photo via Pexels

写真拡大

日本でマスク着用が徹底されていると言われるのは、感染拡大防止のためではなく、脆い同調圧力によるものなのかもしれない……。筆者が渋谷の街を歩いていても、以前に比べてマスクをしていない人が増えてきた。

◆日本でマスク着用が徹底しているワケ

 少し前までは、多くの人がコロナ感染に対する恐怖心を抱いていたが、人間の慣れとは怖いもので、コロナの存在が当たり前になってしまい気が緩んできているように思える。新しい習慣でも、それを続けると定着していくのかと考えていたが、どうやらマスク着用については、そうもいきそうにないようだ。

 しかし、それでも多くの人がちゃんとマスクを着けているのは、海外の人からすると不思議な光景なようだ。

 そもそも、日本人にはマスクを着ける習慣があったからという点も大きいと思われるが、今年4月に行われたマスク着用率の調査によると、日本のマスク着用率は81%だった。一方、英国は約15%、ドイツは約25%など低い水準となっている。

 アメリカのマスク着用率は3月では10%未満だったが、ハリウッド俳優が「マスクを着けよう」という写真をSNSに投稿したり、有名な歌手がマスクを着けたままパフォーマンスをしたり、当初メディアの前ではマスクを着けていなかったトランプ大統領がマスクを着けるアピールをするようになったり、コロナによる死の恐怖を煽るメディアなどの効果で現在は約60%まで高まった。

◆「右へ倣え」な国民性

 では、なぜ日本ではこれほど多くの人がマスクを着けるようになったのだろうか。それを知ると、日本人のマスク着用の意識の脆さが明らかになってくる。

 同志社大学の中谷内一也教授らの調査をご紹介しよう。教授らは、海外ではなかなか定着しなかった「マスク着用の習慣」が、なぜ日本では強制されたわけでもないのに多くの人が着用するようになったのか調査を行った。このアンケートは一般人1000人を対象に、3月26日〜31日の間に実施され、マスク着用の意識が、以下のどれと紐づいているか重回帰分析を使って分析した。〈参照:『マスク着用は感染防止よりも同調のため!?』中谷内一也ほか〉

 ・深刻さ
 ・自分への感染防止
 ・他者への感染防止
 ・衝動的実施
 ・同調
 ・不安の緩和

 調査の結果、「人々のマスク着用は、他の着用者を見てそれに同調しようとする傾向と強く結びついており、(中略)自分や他者への感染防止の思いとは、ごく弱い関連しかない」ということがわかった。日本人の国民性がよく現れた結果となったのだ。

◆感染防止への意識は実は低い?

 結局、マスクを着ける理由は「同調圧力」によるものなのだ。街を歩いているときに自分だけマスクを着けていないことへの罪悪感や、テレビを観ているとみんな着けているからといった理由からマスクを着けている。多くの人がマスクを着けていた動機は感染防止ではなく、「行った先で、みんながマスクを着けている気がするから」という圧力によるものだったのだ。

 つまり、仮にニュースでコロナの感染者が増えていることを知っていたとしても、周りの人がマスクを着けなくなったら「まぁいっか」と、自分もマスクを着けなくなる人は多いだろう。それは、とても脆い意識であると言える。

 少し意外だったが、人に感染させたくないから、自分が感染したくないからという理由との結びつきはそれほど現れていなかった。

 ということは、日本においては、マスク着用を促すためには、「感染防止のために着けましょう」というメッセージよりも、「みんながマスクを着用しています」というメッセージのほうが効果的だろう。

 また極端な例えだが、県を跨いだ移動を規制しているときには、「県を跨ぐ移動をしないでください」という注意喚起と同時に、「本日の都道府県をまたいだ移動者0人」などのように、同調圧力を促すようなメッセージを出していると効果的だったかもしれない。