年収600万円で家計破綻も…マンション「維持費」の意外と知らない実態 東京23区では月額6万円超の負担に…

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マンションを取得すれば管理費、修繕積立金、それにクルマのある人なら駐車場使用料がかかる。それは知っていても、実際にどれくらいの負担なのかを分かっている人は少ないのではないだろうか。

実は、首都圏ではこの維持費が、平均でも月額5万円以上に達するのだ。それを前提に購入後の生活を考えないと、新居での生活に余裕がなくなって、バラ色のはずのマイホーム生活が色あせたものになりかねない。

首都圏新築マンションの駐車場は2万円台

民間の調査機関である東京カンテイによると、2019年に分譲された新築マンションの管理費、修繕積立金、駐車場使用料は図表1のようになっている。

図表1 三大都市圏別の管理費・修繕積立金・駐車場使用料(単位:円)

(資料:東京カンテイ『マンションのランニング・コスト最新動向』)

首都圏では、管理費が1万9085円、修繕積立金が7826円で、駐車場使用料が2万3563円なので、合計すると5万0474円に達する。近畿圏は3万3802円、中部圏は3万4319円と首都圏に比べると安くはなるとはいえ、それでも決して少ない額ではない。

民間調査機関の不動産経済研究所の調査によると、2019年の首都圏の新築マンションの平均価格は5980万円だから、これを5000万円のローンを組んで買う場合、金利1.0%、35年元利均等・ボーナス返済なしの毎月返済額は14万1142円に達する。

それに、管理費、修繕積立金、駐車場使用料合計の5万474円を加えると、実質的な負担額は月額19万1616円に増えてしまうのだ。

23区の負担は月額6万円以上に…

年収1000万円の人であっても、月額19万1616円の負担だと、年収に占める負担額の割合は23.0%に達する。年収800万円だと28.7%で、600万円なら38.3%になる。

年収1000万円ならそれなりに余裕があるが、年収800万円だと負担感が強くなり、年収600万円ではかなり生活が圧迫され、家計破綻に陥りかねない。

しかも、首都圏の主要都市別の違いをみると、図表2のようになる。

東京23区では、管理費は2万2911円に増え、修繕積立金はさほど変わらないものの、駐車場料金は3万2025円になって、合計の月額負担は6万3112円と6万円を超えてしまう。

図表2 首都圏の主要都市別の管理費・修繕積立金・駐車場使用料(単位:円)

(資料:東京カンテイ『マンションのランニング・コスト最新動向』)

東京23区の新築マンションはやはり不動産経済研究所の調査では、7286万円だから6000万円のローンを組んだとしても、金利1.0%、35年元利均等・ボーナス返済なしの毎月返済額は16万9371円に増える。これに、管理費などの維持費を加えると何と20万円を超えて、23万2483円になる。

マンション購入時にクルマを手放す人も多い

これだと年収1000万円の人でも年収に占める負担割合は27.9%になり、年収800万円は34.9%で、年収600万円なら46.5%。年収1000万円ならそれなりのゆとりがあるものの、800万円ではギリギリの生活を余儀なくされ、年収600万円ではとても生活できないレベルだ。

この月額負担のなかでも、大きな比重を占めるのが駐車場使用料。とくに、東京23区では3万2025円に達する。東京23区でも都心物件になると4万円、5万円になってしまうこともある。

そのため、最近ではマンション取得と同時にクルマを手放す人たちも増えている。都心のマンションであれば、地下鉄などの公共交通機関が充実しているので、クルマがなくても快適な生活を送れると考えるわけだ。そのため、都心の新築マンションでは、世帯数に占める駐車場設置台数の割合を示す駐車場設置率が低下している。

23区の駐車場設置率は3割以下

少しデータは古くなるが、不動産経済研究所の調査によると、首都圏マンションの駐車場設置率は07年の77.3%をピークに、16年には50%を切って45.2%まで下がり、17年上半期には42.2%まで落ちている。

なかでも、東京23区は07年の56.0%をピークに、16年には28.9%と3割を切る水準まで低下している。17年上半期も29.5%だった。

東京カンテイの調査から、18年に首都圏で分譲された新築マンションにおける最寄り駅からの徒歩時間の構成をみると、徒歩3分以内が21.1%で、6分以内が31.7%と、6分以内の合計で半数を超えている。

首都圏ではJR、私鉄や地下鉄が充実している上、ほとんどの駅にはスーパーなどの生活利便施設が揃っていて、クルマなしでもさほど不自由を感じることはないだろう。

首都圏でも郊外の古い団地だと地元の商店やスーパーなどが無くなって、買い物難民が発生しているといった報道を目にすることもあるが、最寄り駅からの徒歩時間の短い物件が多い新築マンションでは、まずそんなことはあり得ない。クルマを手放しても問題はないはずだ。

管理費は小規模マンションほど高い

なお、管理費はマンションの規模や最高階数によってかなり違ってくるので注意しておきたい。

図表3は、首都圏の戸数規模別管理費の平均を分譲年次別にグラフにしたものだ。

図表3 首都圏の戸数規模別管理費の推移(単位:円)

(資料:東京カンテイ『マンションのランニング・コスト最新動向』)

それによると、50戸未満の小規模なマンションほど管理費が高くなっているのが分かる。規模の大小にかかわらず、管理員の人件費などの最低限必要な経費は変わらないので、規模が小さいほど1戸当たりの負担が重くなるわけだ。

逆に500戸以上のメガマンションが50戸未満に次いで高くなっている。多くの世帯で管理費を出し合うのだから、戸数が多くなれば1戸当たりの負担が軽くなるように思いがちだが、規模が大きくなると、その分共用施設が多くなるのがふつうで、管理の内容も多岐にわたる。

たとえば、キッズルームやフィットネス、ライブラリー、ゲストルームなどの管理が必要になり、管理の充実したマンションではコンシェルジュを配置しているケースもある。当然ながら、1戸当たりの負担は重くなる。

戸数規模で管理費は1万円以上違う

それに対して、戸数規模が300戸以上500戸未満のマンションの管理費が最も安くなっている。

50戸未満の月額管理費が2万3111円であるのに対して、500戸以上は2万2776円で、300戸以上500戸未満は1万3082円にとどまる。月額にすれば、最も高い50戸未満と最も安い300戸以上500戸未満では1万円以上の差がある。マンション取得後の生活に大きく影響してくるポイントだけに注意しておきたい。

以上は首都圏の例だが、近畿圏では50戸未満より500戸以上の管理費のほうが高くて月額1万3165円に対して、一番安いのは100戸以上200戸未満の9782円で、両者には3383円の違いがある。

また、中部圏では50戸未満が1万3209円と最も高く、200戸以上300戸未満が1万1055円と一番安くなっている。中部圏では300戸以上の集計はなく、首都圏や近畿圏に比べて、規模による格差は小さくなっているようだ。

最高階数が高いほど管理費も高い?

管理費については、最高階数によっても差がある。基本的には最高階数が高くなるほど管理費が高くなる傾向にある。

図表4にあるように、19年分譲の首都圏新築マンションの管理費は、最高階数20階未満が1万8751円と最も安く、30階以上40階未満が2万7701円と最も高く、40階以上の2万5738円が続いている。

図表4 首都圏の最高階数別管理費の推移(単位:円)

(資料:東京カンテイ『マンションのランニング・コスト最新動向』)

30階建て以上だと大規模マンションがほとんどで、共用施設や管理が充実しており、管理費が高くなるが、40階建て以上だと総戸数が多いためにやや安くなり、30階以上40階未満のほうが1戸当たりの管理費負担が重くなっているものとみられる。

近畿圏でも最高階数20階未満が1万0935円と最も安く、40階建て以上が1万8814円と最も高くなっている。

5〜10年後の増額も想定した計画を

以上のように、管理費負担には総戸数規模や最高階数によって違いがあり、戸数規模が小さかったり、逆に大きくて、最高階数が高いと負担が重くなる。それと同時に、この分譲時の管理費は固定的なものではないことを知っておく必要がある。

20年9月22日付けの「ダマされるな…マンション購入、5〜10年後にやってくる意外な落とし穴」でも触れたように、管理費は人件費などの上昇によって、将来的には引き上げられる可能性が高い。

しかも、修繕積立金については、5年後、10年後の増額が前提の「段階増額積立方式」を採用している分譲マンションが大半なので、やはり大幅な増額が想定される。

取得時には、住宅ローン返済に加えて、管理費、修繕積立金、駐車場料金の負担を考慮して計画を立てることが欠かせない上に、5年後、10年後の負担増もある程度見通しておく必要があるわけだ。

安全な資金計画を立てて、新居での生活をより充実したものにするためにも、シッカリとチェックしておいていただきたい。