたくさん出てきたのです。男のほうは夫に間違いありません。驚きましたがすぐに冷静になり、夫のスマホの画像ごと私のスマホで撮りました。ほかにも目を覆うようなやりとりと画像が多数あったので、すべて写真に収めました。女のものと思われる電話番号もあったので、それも撮りました。

「『妻とは全然うまくいってなくって』とか書いてる…許せない…」

イメージ(編集部作成)

私は弁護士に頼んで夫との離婚調停を進めつつ、女へ賠償請求の裁判をしました。その際弁護士は、相手にプレッシャーをかけるために、女が縛られた画像をあえて証拠として提出せず「今後LINEに残った画像を提出予定である」と主張しました。

これにより女は「自分の縛られた画像を裁判所に提出されてはたまらない」と思ったのか、すぐに不倫の賠償としては破格の400万円という金額で和解をしてきました。

少しは胸がスッとしました。今後は夫にもとことん責任を追及していきます。

「夫にも相手の女にも慰謝料請求」はできるのか?

2 不倫における慰謝料請求

一般的に不倫された被害者が離婚することになってしまった場合は、賠償金額が総額150万円以上になります。不倫があったものの、被害に遭った方が許して婚姻生活が続く場合だと100万円以下が目安です。

よく依頼者の方にも言われることですが、「意外と少ないな」と思った方も多いかもしれません。

3 不真正連帯債務とは

事例の夫と相手方の女性は、不法行為(民法709条)に基づいて妻から損害賠償を請求される立場にあります。

このようなケースですと、夫と相手の女が一体として行った1つの不法行為に対し損害賠償を請求できるというのが通常の賠償請求の方法です。「夫に対し150万円、相手の女に対し150万円」といった請求はしません。

この一体とした1つの不法行為につき損害賠償を負うことを「不真正連帯債務」といいます。

たとえば150万円の不真正連帯債務を負うと、妻は夫と相手の女に対しどちらにも150万円を請求できます。ただし、どちらが支払ってもよいので、夫または相手の女のどちらかが支払った部分に関しては、一体として債務が減る関係にあります。

なお、不貞相手である相手の女の債務は、不貞という不法行為があったことを知ったときから3年で時効により消滅します(民法724条)。しかし夫の債務は、妻と夫が離婚してから6ヵ月が経過するまでは時効で消滅しないことは注意が必要です(民法159条)。

4 賠償額の基準について

前述のように、賠償額について「そんなに少ないの…」という趣旨をよく伝えられます。

増額するケースとしては、婚姻生活が長く円満に営まれていたにも関わらず不貞をされてしまったこと、実際に不貞の期間が長く頻度が多かったこと、妊娠までしてしまう不貞関係であったこと等があります。裁判における判決の場合、これ以外の要素ではあまり上下しません。

不倫をしているような気配があるのに証拠がなく、証拠を得るために探偵を雇った場合、その分の費用も基本的には認められます。ただし、すでに証拠があり、次なる証拠を探した場合は認められにくいこと、全額が認められるわけではなく相当額しか認められないことには注意が必要です。

「不倫をしてしまいました」謝罪文は証拠になる?

5 不貞行為の証拠

不倫、すなわち不貞行為で損害賠償をするときも、証拠が大事です。

今まで手掛けてきた事件では様々な証拠がありました。たとえば、身体的な関係があったことがわかるような文章が入っているメールやLINE。それを越えて、メールやLINEに性交渉の画像、ときには動画が添付されて残っていることもあります。

なぜか不倫している者同士のメール等の内容は、本件のように過激です。不倫というのは燃え上がるものだからなのでしょうか。それともゲーム感覚だからなのでしょうか。

LINEの場合は、削除されてしまうと復元はほぼ不可能なので、見つけた場合は、のちに削除されてもいいように文章・画像ごとほかのスマホの写真を撮るべきです。「妻の様子がおかしい」と思った被害者の方が家に録音をしかけ、家で行われた不貞行為についての録音がとれた場合もあります。

配偶者に「不倫をしてしまいました」と謝罪文を書かせたとすれば、それも証拠としては効力があります。ただし、「女性と食事をするだけで『不倫』と言うと思った」等とあとで言い訳されないように、性交渉を行っていたという内容を書かせましょう。そして、少なくとも、名前は実際に自筆で書いてもらうとともに、日付を必ず入れましょう。

6 不倫相手の住所がわからない場合

事例の場合、相手方の女の住所がわからないと、最終的に裁判ができないので、弁護士をつけても請求することは難しいです。

これについて、夫の携帯電話から、相手方の女の電話番号が見つかっているので、その電話番号をもとに携帯電話会社に女の住所等の情報を問い合わせることができます。弁護士が弁護士会に申立てをし、弁護士会から問い合わせてもらう方法で「23条照会」と呼びます。これについては10000円程度の費用がかかります。

櫻井 俊宏

弁護士法人アズバーズ代表

中央大学法実務カウンセル