新型プロト発表…日産が「フェアレディZ」にこだわり続けるワケ 「温故知新」が自動車業界のキーワード

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どの「Z」を感じたか

9月16日に発表された、日産の新型「フェアレディZ」プロトタイプ。長年スポーツカーを追いかけてきたカー・ガイからすれば、良くも悪くも自分にとってそれぞれ「思い出のZ」を思い出すようなルックスに仕上がっていたのではないだろうか。

ロングノーズ、ショートデッキはZの伝統/日産公式サイトより

近年、クルマ好きが本当にほしいと思うクルマと、自動車メーカーが発表する新型のギャップが激しくなってきていることは、多くのファンが痛感していることだろう。それは一般的に自動車業界が「頭打ち」と言われて久しく、できる限りコスパのいいクルマを作らなければならなくなったという台所事情もある。

だからこそ、ファンは歓喜するが、実際には売り上げにそれほど結びつかない部分に関しては、非常にメーカーもセンシティブになるはずだ。

ボディカラーのイエローはもちろん往年のS30をイメージ/日産公式サイトより

そのようななか、「3リッターV6ツインターボエンジン」「6段マニュアル」を用意した新型フェアレディZは、長年のクルマ好きをゲンナリさせない、改めて「ピュアスポーツカー」とは何かを考えさせるための布石を打ってきたのではないかと思える。

一方で、そのマニュアルシフトが鎮座する内装、そして19インチのタイヤを履いたエクステリアに目を向けてみると、翻って前モデル発表から12年の月日が経ったのだと気づかされる、洗練されたシステムが搭載されている。

12.3インチのデジタルディスプレイに、ディープコーン型の専用ステアリング。ディスプレイは適切なタイミングでドライバーにシフトアップをナビゲートするという。

巨大なディスプレイが前面に/日産公式サイトより

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ゴーンがいなければ紡がれなかった歴史

温故知新、まさにいいとこ取りのピュアスポーツカーとして、日産が送り込んできたのは間違いない。

日産がアピールするのは、S30型をはじめとした、歴代のZをどのように現代風にアップデートしていくか、ということだ。これは日産のみならず、近年の自動車メーカーのトレンドになりつつある、と言えるかもしれない。

S30型は丸目、グリルは新型同様四角だった/photo by gettyimages

日産で言えば、木村拓哉を起用した新型「アリア」 のCMで、歴代の名車とともに新車を走らせることによって、徐々に時代のキーワード化している「ヘリテージ」感を出すことに注力している。

メルセデス・ベンツの「EQC」のCMもそうだ。稀代の名車300SLをはじめ、往年の名車とともに新車を紹介するスタイル。マツダは100周年だからというのもあるが、「R360クーペ」のモチーフを限定車に取り込んでいる。

日産・フェアレディZの歴史に戻ろう。考えてみれば、風前の灯と化していたフェアレディZに再び命を吹き込んだのは、皮肉と言うべきか言わざるべきか、あのカルロス・ゴーン氏である。

2002年、カルロス・ゴーン氏とフェアレディZ/photo by gettyimages

ゴーンがZ32型のフェアレディZを購入し、愛用していたのは有名な話。低迷していた日産のV字回復を果たすうえでグローバル化は必須。その中で、日産の強みになると判断したのが「GT-R(のスーパースポーツ化)」と、「フェアレディZ」だったのだ。

内田誠社長自身も、まごうことなき「Z」のファンであることが、会見中のはしばしから伝わってきた。「デザインはほぼ完成」しているというが、Z33から始まるぼってりとした近代的なデザインが気に入らない人もいるかもしれない。

内田社長とZプロトタイプ/photo by gettyimages

ただ、会見で見ているだけでは、ミニカーを眺めているのと同じ状況である。大事なのは街やサーキットでどう映えるかだ。一刻も早く、街中で「あ、新しいZだ」と楽しい発見ができる日がくるのを楽しみに待ちたい。

日産公式サイトより

日産公式サイトより

日産公式サイトより

日産公式サイトより