都道府県別発生状況

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 新型コロナウイルスの影響を受けた倒産(法的整理または事業停止、負債1000万円未満・個人事業者含む)が全国で500件に達した。帝国データバンクが9月8日13時30分までに確認した。都道府県別では「東京都」が123件、業種別では「飲食店」が69件で最多となっているほか、発生月別では「6月」(120件)が最多となっている。

 新型コロナウイルス関連倒産の第1号案件<北海道三富屋(株)、北海道栗山町、コロッケ製造販売、2月25日破産手続き開始決定>が確認されたのが2月26日。以後、確認ベースでの累計件数は、4月27日に100件(第1号案件確認から61日後)、6月1日に200件(同96日後)、6月30日に300件(同125日後)、8月3日に400件(同159日後)と推移し、第1号案件確認から195日後となる9月8日に500件に達した。

 負債総額は、2536億1200万円(調査中を除く498件の合計)で、5億円未満が411件(構成比82.5%)を占めた一方、100億円以上の大型倒産は3件(同0.6%)にとどまっている。

 都道府県別では、「東京都」(123件)が最多で、以下、「大阪府」(54件)、「北海道」(25件)、「兵庫県」(24件)、「愛知県」(22件)、「静岡県」(21件)と続き、45都道府県で発生。東京都と大阪府(計177件)で全体の35.4%を占めている。

 業種別では「飲食店」(69件)が最多となり、以下、「ホテル・旅館」(53件)、「アパレル小売店」(34件)と続いた。同上位3業種の月別発生内訳は表の通りで、「飲食店」と「アパレル小売店」は7月、「ホテル・旅館」は4月が最多となっている。件数だけを見る限り3業種ともに近時は落ち着きを見せているように映るが、業界環境を反映しているとは言い難い。事業存続のために従業員削減などのリストラに取り組む事業者、各種支援(緊急融資や金融機関へのリスケジュール要請)を利用する事業者、また、事業継続を断念し、倒産ではない「廃業」として姿を消している事業者が相当数存在していることを考慮すべきだろう。

 このほか、アパレル3業態(製造・卸・小売)を合計すると69件、食品3業態(製造・卸・小売)を合計すると64件となり「飲食店」「ホテル・旅館」とともに動向に注意が必要だ。

今後は「主因倒産」の動向に注意

 現時点における新型コロナウイルス関連倒産の月別発生状況は、2月(1件)、3月(17件)、4月(82件)、5月(78件)、6月(120件)、7月(115件)、8月(84件)、9月(3件)と推移。各種中小企業向け支援策(各種緊急融資、借入金のリスケジュール、税金・社会保険料の支払猶予、協力金等)が全国の中小企業に徐々に浸透することで、一定の倒産抑制の効果を発揮していることもあってか、6月、7月をピークに発生ペースは少しダウンしている印象を受ける。

 そうしたなか、今後の新型コロナ関連倒産の注目点は性質の変化だ。というのも、これまで発生した倒産は、新型コロナの発生前から売り上げ減少、赤字経営、債務超過、リスケジュール要請などといった経営上の大きな課題を抱えていた企業がほぼすべてを占め、新型コロナが「引き金」となって倒産(一因倒産)に至っている。今後は、新型コロナ発生前は特に経営問題を抱えていなかった企業が新型コロナによって倒産に追い込まれた「主因倒産」が時間の経過とともに増加していく可能性が高い。仮に主因倒産が増えはじめると、新型コロナ関連倒産の本質が大きく変化するとともに、取引先の連鎖倒産や焦げ付き発生、取引き先喪失といった実体経済への影響が出はじめることになるだろう。

新型コロナウイルス関連倒産について

 「新型コロナウイルス関連倒産」とは、新型コロナウイルスが倒産の要因(主因または一要因)となったことを当事者または代理人(弁護士)が認め、法的整理または事業停止(弁護士に事後処理を一任)となったケースを対象としている。個人事業主および負債1000万円未満の倒産もカウントの対象としているほか、事業停止後に法的整理に移行した場合、法的整理日を発生日としてカウントしている。