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 夏競馬も、はや終わりを告げようとしている。夏の新潟開催も今週が最終週となり、GIII新潟記念(9月6日/新潟・芝2000m)がそのフィナーレを飾る。

 同レースでは毎年、新潟特有の長い直線で熾烈な攻防が繰り広げられる。それゆえ、見応えのある一戦だが、馬券検討においては常に難解を極める。なにしろ、波乱の決着が実に多いレースだからだ。

 過去10年の結果を振り返ってみても、5番人気以下の伏兵が6度も勝利。2、3着にも8番人気以下の穴馬が何度も突っ込んできているのだ。

 おかげで、3連単の配当は過去10年中、7回も10万円超え。2013年には、10番人気のコスモネモシンが金星を挙げて、2着に8番人気のエクスペディション、3着に7番人気のファタモルガーナが入って、3連単の配当は55万8010円という高額となった。

 ということで、今年も狙うは高配当ゲットだろう。そこで、過去10年の結果を参考にして、今回のレースで波乱を起こしそうな伏兵馬を探し出してみたい。

 まず過去の穴パターンとして挙げたいのが、前走で重賞を勝っていながら人気薄だった馬の激走だ。

 2012年に7番人気で勝ったトランスワープと、2017年に6番人気で勝利を飾ったタツゴウゲキがいい例となる。前者は前走でGIII函館記念(函館・芝2000m)を、後者は前走でGIII小倉記念(小倉・芝2000m)を制していたが、メンバーレベルが上がったこともあってか、いずれも新潟記念では低評価にとどまっていた。

 だが、直近で重賞を制した実力、勢いを侮ってはいけない。とすれば、今年も前走で重賞を勝っていながら、人気が上がりそうもない馬を狙うべきだろう。



新潟記念で重賞2連勝を狙うアールスター

 出走表を見渡すと、当てはまりそうな馬が1頭だけいた。アールスター(牡5歳)である。

 同馬は3勝クラスの身でありながら、前走で小倉記念(8月16日)に格上挑戦。そのため、10番人気という評価だったが、鮮やかなレースぶりを披露し、人気のオープン馬たちを打ち破る番狂わせを起こした。

 こうして、初の重賞制覇を決めたアールスターだが、格下の軽量ハンデによる恩恵もあったと見られ、その勝利はフロック視されている。結果、メンバーの質が上がる新潟記念でも上位人気は見込めない。

 しかしながら、過去の例からして、直前で重賞を勝った人気薄馬を軽視するのは禁物だ。アールスターの一発に期待したい。

 次にピックアップしたいのは、前走で条件クラスを勝ち上がったばかりで、なおかつデビュー前から評判の高かった良血馬である。というのも、そうした馬が過去に何度か、好配当を生み出しているからだ。

 その例となるのは、2014年に5番人気で2着となったクランモンタナと、2019年に6番人気で2着に入ったジナンボーである。

 ともに、前走で1600万下(現3勝クラス)を勝ち上がったばかり。その分、オープン入り初戦のここでは、伏兵の一角という存在ではあったが、いきなり勝ち負けを演じた。

 そしてこの2頭には、デビュー当初から注目度が高かった血統馬という共通点があった。

 クランモンタナの母は良血エアトゥーレ。名牝スキーパラダイスを母に持ち、自身も現役時にはGII阪神牝馬S(阪神・芝1600m)を勝っている。彼女は繁殖牝馬になってからも、GI皐月賞(中山・芝2000m)で戴冠を遂げたキャプテントゥーレを出していて、その半妹で、父がディープインパクトというクランモンタナへの期待は相当大きかった。

 ジナンボーも、父がディープインパクトで、母は牝馬三冠馬のアパパネ。父母合わせて「GI12勝の子」として、早くから脚光を浴びていた。

 つまり、上り調子の良血馬がこの舞台では躍動する、ということ。このパターンにハマる馬も、今年は1頭だけいる。

 サトノダムゼル(牝4歳)だ。

 同馬も、前走で3勝クラスの佐渡S(8月8日/新潟・芝1800m)を勝利。今回がオープン入り初戦となる。

 しかも、彼女はクランモンタナやジナンボーにも劣らぬ良血で、生まれた時から注目されていた。なぜなら、兄にGIケンタッキーダービー(アメリカ・ダート2000m)やGIドバイワールドカップ(UAE・ダート2000m)を勝った世界的な名馬、アニマルキングダムがいるからだ。

 上がり馬のうえ、評判の良血馬であるサトノダムゼル。過去の例を鑑みても、いきなり重賞で好走しても不思議ではない。

 最後に注目したいのは、オープンや重賞レースで勝ち星があるものの、近走で目立った成績を挙げておらず、人気を落していたベテラン7歳馬だ。

 実はこのタイプの好走例も、過去に数多く見られる。2010年に10番人気で2着となったトウショウシロッコ、2011年に9番人気で2着に食い込んだサンライズベガ、2015年に6番人気で勝利したパッションダンスらがそうだ。

 いずれも、直近のレースで揮わず、人気を落していたが、それ以前にはオープンや重賞で勝っており、重賞で2、3着に入るような好走も見せていた。要は、重賞で勝ち負けできる底力が備わっていて、調子やレースの展開次第では、大駆けの可能性を秘めていたわけだ。

 このタイプも今年のメンバーの中に1頭いた。メートルダール(牡7歳)である。

 同馬は、2017年にGIII中日新聞杯(中京・芝2000m)を快勝。他にも、重賞で2、3着に入った実績が多数ある。しかし、ここ最近は不本意な結果が続いていて、掲示板に載るようなこともない。

 となれば、当然人気は得られないが、今回はGII目黒記念(7着。5月31日/東京・芝2500m)以来、およそ3カ月の休養を経てのレースとなる。その間、効果的なリフレッシュができて、少しでも状態が上がっていれば、久々に上位争いを演じてもおかしくない。それだけの力は秘めているはずだし、新潟記念におけるベテラン7歳馬の奮闘例が多いことを考えれば、無視できない存在だ。 夏競馬が終わると、いよいよ秋競馬がスタート。GIシリーズはもちろん、その前哨戦など、注目レースが目白押しである。新潟記念はその軍資金を稼ぐ絶好のレースである。もしかすると、その手助けをしてくれる馬が、ここに挙げた3頭の中にいるかもしれない。