東急不動産と鹿島建設が共同開発し、9月14日に開業する「東京ポートシティ竹芝」(東京都港区)。その基幹を担うオフィスタワーがメディア向けに発表会でお披露目された。ここには2020年度中にソフトバンクの本社が移転する予定で、同社社員は9月中旬から移動を開始するという。

9月14日に開業する「東京ポートシティ竹芝」オフィスタワー


○「東京ポートシティ竹芝」とは?

東京ポートシティ竹芝は、2013年に東京都「都市再生ステップアップ・プロジェクト」としてスタート。2015年には"世界で一番ビジネスしやすい環境"をつくることを目的とした規制改革制度「国家戦略特区」第1号として内閣総理大臣認定を受けている。

「東京ポートシティ竹芝」周辺


竹芝エリアは、隣接する浜松町から羽田空港につながる"空の玄関口"、伊豆・小笠原諸島へのアクセス拠点であり都内クルーズ船の発着場として利用されている「竹芝客船ターミナル」を有する"海の玄関口"という立地的な強みを持つ。

東京ポートシティ竹芝」周辺地図


今回のプロジェクトで、浜松町エリアから首都高速道路をまたいで竹芝エリアまでつながる地上16m、全長約500mのバリアフリー歩行者デッキを整備。アクセスの利便性がさらに向上する。

浜松町エリアと「東京ポートシティ竹芝」をつなぐ歩行者デッキ


景観のよさも魅力。東京湾と浜離宮恩賜公園や旧芝離宮恩賜庭園の豊かな緑を望むことができる。

「東京ポートシティ竹芝」オフィスタワー35階からの眺望


○ホールやシェアオフィスなども備える大規模複合施設

オフィスタワーは地上40階、地下2階、延床面積約18万m2の大規模複合施設。6階にオフィスロビーがあり、ソフトバンクのオフィスは9〜39階に入る。

ソフトバンク本社が移転予定


1階〜5階は、飲食店など21店舗が軒を連ねる「竹芝グルメリウム」、約350人を収容するイベントスペース「ポートホール」、「東京都立産業貿易センター浜松町館」などで構成される。8階は「クリエイションフロア」として、シェアオフィス「Business-Airport Takeshiba」や撮影に利用できる「ポート・スタジオ」などがある。

屋外の2〜6階部分には、緑に囲まれた約6,800m2の憩いの空間「スキップテラス」が階段状に整備されている。「竹芝新八景」と名付けられた"空・蜂・水田・香・菜園・水・島・雨の景"によって都市における生物多様性の取り組みを発信する。

緑あふれる「スキップテラス」






また、多様化する就業者ニーズに応えるため、オールジェンダートイレや祈祷室も備えた。

祈祷室


○テクノロジーのショールームのような"スマートビル"

センサー類が1,300以上設置されているというビル内。"スマートビル"として最先端のテクノロジーを活用した設備がいたるところで見られる。

オフィスロビー


6階オフィスロビーのセキュリティゲートには、日本コンピュータービジョンのAI温度検知・顔認証システム「Sense Thunder-E」を導入。三菱電機のエレベーター行先予報システム「エレ・ナビ」、ビルのセキュリティシステムとも連携させ、非接触の入館やフロア移動、混雑を避ける効率的なエレベーター運行を実現したという。

入館は非接触で


就業者には、ソフトバンクの「ワーカーアプリ」を提供。スキップテラスの環境状況や空き状況、ロビーの混雑状況、エレベーターホールやビル内施設の混雑状況、気温・湿度と言った環境情報などのデータを配信する。

「ワーカーアプリ」は自分に必要な情報を選んでカスタマイズできる


ビル内にはデータ連動型サイネージ(ソフトバンク、PDC)を約30カ所設置。施設のお知らせや飲食店の空席情報などを配信している。

そのほかソフトバンクの「BMアプリ」が施設内のヒートマップ、警備員の位置情報、要注意者検知などを警備員用グループアプリに随時配信。ビル管理者は、ソフトバンクの「Date-V」でビル内のリアルタイムな人流データを確認できる。店舗テナントにも、マーケティングツールを提供。AIカメラやWi-Fiデータを活用した施設利用傾向のレポートで支援する。

ローソンがTelexistence社と共同開発した次世代型コンビニ「ローソン Model T 東京ポートシティ竹芝店」では、商品陳列業務においてロボット「Model T」による半自動化の効果を検証する。Model Tをイメージしたブラックの外装・内装デザイン。

次世代型コンビニ「ローソン Model T 東京ポートシティ竹芝店」


ビル内を歩くと、働くロボットたちに出会える。ソフトバンクによる「Cuboidくん」は非接触での荷物運搬を行う。SEQSENSEの自律移動型警備ロボット「SQ-2」が不審物等がないか巡回して常に安全を確認。三菱電機のロボット・エレベーター連携システムにより上下階の移動もできる。ロボット掃除機「Whiz」は清掃を担当する。

荷物の運搬を行う「Cuboidくん」


ビル内を清掃するロボット掃除機「Whiz」


ビル内を巡回する自律移動型警備ロボット「SQ-2」


ビル内は、全館5Gに対応した通信環境。発表会では、5Gスマホを空間にかざすと空間上にARナビゲーターが出現し人に代わってルート案内を行う「A-space」(ソフトバンク、SB C&Sとプレミアムアーツ)、AR映像コンテンツ「5Gゲート」(ソフトバンク、SB C&S、キャドセンター)のデモも行われていた。

○ソフトバンク宮内社長「移転は非常にいいタイミング」

「このスマートビルからスマートシティに拡大していくということを考えている。"驚きと感動のある街を、ここから。"をキャッチフレーズに、最先端のテクノロジーを体験できる場所にして竹芝を盛り上げていく」とソフトバンク代表取締役社長執行役員兼CEOの宮内謙氏。

ソフトバンク代表取締役社長執行役員兼CEOの宮内謙氏


宮内氏は、働き方が激変する中での移転を「非常にいいタイミング」という。現在6、7割の社員がリモートワークを行っているという同社。フレキシブルに働ける環境ではあるが、「でもやっぱりみんなが集うセンターとしての本社オフィスは非常に重要」と言う。

オフィスは、"WeWorkスタイル"。固定席はなく、すべてのフロアにラウンジを配置。中階段をつくって移動もしやすくしたという。宮内氏は「僕らはできるだけオープンな環境をつくりたい。このビルは生産性が上がる、イノベーションが生まれるオフィスになると期待している」と話した。どんなオフィスになっていくのか今から楽しみだ。