なぜ株式投資初心者は「短絡的な判断」で大損してしまうのか?

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株式投資をしている人のなかで、ずっと同じ手法を貫いている人はどれほどいるでしょうか。恐らく、巷でいわれている様々な手法を、1回は試したことがある……そのようなパターンが多いでしょう。しかしその投資手法に対して、きちんと検証したことがあるでしょうか。今回、投資手法の検証の重要性と注意点について解説していきます。※本連載では、AI技術を用いた株価予測ソフトを開発する、株式会社ソーシャルインベストメントでトレーダーとして活躍する川合一啓氏が、個人投資家が株式市場で勝ち続けていくための極意について説明していきます。

株式の投資手法…なぜ検証が必要なのか?

株式投資には、様々な手法があります。

分析法ではファンダメンタルズ分析とテクニカル分析がありますし、売買期間でもデイトレード、スイングトレード、バイアンドホールドといった手法があります。また、割安株投資も成長株投資も、逆張りの投資も順張りの投資もあります。そして、分散投資や集中投資、配当金や株主優待に重きを置く投資などもあります。

それぞれに理屈があり、一長一短もあるのでしょうが、それぞれの手法の優劣を検証することは、とても重要になります。そこで、その重要性と注意点について、以下に説明していきましょう。

なぜ「運用成績」は明確にすべきか?

さて、株式投資手法AとBとCがあったとします。最初、Aにもとづいて投資をしていたあなたが、その後にBにもとづいた投資に切り替えたとします。そして、そのまた後に、今度はCにもとづいた投資に切り替えたとします。

この場合あなたは、投資手法A→投資手法B→投資手法Cと順番に実践してきたのですから、最新の手法であるCがもっとも正しいと思いがちです。

しかし、そんなことはありません。

変わってきたのはあなたの考えであって、その効果については、ちゃんと検証すべきなのです。では、どうやってそれを検証すべきでしょうか。それをもっとも正確に示すことができるのは、やはり「数字」になるでしょう。

投資手法Aでの運用成績と、投資手法Bでの運用成績、投資手法Cでの運用成績を明確にして、ちゃんとそれぞれを比較するべきなのです。数字を比較して初めて、それぞれの手法の優劣が明らかになるのではないでしょうか。

データを集めることと数を数えることは、科学の基本です。そしてそれをしないことには、それぞれの投資手法の効果などは検証しようがないはずなのです。

投資家の信念よりも「数字」のほうが正しい

さてあなたは、これまでの実践によって築き上げてきた投資手法Cが、「最も優れている」という信念を持っているかもしれませんしかし、AからCの投資手法ごとに運用成績を比較した場合、あなたが直近で試した投資手法Cが、もっとも好成績なのでしょうか? 

もちろんそうかもしれませんし、そうではないかもしれません。もしそうならば、あなたの信念は今のところ正しいといえます。それを否定する必要はなさそうです。しかし、もしそうでないならば、投資手法Cは今のところ間違っているといえます。

ここで大切なのは、まずそれを受け入れることです。人間は思い込んでしまう生き物です。目の前にある事実を、自分の信念によって見ないようにすることがよくあるものなのです。

単純な例えですが、買った個別銘柄株が下落し、再上昇する気配もないのにずっと持ち続け、さらに下落してしまうケースなどは、そんな例でしょう。「この株を買ったのは間違いだった」という事実を、「また上がるかもしれない」という信念が覆い隠してしまっているのです。

しかし、少なくとも株式投資のような行為に関しては、信念よりも数字の方が正しいといえます。資産を増やしていない投資手法は、よい手法だとはいえないからです。ですからそこに気がつくためにも、数字による検証は不可欠だといえるでしょう。

株式投資は数字がすべて(※画像はイメージです/PIXTA)

投資期間や市場平均を考慮することも必要

しかし一方で、投資成績は多くの変数によって左右されますので、短絡的に結論を出すこともまた戒めなければいけません。

たとえば、10年していた投資手法Aの運用成績が年平均8%で、1年していた投資手法Bの運用成績が年−1%だった場合、投資手法Bは間違っているといえるのでしょうか?

これはまだ早計ですね。もう3年、5年、10年と投資手法Bを続けてみないと、投資手法Aとは比べられないのかもしれません。

また、相場全体の状況だって運用成績には大きく影響します。

たとえば、リーマンショックを挟んで3年間していた投資手法Cの運用成績が年平均1%で、アベノミクスの最初の3年間でしていた投資手法Cの運用成績が年平均9%だった場合、投資手法CよりDの方が優れているといえるのでしょうか?

これもまた早計だといえるでしょう。リーマンショックがありながらもプラスの運用ができた投資手法Cをアベノミクスの時にしていたら、投資手法Dよりも優れた運用成績を残せた可能性もあるからです。そしてこの場合、「日経平均などの株価指数と比較し、市場平均をどの程度上回ったか」を検証の基準にすることが、1つの解決策になるでしょう。

このように、ある投資手法の効果を検証するには、投資期間や市場平均を考慮し、短絡的な結論を出さないことも重要になります。そうしなければ、その手法の真価は測れないからです。

■まとめ 

投資手法の優劣を検証するためには、運用成績を明確にしてそれを比較することが欠かせません。そして、自分の信念によって検証結果を覆い隠さず、素直にそれを受け入れることが重要です。

しかし、短絡的な結論を出さないこともまた重要であり、投資期間や市場平均を考慮した比較も必要になってくるでしょう。

このようにして投資手法の優劣を検証することで、より洗練された手法を見つけていくことができるのではないでしょうか。