3連勝の正代(手前)。遠藤(後方左)を土俵下へ吹っ飛ばし、控えていた貴景勝まで転がした!?(撮影・土谷創造)

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 大相撲秋場所3日目(15日、両国国技館)白鵬、鶴竜の2横綱が休場して横綱不在の場所で、関脇(28)は小結遠藤(29)を押し出して三役以上ではただ一人3連勝とした。出場力士では最高位となる両大関がともに敗れる波乱。朝乃山は7月場所を制した平幕照ノ富士(28)の上手投げに屈し、痛恨の3連敗。貴景勝(24)は北勝富士(28)に押し出されて初黒星を喫した。

 道理を引っ込め、無理を通す。けんか四つ。下がりながら左を巻き替えた遠藤にもろ差しを許した正代が、太鼓腹を突き出しておかまいなく前へ出た。

 「いろんな相撲を取れるわけじゃないので。自分の相撲を取ることだけに集中した」

 体と体に間隔をつくり、両腕で相手の胸を強烈に押すと、遠藤はもんどり打って土俵下へ転がり落ちていった。184センチ、170キロ。体格を生かし、立ち合いの爆発力を前へ出る推進力にかえる明快な取り口が序盤戦からさえている。「(巻き替えられても)すぐに足が出ていたのがよかった」。横綱不在の中、三役以上で3連勝は早くも正代ただ一人となった。

 師匠の時津風親方(元幕内時津海)が不要不急の外出を禁止した新型コロナウイルスの対応ガイドラインに違反し、他県を訪れゴルフをしていたことが発覚。場所直前の11日に日本相撲協会から秋場所を謹慎とされた。そんな部屋の空気を一変させる滑り出しだ。

 部屋頭は、連帯感を高めるムードメーカーでもある。アニメ好きの正代は場所前、人類最後の秘境と呼ばれる巨大な縦穴を舞台にした「メイドインアビス」を見て感動。少女とロボットの少年が主人公のファンタジーに「泣きました。部屋の力士にも強制的に見せた。みんな、ぼくが泣いたところで泣いていた」。

 1月の初場所では幕内最下位(幕尻)優勝を飾った徳勝龍と千秋楽まで賜杯を争い、13勝の優勝次点。7月場所も幕尻優勝した照ノ富士と千秋楽まで競った。「まだ序盤。これが後半だったら意識するかもしれないけど。自分のペースで相撲を取っていく」。今度はアニメではなく、初優勝の感動で部屋中のみんなから涙を誘い出す。(奥村展也)