if-thenルールとは - 目標設定の仕方や3つのメリットを紹介
if-thenルールとは
if-thenルールとは、1990年代にニューヨーク大学の心理学者でもある、ピーター・ゴルヴィツァーによって研究された「もしこうなったら、こうする」という実行計画です。習慣化しやすく目標達成率の高い手法のことです。
学生を対象にしたゴルヴィツァー教授らの実験では、目標のための行動を「いつ、どこで、どのように行うか」をざっくり計画しておくことで、目標達成率が4割以上向上したといった研究結果が得られています。
そんなときに活用したい方法としてif-thenルールがあります。習慣化しやすく目標達成率の高い方法論になります。
if-thenルールの設定方法
if-thenルールを決めて脳にインプットしておくと、Aをしたときに自然にBに意識が向くようになるので、強い意志を持たなくても、行動が実行しやすくなります。
また、何をするか迷うことも減るので、自然と行動量も増えていきます。そうやって、行動が習慣化され、目標達成につながっていきます。
目標を達成するために、どんなif-thenルールを設定するのがよいか、そのコツについて考えてみます。まず、達成したいけどできない理由は何なのか、どういう状況で達成できないのかを分析することが重要です。
達成できない状況を具体化し、ifの条件を考えるとよいでしょう。条件では、時間や場所など、なるべく具体的な状況を設定します。また、毎日行う習慣化した行動を使うのもよいでしょう。
日常の行動パターンに合わせたif-thenルール8事例
if-thenルールを具体的にどのように取り入れたらよいか、ここでは8つの目標を例に紹介します。どの目標も、だれもが一度は試みた経験があるような日常的なものです。
これらを参考に自分の目標を考え、if-thenルールを作成して、生活に取り入れてみましょう。
○事例1:スマホを使用する時間を少なくする
スマホの使用をどんな場面で減らしたいかを考え、ルールを決めます。例えば、レストランで食事しながらスマホをついつい手にとってしまう場合、「食事が運ばれてきたら、スマホをかばんにしまう」ルーといったルールにします。
1回の利用時間を短くしたければ「スマホにログインしたら、20分にタイマーをセットする」、ベッドの中でも使ってしまうなら「ベッドに入るときには、スマホを手の届かないところに置く」というルールが考えられます。
○事例2:勉強時間を確保する
勉強しなければいけないのに、時間が確保できない原因を探ります。例えば、友達に誘われて学校からの帰宅が遅くなりがちな場合には、「遊びに誘われたら、3回に1回は断る」といったルールにするのもいいでしょう。
また、家で勉強が長続きしないのならば、「勉強中に飽きてきたら、タイマーをかけて10分だけ休憩する」と決めておくとよいでしょう。
○事例3:資格を取得したい
資格取得のためには、期限までに効率よく勉強を終えなければいけません。学習内容ごとに、いつどこで学ぶかを決めておくとよいでしょう。
英語の試験を受ける場合を例に考えます。「電車に乗ったら、英単語を覚える」「土曜日の午前中は、模擬試験をやる」「夜の歯磨きの後に、リスニングの練習をする」「水曜の夜に、文法の問題をやる」というように決めておけば、ルールに従って効率的に進められます。
○事例4:早寝早起きをしたい
早寝早起きには、まずは早寝をするのがよいといわれています。寝る時間を早めるために「夜11時になったら、布団に入る」、寝つきを良くするために「夜10時になったら、スマホやテレビを切る」などのルールを設定します。
朝起きられない対策には、「目覚めたら、カーテンを開けて部屋を明るくする」「目覚ましを止めたら、10数えながら体を起こす」というルールなどを設定しとくのもよいでしょう。
○事例5:運動を習慣にしたい
運動しようと決意してスポーツクラブに入会したけれども、会費ばかり払って通わなくなったといった経験がるかたもいるでしょう。このようなときには、「水曜日の夜は、スポーツクラブに行く」というように行くためのルールを決めるとよいでしょう。
「会社を18時までに出た日は、スポーツクラブに行く」「休日雨だったら、スポーツクラブに行く」というようなルールも考えられます。
○事例6:お金の無駄使いをしない
お金を無駄遣いする原因をまず突き止めます。もし飲み会に使いすぎているならば、「2次会に誘われたら、断る」「月曜日の飲み会は、参加しない」など、参加条件を決めておくとよいでしょう。
買い物に行くとつい余計なものを買ってしまう場合には、「洋服を選ぶときは、2点までにする」「買いたいものが1万円以上だったら、一度店を出て10分考える」など、衝動的に買ってしまわないような対策を考えルール化します。
○事例7:読書をする
読書を習慣化するためには、隙間時間を利用するルールや、常に本を読める状態にするためのルールを取り入れるといいでしょう。
「出かけるときカバンを手にしたら、読みたい本を1冊カバンに入れる」「電車に乗って座席に座れたら、本を読む」「風呂から上がったら、10分間本を読む」などのルールが考えられます。
○事例8:人に親切にする
一日一回は人に親切にしたいと言った場合には、例えば「街で困っている人がいたら、声をかける」「5分で助けてあげられることがあれば、やってあげる」といったルールを決めておきます。
もし道で大きな荷物を持って苦労しているご老人がいたら、ルールに従い声をかけてみます。そして、もしその方の家がすぐ近くだったら、ルールに従い、荷物を持って運んであげることができます。
達成したい目標に対して、日常の行動パターンに合わせたif-thenルールを取り入れる具体例を紹介してきました。
このように具体的なif-thenルールをきめておくことで、行動が習慣化され、目標達成に向けて自分を変えていくことができます。
if-thenルールを取り入れるメリット3つ
○メリット1:習慣化できる
私たちの脳は、「もしこうなったら、こうする」という条件付きの計画を受け入れることに慣れています。
子供のころには信号を渡るとき、「赤ならば、止まる」「青ならば、進む」と教えられてきました。また「朝ごはんを食べたら、トイレに行く」というように行動を習慣づけてきました。
if-thenルールを決めて、脳にインプットしておけば、その行動は格段に実現しやすくなり、繰り返すことで習慣となります。
○メリット2:行動量が増える
if-thenルールで行動が習慣化できると、意識しなくてもその行動ができるようになります。何をするか考えていた時間が必要なくなり、実際に行動する時間に当てられるので、行動量が自然に増えていきます。
○メリット3:自分に自信がつく
自分で決めたルールを達成できれば、「今日もできた」という小さな満足と自信が得られます。この行動が習慣化し、行動量が増え、目標に向かう行動の積み重ねがどんどん増えていきます。目標に近づくことで、さらに自分に自信がつき、ポジティブな循環につながります。
if-thenルールを取り入れよう
目標達成のための行動手法、if-thenルールでは、「もしこうなったら、こうする」という行動のルールを決めておきます。具体的で習慣的な条件を決めることで、行動を意識しやすく、目標達成に効果の高い手法です。
日常的な8つの目標を例に、if-thenルールの具体的な作成方法を説明しました。簡単に試せる手法ですので、目標達成に向けて今日から取り入れてみることをお勧めします。