突然だが、みなさんにクイズ。こちらが何の建物かわかるだろうか。


何の建物に見える?(画像は習志野地理研究会@narashino_chiriさん提供)

一見すると、何かの商業施設のよう。しかし屋上の看板をよく見てみると...。


市役所だった(画像は習志野地理研究会@narashino_chiriさん提供)

建物の正体はまさかの「市役所」。2015年にJR土浦駅前の建物に移転した、土浦市役所(茨城県)だ。

中には市役所だけでなく、100円ショップのダイソーや、スーパーのカスミなども入っている。とても官公庁には見えないが、駅から近く、買い物もできるとなれば...けっこう便利かもしれない。

この写真は、ツイッターユーザーの習志野地理研究会(@narashino_chiri)さんが、

「お前、本当に市役所なのか...?」

とコメントを付けて、2020年9月21日に投稿。

他のユーザーからは、

「スーパーと100均が併設してる市役所センスいいな」
「居抜き物件の使い方としてはアリとちゃうかw」
「これたまたま、通った時疑ったよ(笑)」

といった声が寄せられ、話題となっている。

東日本大震災をきっかけに移転

Jタウンネットは9月25日、土浦市役所の担当者を取材。市役所がこのような外観になった経緯を聞いた。

担当者によれば、市役所が入っている建物はウララ(URALA)という再開発ビル。全部で3棟あり、そのうち2棟に市の施設が入居している。先述のように、建物内にはスーパーや飲食店など、民間企業の店舗も入っている。


市役所以外に店舗が(画像は習志野地理研究会@narashino_chiriさん提供)

移転のきっかけは2011年3月に発生した東日本大震災。旧庁舎は1963年に建てられ、2015年まで使用されていた。

「旧庁舎は駅から離れたところにあり、老朽化が進んでいました。2011年に東日本大震災が発生した際、耐震性の基準をクリアするのが厳しいと判断したため移転に踏み切りました」(担当者)

昔から移転は検討されていたが、震災をきっかけに話が進んだという。

それと並行するように、当時ウララに入っていたイトーヨーカドーが撤退することに。駅前の空洞化を防ぐため、民間企業含めて「後釜」を探していたが、見つからなかったという。

そこで浮上したのが、市役所のウララへの移転だ。駅前の空洞化の防止、利便性、新庁舎を建てるよりも予算を抑えられるといった理由から移転を決定した。

イトーヨーカドーは13年に撤退し、15年には市役所が移転。イトーヨーカドー時代から改装してはいるものの、シースルーエレベーターや吹き抜けなど、商業施設の名残も随所に見られる。


商業施設の名残が感じられる(画像は習志野地理研究会@narashino_chiriさん提供)

もともと商業施設だった建物に移転したことにより、何かメリットはあるのだろうか。担当者に聞いてみると、

「市役所の手続きに加え、それ以外の飲食関係も駅前で済ますことができます。旧庁舎だと駅から遠く、周辺にあまりお店もなかったので。駅前での活性化に関しては寄与している部分が大きいのかなと思います」

とのこと。

逆にデメリットについては、

「駐車場が、ウララに並列して建てられたマンションや、店舗利用の方との共用なので、場合によっては混雑します。また高齢の方だと、立体駐車場だと事故につながりやすい、分かりにくいといった声が寄せられることもあります」

としている。

担当者によれば、駅前の商業施設へ移転する市役所は全国的にも少なく、移転当初は注目を集めたという。

担当者は庁舎がツイッター話題になったことについて、

「市役所が分かりやすいことと話題になったことは好意的に受けています。事務サービスの方にも力を入れていきたいと思っているので、ハード面・ソフト面ともに住みやすい街、利用しやすい市役所として努力していきたいです」

としている。