アイルランド北部のウサギの営巣地で、ウサギ捕りをするスティーブン・マクゴニガルさん(2020年8月18日撮影)。(c)Paul Faith / AFP

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【AFP=時事】手にはフェレットが入った木箱、足元にはウサギの巣穴を嗅ぎつける猟犬──アイルランドのウサギの営巣地で、スティーブン・マクゴニガル(Steven McGonigal)さん(37)は今も昔ながらの方法でウサギを捕まえている。

 同国北部のカーンドナ(Carndonagh)郊外。マクゴニガルさんは仕事する愛犬の傍らで、ウサギの巣穴を網で覆う。フェレットを1匹、穴の中に入れると、ウサギが追い出されてくる仕組みだ。

 フェレットが地中のトンネルを5分ほど走り回ると、点在する穴から、まるでモグラたたきのようにウサギが頭を突き出す。マクゴニガルさんは期待でそわそわしながら巣穴を見つめる。

 すると一瞬、灰色の毛が見えたかと思うと、網に絡まったウサギが出てきた。マクゴニガルさんは走り寄り、脚と首をつかむと手際よくあやめた。そして「これが伝統的なやり方だ」と語った。

 元会計士のマクゴニガルさんは、アイルランド伝統の方法でウサギを捕る最後の一人だといわれている。現代式の銃や毒を使う方法ではなく、フェレットや猟犬、シャベルや網を好んで用いている。

 ふわふわしていて愛らしい目をしたウサギは、多くの人にペットとして飼われているが、地方部では害獣とみなされている。ウサギは貪欲に植物を食べるだけでなく、その巣穴は建築物を危険にさらす。また繁殖率が高く、すぐに個体数が増えてしまう。

 ただし、時に自分の手でウサギをあやめなければならないやり方は万人向けではなく、「多くの人がやりたがらないだろう」とマクゴニガルさんは認めた。

 直接手を下す昔ながらの方法を不快に思う人もいるかもしれないが、これがウサギを間引くための本道だと彼は信じている。銃を用いると、散弾で土壌が汚染される恐れがある。毒は動物を無差別に殺してしまう可能性がある上、地下で死んでしまえば何匹死んだのかさえ分からない。

 伝統的な手法は有害な痕跡を残さないし、駆除したウサギの数も正確に把握でき、生態系と食物連鎖を適切に調整しているという。

「私以上にウサギが好きな人間はいない」とマクゴニガルさん。「しかし、私たちはバランスを維持しなければいけない。田舎ではバランスがすべてだ」

【翻訳編集】AFPBB News

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