新型コロナウイルス禍は、プロ野球のフリーエージェント(FA)戦線にも影響を及ぼしている。

 今季の“目玉”と見られる東京ヤクルトの山田哲人内野手(28)が9月3日、ついに国内FA権を取得した。しかし、「素直に嬉しい。(中略)今はシーズン中なので、その時期になったらじっくり考えたい」と話すにとどまり含みを持たせた。

「山田の今季の年俸は5億円(金額は推定、以下同)。昨年オフに球団が提示した複数年契約を固辞した時点で、『慰留に失敗、FA移籍は必至』と思われてきました。でも、ヤクルトはイベント興行のプロともいうべき優秀な営業マンをヘッドハンティングしており、球団経営は安定しているはず。さらに高額化しても山田の年俸は払えると思うが…」(球界関係者)

 しかし、それはコロナ前までの話。目下、プロ野球界は「観客上限5000人」という厳しい経営を強いられており、どの球団もかなりの金額の赤字を覚悟している。

「複数年契約に失敗したといえば、中日の左腕・大野雄大(31)も同じ。この投打の大物2人には巨人、ソフトバンク、楽天が熱視線を送っているとされてきたが、コロナの影響で様相が変わりつつある」(同)

 山田は「3割・30本塁打・30盗塁」のトリプルスリーを3度も達成した強打の二塁手。大野も昨季、最優秀防御率のタイトルを獲得した先発左腕。9月1日には球団タイ記録の5試合連続完投勝利を挙げており、球界屈指の完投能力を持つ“タフネス投手”としても評価は高い。

「大野の今季年俸は1億3000万円。複数年契約を断わり、残留の可能性は極めて低くなりました。複数球団が獲得に乗り出すのは確実です」(スポーツ紙記者)

 こちらもマネー戦争は必至と思われていたが、コロナ禍により、大野の望む高額年俸を提示できる球団がなくなったというのだ。

「どの球団も、コロナでどれだけの損失を被るのか、会計士や弁護士などを加えて計算を始めています。前年比でマイナス60億円超を覚悟しなければならないようです」(関係者)

 60億円超という損失の痛手を最も被るのが、阪神だといわれている。だが、阪神は昨季、309万人強の観客を動員し、12球団トップとなったばかり。勝因は終盤戦、3位争いに加わったこと。シンプルに「勝てばお客が入る」ことを証明したわけだが、「観客上限5000人」は12球団一律。そのため、コロナ禍による減額幅は“最も大きい”と見なければならないのだ。

「藤川球児の引退をシーズン途中で発表したのは、興行に結びつけるためともいわれています。入場者の上限が9月末で解除されるとの見通しもありますが、このまま行けば9月中に原巨人のマジックが点灯するのは確実。勝敗に関係なくお客さんを呼ぶ方法として、最後の奉公です」(在阪記者)

 だが、総年俸の大幅な削減は避けられない。福留孝介(43)、能見篤史(41)、糸井嘉男(39)らのベテランが「肩叩きされる」との見方も強い。

「今季は打率1割台と大不振ですが、福留の野球知識は捨てがたい。将来の指導者とも位置付けられており、そうなるとリストラの標的は糸井。4年総額18億円で移籍してきて、今季が最終年。今の成績では大減俸を飲むか、新天地を求めるかの二択です」(同)

 糸井も「フリー」になる可能性が高そうだ。

「山田、大野らは『売り時ではない』と悟り、権利を行使せずに景気回復を待つかもしれません。現役を続けるため、糸井も大幅減俸を受け入れるのではないか」(ベテラン記者)

 だが、オフの契約更改では、実績、チーム貢献度が正当に評価されそうにない。

 また、山田に関して、こんな声も聞かれた。「残留、移籍のどちらを選択しても、大幅アップは見込めない」というのだ。

「山田に対し、他球団の調査が早くから始まっていたせいか『得点圏打率が低い』というマイナスの声も出ています」(前出・関係者)