プロゴルファーの石川遼に求められるのは、その腕前だけではないようだ。

 高校生ゴルファーのための全国大会が、8月24日と25日に神奈川県で開催された。

「ゴルフをやっている高校生にも、甲子園のような記念大会があれば」という要望は、昭和の時代から根強くあり、プロゴルファーたちの耳にも届いていた。それに賛同する声も多かったが、これまで実現には至っていなかった。

「アマチュア大会のシーズンとプロのツアー時期が重なっており、ゴルフ協会やプロの選手会も、自分たちのことで手いっぱいなんです。学生ゴルファーの競技者人口にしても野球やサッカーほどではなく、かつてJリーグ発足のために奔走した川淵三郎氏のような情熱家も現れませんでした」(専門誌記者)

 この棚上げされていた問題を解決したのが、今大会を立ち上げた石川だ。

「昨年、ツアー選手会の会長に就任したころから、『次世代のために』と話していました」(同・記者)

 石川は会長職を経験し、多くのことを学んだようだ。

「彼が会長に推された理由は“腐っても鯛”だからですよ。米ツアーで惨敗し、実力面ではダメ出しをされた部分もありましたが、彼の知名度のおかげで、国内ツアーの協賛を降りなかった企業もありました。新たに大会を開催するには資金が必要ですから、出資する側にもどんな利点があるのか、大人同士の会話できちんと説明できるようになりました」(ツアー関係者)

 石川の呼び掛けだからこそ、応じた企業、協力者も存在したはず。また、大会の裏まで目が行き届くなど、石川は主催者として非凡なところも見せつけた。

「新型コロナウイルスの感染防止のため、PCR検査など医療サポートの話も進めていました」(同・関係者)

 いっそゴルフ界の発展のためには、裏方の事業家に転身した方がいいかもしれない。

「8月の全米オープンは予選落ち。いまだ予選通過を争うレベルです」(同)

 実力さえ伴えば、その影響力は揺るぎないものとなるのだが…。