MacBook Pro 13は最強のモバイルノートといえるのか? 今さら聞けないスペックと実力

写真拡大 (全10枚)

最新のMacBook Pro 13は、2020年5月に発表された1年ぶりの新製品だ。
プロセッサーが新しくなっただけでなく、メモリーやストレージなど、基本性能が大幅に強化されている。
MacBook Pro 13は、Windowsユーザーにとても魅力的な製品だ。

そこで今回は、そんなMacBook Pro 13インチの中でも、歴代最強と言われている最上位モデルを紹介しよう。


■下位モデルと上位モデルの違いとは?
MacBook Pro 13のサイトを見ると、「パワーと、どこへでも。」というキャッチフレーズが飛び込んでくる。
高性能、かつ携帯性に優れたノートPCとアピールしている。
MacBook Pro 13は、
・下位モデル
・上位モデル
2つのモデルがあるが、基本性能において大きな差がある。

Thunderbolt 3ポートの数は、上位モデルはポート2つ多く拡張性が高い。
・下位モデル 
Thunderbolt 3ポート×2
・上位モデル 
Thunderbolt 3ポート×4

パソコンの処理能力を左右するプロセッサーは、
・下位モデル  
1.4GHzクアッドコア第8世代Intel Core i5(Turbo Boost使用時最大3.9GHz)、128MB eDRAM
・上位モデル 
2.0GHzクアッドコア第10世代Intel Core i5(Turbo Boost使用時最大3.8GHz)、6MB共有L3キャッシュ

下位モデルは従来同様、第8世代Intel Core i5プロセッサーだが、上位モデルは最新の第10世代Intel Core i5プロセッサーとなる。

さらにオプションのアップグレードを行えば、さらにパフォーマンスを向上させることができる。
・下位モデル 
1.7GHzクアッドコア第8世代Intel Core i7(Turbo Boost使用時最大4.5GHz)、128MB eDRAM
・上位モデル 
2.3GHzクアッドコア第10世代Intel Core i7(Turbo Boost使用時最大4.1GHz)、8MB共有L3キャッシュ

複数のアプリケーションを同時利用する際に欠かせないのがメモリー容量だ。
メモリー量の違いは、各2モデル、4タイプが用意されている。
・下位モデル 8GB(オプション16GB)
・上位モデル 16GB(オプション32GB)

モバイルノートPCでは、コスト削減のため、メモリーは8GBの機種が多く、その状況は現在も変わらない。
メモリー32GBというのは、モバイルノートPCの中でもダントツの大容量であり、MacBook Pro 13としても初めてのことだ。アプリ開発を手掛けるエンジニアは、待ち望んでいたのではないだろうか。

データを記憶するストレージ(SSD)は、
・下位モデル 256GGB(オプション512GB、1TB、2TB)、512GB(オプション1TB、2TB)
・上位モデル 512GB(オプション1TB、2TB、4TB)、1TB(オプション2TB、4TB)
上位モデルは4TB SSDであるため、広大なディスク容量を活かし、動画編集などが快適に行えるだろう。

画像の描画能力に関わるグラフィックスは、
・下位モデル Intel Iris Plus Graphics 645
・上位モデル Intel Iris Plus Graphics
パフォーマンス的には、第10世代Intel Core i5プロセッサーを選択すると、一世代前のモデルと比べて、メーカーいわく最大80%高速であるという。ビデオ編集などで威力を発揮しそうだ。

こうしたプロセッサー、メモリー、ストレージを
最大限までアップグレードすると、
・プロセッサー
第10世代の2.3GHzクアッドコアIntel Core i7プロセッサー(Turbo Boost使用時最大4.1GHz)
・メモリー
32GB 3,733MHz LPDDR4X
・ストレージ
4TB SSD


MacBook Pro 13は、13インチクラスのモバイルノートPCとしては高性能なパソコンではあるが、価格も40万円ほどと高価格にもなる。
市場では安価なモバイルノートPCが10万円程度で購入できる現在、40万円の出費は大きい。
しかし、高価格に見合うだけの性能は備えている。


後ろから見ると、アップルの有名なロゴがある



■キーそのものが改善された新しいMacBook Pro 13
他社のノートPCは軽量化のためにプラスチック筐体が多い。
一方、MacBook Pro 13はアルミ削り出しボディを採用している。
アルミ削り出しボディは、見ための美しさに加え、強度も高い。

MacBookの特徴ともいえるTouch IDは、
指紋認証によるロックの解除だけでなく、Apple IDやApple Payを使った買物もサポートする。
指紋登録は、一度登録を済ませれば、タッチした瞬間に認証される。
ただし、起動時にログインする際は、パスワード入力する必要があるため、この点は以前と変わらない。


右上にある正方形の黒い部分がTouch IDだ


今回のMacBook Pro 13のウリは、やはりキーボードだろう。
従来のバタフライ式からシザー式に変更されたからだ。

実際にキーボードで文字を入力してみると、バタフライ式に比べて、キーのタッチ感が格段に良くなったように感じられる。さらにキーボード全体を見渡すと、矢印キーが逆T字型配列になり、見ための印象も大きく変わった。


MacBook Pro 13のキーボード。矢印キーが逆T字型配列になった


MacBook Pro 13のウィークポイントをあえてあげるなら、Thunderbolt ポート3ポートしか搭載されていない点だ。Thunderbolt 3ポートだけにすることで薄型化・軽量化は実現できたが、外部ディスプレイなどを接続しようとすれば、各種ポートを装備したポートリプリケーターのような周辺機器が必要になる。
あえて各種ポートを残したパナソニックのLet's noteとは対極的な考え方だ。


左がMacBook Pro 13、右がLet’s note CF-SZ5。厚さが明らかに違う


■ベンチマークテストでパフォーマンスが明らかに
MacBook Pro 13のパフォーマンスを知るために、パソコンやスマートフォンの処理能力を測定するベンチマークソフト「Geekbench 5.0」を実行した。

Geekbench 5.0は、
・CPU
・Compute
この2つのベンチマークを測定できる。
CPUは、CPUのパフォーマンスを計測するものだ。
一方、Computeは、GPUを計算に使用したときのパフォーマンスを測定する。


ベンチマークソフト「Geekbench 5.0」の画面。


ここでは比較のために、Let's note CZ-SZ5(型番:CF-SZ5XFMQR)のベンチマークを計測した。
レッツノート20周年記念モデルであり、4年前であれば、最強のモバイルノートPCとの声も高かった機種だ。

MacBook Pro最上位モデルのスペック。
CPU:Intel Core i7-1068NG7 2.3GHz(Turbo Boost時、最大4.1GHz)4コア8スレッド
メモリー:32GB
ストレージ:4TB SSD

Let's note CZ-SZ5のスペック。
CPU:Core i7-6500U 2.5GHz(Turbo Boost時、最大3.1GHz)2コア4スレッド
メモリー:8GB
ストレージ:256GB SSD

○CPUの計測結果
MacBook Pro
Single-Core Score:1370
Multi-Core Score:4935




Let’s note CF-SZ5
Single-Core Score:424
Multi-Core Score:1027




MacBook ProとSZ5を比較すると、MacBook Proが如何に高速なCPUを搭載しているのかがわかる。
シングルコアで約3倍、マルチコアで約5倍、SZ5よりも高い数値が出ている。

○Computeの測定結果
MacBook Pro
OpenCL Score:9174




Let’s note CF-SZ5
OpenCL Score:4401




こちらもMacBook Proのほうが高速だ。およそ2倍も高い数値が出ている。
MacBook ProとLet’s note CF-SZ5は、そもそもOSが異なるため、単純比較はできないが、ベンチマークでは差が出た。


MacBook Pro 13は、今までのモバイルノートPCに比べて、プロセッサーだけでなく、メモリーやストレージが格段に強化されている。実際、ベンチマークソフトを走らせてみたが、かなりのパフォーマンスを持っていることが証明された。
これならメインのパソコンとして十分快適に使えるだろう。


ITライフハック 関口哲司