【堀正岳】いますぐできる!自宅のネットが遅いときに確認したい「チェックポイント」 Wi-Fiルーターを床に置いてませんか?

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新型コロナウィルスの影響で自宅でリモートワークが増えたかたも多いと思います。打ち合わせやミーティングといえばテレビ会議、仕事の書類のやり取りも全てオンライン、と仕事の仕方が一変したという人もいるでしょう。

そうなると気になるのが自宅のインターネットの回線速度です。途切れがちで音がつぶれたテレビ会議でお互いにイライラを募らせたり、なかなか目的のファイルがダウンロードできなかったりと、ネット速度が遅いことは大きな足かせになります。

そこで今回は自宅のネットが遅い場合にチェックしたい、初心者には盲点となりがちなポイントについてまとめてみたいと思います。

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まずは「現在の回線速度」を知ろう

まず最初に基本を確認しておきましょう。たとえ最新の高速な光回線を引いていたとしても、パソコンそのものや、つないでいるネットワーク機器が古い場合に、そのスペック以上の性能は出せません。

最近のコンピュータなら問題ありませんが、もし古いパソコンを使っている場合には、ネットワーク機器の速度がどの程度なのか調べておきましょう。たとえば一口にWi-Fiといっても、スマートフォンが普及し始めた頃の802.11gという規格と、現在主に使用されている802.11ac、去年から登場した802.11axといった規格では速度はまったく異なります。

使用している規格はWi-Fiルーターやネットワーク機器本体に書かれていることがほとんどですので、一度確認することをおすすめします。

テレビ会議がよく落ちるひとに質問してみたら、高速な有線接続ではなく、ひと昔古いWi-Fi規格で接続していたなんてことは、意外に起こりがちなミスなのです。

Googleで「スピードテスト」と検索、「速度テストを実行」を押すと回線の速度の計測が始まる

次に、回線の正確な速度も調べておきます。これにはGoogleで「スピードテスト」を検索すると表示されるツールを使うのが楽です。ボタンをクリックするだけで情報をダウンロードする下りのスピードと、アップロードする上りのスピードも測定し、「HD動画を複数ストリーミングできます」といったような、具体的な速度の目安を教えてくれます。

スピードテストは一度ではなく、繰り返し何度か実行します。しかも朝、夕方、深夜、平日や休日といったように、ある程度広く情報を集めておくと回線が遅い場合の問題の切り分けにつながります。

Wi-Fiルーターを床に置いていませんか?

回線を高速に使うにはWi-Fiよりは有線接続が鉄則です。しかしどうしても事情があってWi-Fiを使わざるを得ない場合、気にしたいのはWi-Fiルーターの配置です。

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たとえばWi-Fi機器が邪魔なので、床近くに設置しているという人もいますが、これでは家具などに遮られて無線が届きにくくなります。無線は目に見えませんが、光と同じだと考えてみてください。ランプを置いて部屋中を明るくしているイメージで、Wi-Fiルーターは棚の上といった高い場所から部屋中を「照らせる」ように配置します。

離れた部屋でWi-Fi機器を使う場合は、直線で見通せなければ性能は何割も落ちてしまいますし、途中に存在するものの量によっても影響を受けます。例としては極端ですが、途中に風呂場などがある場合に無線がまったく透過しないといったことも考えられます。ドア一つでさえ、材質によっては無線を通しません。

こうした場合には、他の部屋まで見通せる位置にWi-Fiルーターを配置したり、中継機を使って電波を改善することが可能です。多くの人は一台のWi-Fiルーターでなんとかしようと考えがちですが、離れた部屋のために2台目のWi-Fiルーターを導入するだけでも、大幅な改善が望めます。

家電製品との干渉も

近年、スマートフォンから家電製品、ゲーム機やプリンターに至るまで、さまざまなものが無線を利用するようになったために干渉によってWi-Fiの速度が低下するケースが増えています。

Wi-Fiには2.4GHzと5GHzの2種類の周波数が利用されていますが、この場合問題となるのは、2.4GHz帯です。この周波数はBluetooth機器や家電が利用しているだけでなく電子レンジなどとも干渉しますので、周囲にそうした機械が多くあればあるほど、通信の足かせになります。

自分はそれほど電波を出す機器をもっていないという場合でも、集合住宅などに住んでいれば周囲には無数の2.4GHz帯の機器が存在して、知らないうちにそれらと干渉している可能性があります。

そこで、Wi-Fiルーターを5GHz帯で利用すれば、この問題を避けることができます。ただし、5GHz帯はより直進性が強く、障害物に弱いという特徴があります。Wi-Fiルーターの配置とあわせて調整することが必須です。

有線接続の場合は「ケーブル」をチェック

Wi-Fiは便利ですが、回線の通信速度を十分に使いたいのならば有線接続が基本です。たとえば普段はWi-Fiを利用し、テレビ会議のときだけノートパソコンに外付けのネットワークアダプタを利用して有線接続にするだけでも、体感速度は大きく違うでしょう。

また、念のために確認したいのが接続のために使っているケーブルの種類です。ネットワークを繋ぐために利用されるLANケーブルにはCAT6A、CAT7といったカテゴリが存在し、それによって最大通信速度が変わってきます。たとえば現在の光回線は1Gbpsの速度が出ますが、もしここで最大通信速度が100MbpsのCAT5ケーブルを使っていると損をしてしまいます。

家庭によっては何年もまえに設置したケーブルをそのまま使用しているといったケースもみられます。注意して見たことがないと気づかないかもしれませんが、ケーブルの被膜には直接「CAT.5」「CAT5.e」「CAT.6」といったように規格が印字されている場合がほとんどですので、ケーブルが極端に古いタイプでないかチェックしておきましょう。

LANケーブルの皮膜には直接「CAT5.e」などの規格が書かれていることも/photo by gettyimages

いまケーブルをみなおすのであれば5Gbps、10Gbpsといった高速な通信サービスが普及することを見越して「CAT6A」ケーブルを利用するのがいいでしょう。

それでもダメなら一歩進んだ改善方法も

ここまでは、Wi-Fi機器の設置方法やケーブルといった物理的な環境についてみてきましたが、接続しているコンピュータや端末側でできることもあります。難易度は高めになりますが、ドメイン・ネーム・サービス(DNS)の設定です。

DNSとはいわばネットの住所録で、私たちがネットを使うときに、google.com といったURLを実際のネット上のIPアドレスに変換する仕組みです。

コンピュータはネットを使っている限り一日に何度もDNSに問い合わせをします。しかし、なんらかの原因で、DNSからの応答が遅い場合に、ブラウザでウェプページを開こうとしても一時的に硬直して接続が遅くなることがあります。

もし使っている回線でこうした問題がある場合には、GoogleやCloudFlareが提供しているパブリックDNSを使うと、接続にかかる速度を改善できる可能性があります。

Windows 10の場合「ネットワークとインターネット」からパブリックDNSの設定を変更できる

DNSはWindows 10の場合「ネットワークとインターネット」の設定から「アダプターのオプションを変更する」を選択し、表示されたネットワークアダプタのプロパティを編集することで設定できます。GoogleパブリックDNSの場合はここに「8.8.8.8」と「8.8.4.4」と入力して設定します。

多くの場合、この設定は「DNSサーバーのアドレスを自動的に取得する」になっていると思いますので、元に戻したい場合にはこのチェックボックスを選択します。もしDNSサーバーのアドレスがすでに設定されているなら、トラブルがあった場合に元に戻せるようにメモをしておくのを忘れないでください。

パブリックDNSは必ず速度が向上するとは限りませんが、物理的な接続を改善してもブラウザの応答がよくないといった場合に覚えておきたい選択肢です。効果があるかどうか試してみて、ネットの体感スピードを比べてみてください。

プロバイダの変更も視野に

集合住宅などでインターネットに接続している場合、昼間は快適に使えていたものの、夜になると混雑によって極端に通信速度が低下するという悩みがありがちです。

こうした混雑は集合住宅の共有部分のネットワーク機器か、あるいはネットワークの終端装置の部分で発生していることが多く、問題への対処のしかたもさまざまです。

より高速な新しい回線を引くことが契約上、あるいは物件的に無理な場合には、プロバイダを乗り換えるか、IPv6(IPoE)接続を選択することが選択肢としてあがってきます。

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たとえば特定のプロバイダへのアクセスが集中している場合には、別のプロバイダに乗り換えることで終端装置の混雑を避けることができる可能性があります。ただし、あくまで可能性であって、その地域のネットワークの利用状況や設備の状況次第となりますので、回線を提供している会社やプロバイダに混雑状況について問い合わせてみるのもよいでしょう。

わたしも以前、集合住宅でとある大手の人気プロバイダを利用していたところ一番利用したい夜のスピードがとても遅くなり苦労したことがありました。そこで、同じ地域でサービスを提供している会社を調べ、そこまで利用者が集中していなさそうなプロバイダに変更したところスピードが大幅に改善したことがあります。

もし、プロバイダが対応しているならば、IPv6(IPoE)接続サービスを利用することも検討してみましょう。従来使用されているPPPoE接続が原因となっているような遅延を避け、回線スピードを改善できる可能性があります。

ネットワークは根気強く改善してゆく

機器の配置から回線そのものにいたるまで、ネットワークの速度対策は初心者にはどこから手を付ければいいのかわからない作業です。

ネットワークの利用の仕方、契約している回線、地域、一戸建てか集合住宅かといった事情も複雑にからみあっていますので「設定一つで劇的に改善」ということは期待できません。

だからこそ、ここは根気強く取り組んでみるのが重要です。

まずはWi-Fi機器の配置やケーブルのチェックといった投資が少ないものから初めてみましょう。自分の利用の仕方と、ネットワーク速度の測定結果を照らし合わせて、どこに問題があるのかをしぼりこんでいきます。そうして原因を追求するうちに、問題への理解もしだいに高まってゆくはずです。

順を追って試行錯誤しているうちに、プロバイダの変更や回線の引き直しといったようなハードルの高い対策が必要なのかどうか、感覚が身についてくるでしょう。