画像は「スーパーJチャンネル」のホームページ スクリーンショット

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放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会は2日、テレビ朝日のニュース番組「スーパーJチャンネル」内の「業務用スーパー」特集に対し、放送倫理違反があったとの判断を示した。

この特集は、業務用スーパーを舞台に一般客らにカメラを密着させ、人間模様を紹介するというもの。2019年3月15日の放送では、「大量の焼きそばを買う女性」「験担ぎにポテトサラダを購入し、その勢いで女性に愛を告白する男性」ら4人を中心に、多様な人間ドラマが展開された。しかし、その後、この客4人が取材ディレクターの知人だったことが発覚。テレビ朝日は10月16日に記者会見を開き、極めて不適切で視聴者の信頼を裏切るものだったとして謝罪した。

同委員会は、まず報道という立場について「事実を客観的かつ正確、公平に伝えることは、報道番組の命である。報道番組を構成する人間ドキュメント企画も同様である」とコメント。放送倫理違反があると判断した理由については、「取材の過程が適正とは言い難く、内容においても、本来ならその場に現れるはずのない『客』を偶然を装って登場させたという点で正確ではなく、公正さを欠いていた」と説明した。

また、最後に改めて同特集に対して「業務用スーパーに集まる都会の人間模様を描いたはずの特集企画は、番組に出るために集まった『役者たち』によって語られた真偽不明の物語だった」と指摘。放送の今後については、「大きく変わった働き方を前提」にし、「放送の現場に必要な予算と人員を確保して持続的に人を育てる取り組みを放送界全体で意識していかなければならない。そういうときが、まさに今来ている」とコメントしている。