イタリアのボローニャで評価を上げ続ける冨安。来季は日本代表と同様、クラブでもセンターバックでプレーすることが濃厚だが、開幕前にほかのクラブから引き抜かれる可能性も?

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イタリアのボローニャで評価を上げ続ける冨安。来季は日本代表と同様、クラブでもセンターバックでプレーすることが濃厚だが、開幕前にほかのクラブから引き抜かれる可能性も?

昨年11月19日に行なわれたベネズエラ代表との国内親善試合を最後に、A代表としての活動がストップしている森保ジャパン(サッカー日本代表)。新型コロナウイルスの影響はまだやみそうになく、2022年カタールW杯アジア2次予選の再開も不透明な状況だ。

そんななか、森保ジャパンが今年10月と11月に設定されているインターナショナルマッチウイーク(各代表チームに用意される世界共通の活動期間)に、ヨーロッパでプレーする選手だけを集めて現地で短期合宿と親善試合を行なうことを模索しているというニュースが飛び込んできた。

もちろんヨーロッパ各国の感染状況や入国制限など、実現のためのハードルは低くない。しかし、現在日本代表候補選手の多くがヨーロッパでプレーしていることを考えると、環境さえ整えば十分実現可能な計画とみていいだろう。

そこで気になるのが、新シーズンを迎えるヨーロッパ組の現状だ。ビジャレアルでプレーする久保建英の活躍ぶりについては連日のように報道されているが、それ以外の選手たちはどのような状況にあるのか。あらためてヨーロッパでプレーする日本代表候補選手の現在を整理する。

まず、久保と同じスペイン組では、森保ジャパン不動のボランチ柴崎 岳が、2部B(3部相当)に降格したデポルティーボから2部レガネスに移籍することが決定した。

きっかけは、森保監督から「3部でプレーする場合は代表に招集できない」と伝えられたことだという。レガネスのホセ・ルイス・マルティ新監督は、3年前にテネリフェで指導を受けた旧知の指導者。柴崎にとっては願ってもない新天地になった。

昨季12得点をマークしてラ・リーガ(1部)昇格に貢献したウエスカの岡崎慎司も注目のひとりだ。現在34歳の岡崎は代表から遠ざかっているが、ラ・リーガで結果を残せば森保監督が心変わりする可能性はあるはず。今季もエイバルでプレーする乾 貴士と共に、ベテラン勢の奮起が期待される。

ちなみに香川真司は2部サラゴサに残留する可能性が高まっている。

一方、イングランドのプレミアリーグでプレーする南野拓実は、昨季の王者リバプールで上々のプレシーズンを過ごしている。

特に今季初の公式戦となったコミュニティー・シールドでは、移籍後初ゴールを決めるなど評価もうなぎ上り。リバプールにはサディオ・マネ、フィルミーノ、モハメド・サラーの"鉄板3トップ"が君臨するが、南野は中盤も含めて複数のポジションをこなせるため、好調を維持できれば出場機会は確実に増えるはずだ。

森保ジャパンのセンターバックふたりがプレーするイタリアのセリエAでは、初年度から右サイドバックとして安定したパフォーマンスを見せたボローニャの冨安健洋が、今季は本職のセンターバックでプレーすることが濃厚とみられている。

ただ、21歳の冨安には他クラブからの引き抜き移籍の噂が絶えず、10月5日の移籍期限まではその動向からも目が離せない。

また、昨季途中からレンタル移籍でサンプドリアに所属する吉田麻也は、プレシーズンから同クラブの練習に合流。現状、今季もサンプドリアでプレーする可能性が高く、特にクリスティアーノ・ロナウド擁する王者ユベントスと対戦する開幕戦は必見だ。

ドイツ組で今夏最大のトピックとなったのが、昇格チームのビーレフェルトにレンタル移籍した堂安 律だ。オランダの名門PSVで出場機会を減らしていた堂安にとっては、心機一転を図っての移籍となる。来年の東京五輪で活躍するためにも、新天地での飛躍は必須だ。

また、同じ昇格組のシュトゥットガルトでプレーする遠藤 航は、プレシーズンマッチでの負傷から復帰し、開幕に向けて調子を上げている。ドイツになじむまでに時間を要した遠藤だが、昨季後半戦はスタメンに定着。今季もレギュラー格として、自身初となるブンデスリーガの舞台に挑む。

そのほか、ブンデスリーガではブレーメンの大迫勇也とフランクフルトの鎌田大地が今季もレギュラーとしてプレーすることが濃厚。また、FC東京から2部ハノーファーに移籍した室屋 成は、同チームで3年目を迎える原口元気と共に1部昇格を目指す。

フランスでは、今季からリーグアンの名門マルセイユに新天地を求めたベテランの長友佑都が大注目だ。そのマルセイユでは代表の右サイドバック酒井宏樹が所属しており、日本代表ふたりが名門クラブの両サイドバックで競演する可能性は十分。

アンドレ・ビラスボアス監督は長友をバックアッパーと公言するが、今季はチャンピオンズリーグにも出場するため、必ず経験豊富な長友が必要とされる時が来るはずだ。

また、ストラスブールの川島永嗣は、正GKの負傷により開幕から2戦連続のフル出場。昨季は第3GK扱いで公式戦の出場がなかっただけに、事態が一気に好転した格好だ。

五大リーグ以外に目を向けると、森保ジャパンの主軸を担う中島翔哉の動向が注目を集めている。昨夏にポルトガルの名門ポルトに移籍するもチームにフィットできず、今回のコロナ禍の中で戦力外に。しばらくは練習にも参加せず去就問題にも発展したが、開幕2週間前にようやく練習に復帰した。

練習不参加の理由はプライベートな問題とみられているが、森保ジャパンの重要な戦力だけに、早期の復調が期待される。

いずれにしても、森保監督にとっては彼らヨーロッパ組が頼みの綱。今後も彼らの動向から目が離せそうにない。

取材・文/中山 淳 写真/アフロ