日本代表全カテゴリで初の対外試合!「ちっちゃいけど噛みつく」U-16候補が“年上”Jクラブユースと互角の熱戦

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 U-16日本代表候補メンバーが8月22日、JFA夢フィールドでJクラブユースとトレーニングマッチ2試合を実施した。日本代表では全カテゴリを通じて再開後初の対外試合。鹿島アントラーズユースと2-2、柏レイソルU-18と1-1でそれぞれ引き分け、年長の相手に善戦する収穫の多い内容で合宿を終えた。

 2004年1月1日以降に生まれた選手で構成されるU-16日本代表は、来年のU-17ワールドカップを目指すチーム。森山佳郎監督のもと、11月開幕のアジア予選に向けて準備を進めている。新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、合宿集合時にはSmartAmp法検査を全員が受けて陰性を確認。給水ボトルを共有しないことや、食事時の配慮など、さまざまな対策が取られている。

 合宿は19日にスタート。7月の前回合宿で行った紅白戦では守備面の課題が露呈したため、今回はゴール前の局面を中心にトレーニングを行った。4日目の練習試合の前には、対戦相手の鹿島ユース、柏U-18の選手たちもSmartAmp法検査を受検。結果次第では中止の可能性もあったが、無事に全員の陰性が確認されたことで開催に至った。試合はいずれも40分ハーフで行われた。

■1本目 U-16日本代表 2-2 鹿島ユース

・先発フォーメーション(U-16日本代表のみ記載)

    9内藤大和(甲府U-18)  10森夲空斗(広島ユース)

8山崎太新(横浜FCユース)         11高橋隆大(静岡学園高)

    5標粁人(G大阪ユース)  7大迫塁(神村学園高)

6石川晴大(清水ユース)          4池谷銀姿郎(横浜FCユース)

    2鈴木吏玖(JFA福島U18)   16行瑛(静岡学園高)

           1松原快晟(讃岐U-18)

 立ち上がりから優勢を保ったのは鹿島ユース。4-4-2の布陣から2トップの一角が落ち、前後関係に構えるダブルボランチがU-16日本代表のライン間に顔を出し、次々にチャンスをつくった。それでもU-16日本代表は松原の果敢な飛び出しや、行のアグレッシブなカバーリングが光り、相手のキックミスにも助けられながら、前半10分までの連続ピンチを防いだ。

 以降はU-16日本代表にも好機が訪れ、前半11分に高橋のドリブル突破でようやく敵陣に攻め込むと、14分には左サイドで山崎が3人のスライディングタックルを次々にかわし、惜しいクロスを供給。28分にも大迫の持ち上がりから高橋、山崎が立て続けにシュートを放った。総合すれば鹿島ユースの優位が続いた前半だったが、随所に良いプレーもあってスコアレスでハーフタイムを迎えた。

 U-16日本代表は後半開始時、松原に代わってGK藤沢芭琉(徳島市立高)、山崎に代わってMF阿部来誠(大宮U18)を左サイドハーフに投入。最終ラインの並びにも変更を加えて、池谷が左センターバック、鈴木が右サイドバックに移った。すると直後、鹿島ユースが右サイドからのクロス攻撃でヘディングシュートが決まって先制。U-16日本代表はポジションの乱れをすぐさま突かれた。

 それでも後半10分、U-16日本代表は左サイドを突破した石川のアーリークロスに内藤が合わせて同点。12分には大迫、内藤が相手をはがすと、右サイドでフリーになった高橋がGKをかわして決め、瞬く間に同点に追いついた。その後も鹿島の独特のビルドアップにうまく布陣を合わせたU-16日本代表が主導権を握っていた。

 ところが、ここから課題となったのは試合を通じての強度だった。徐々に時間を追うごとに両チームともに足が止まり、フィジカルで上回る鹿島ユースがゴール前まで到達する場面が増加。後半35分にはクロスに反応した森夲のヘッドがクロスバーに弾かれると、終了間際にパワープレーからのボレーシュートを突き刺され、2-2でタイムアップを迎えた。

■2本目 U-16日本代表 1-1 柏U-18

・先発フォーメーション(U-16日本代表のみ記載)

    9千葉大舞(C大阪U-15)  10南野遥海(G大阪ユース)

11北野颯太(C大阪U-18)         7橋本陸斗(東京V Jrユース)

    8梶浦勇輝(FC東京U-18)  6小幡季生(G大阪ユース)

2植田悠太(京都U-18)          5齋藤晴(JFA福島U18)

    4小澤晴樹(大宮U18)   3土肥幹太(FC東京U-18)

           1森脇真一(磐田U-18)

 2試合目は先発に千葉、橋本の中学生コンビを先発起用。ベンチにもGK齋藤朝陽(FC東京U-15深川)、MF後藤啓介(磐田U-18)が控えた。森山監督は「涼しいから夜のゲームにした。体力的なところ」と述べたが、年少チームが高円宮杯プレミアリーグ所属の柏U-18に対して堂々のパフォーマンスを見せた。

 立ち上がりこそ4-4-2の布陣から目まぐるしいポジションチェンジを繰り返す柏U-18に攻め込まれ、前回U-17W杯メンバーのMF田村蒼生のクロスからMFモハマド・ファルザン佐名に決められたが、巧みにスペースを突いた橋本や北野がうまくボールを引き出して攻撃を展開。南野の惜しいシュートをあった。

 前半15分すぎには付近で雷鳴が鳴り響き、約1時間にわたって試合が中断。チームはその間、選手が主導となってホワイトボードで柏の布陣を確認し、使いたいスペースを共有してピッチに戻った。再開後は千葉に代わって中学3年生で185cmの長身を誇る後藤を最前線に投入。すると23分、植田のアーリークロスに北野が反応し、相手のオウンゴールを誘って同点に追いついた。

 1-1で迎えた後半は森脇、橋本、齋藤晴に代わり、齋藤朝、前半途中で交代した千葉、DF稲垣篤志(浦和ユース)の3人を投入。南野は右サイドハーフに移った。その後も前回U-17W杯メンバーのGK佐々木雅士を苦しめる場面をつくるなど、U-16日本代表が互角以上の戦いを展開。25分すぎからは足が止まって一方的に攻め込まれる時間も続いたが、ディフェンス陣がゴール前で次々に身体を張り、森山監督のチームらしく泥臭いメンタリティーも発揮しながら最少失点で試合を締めた。

 試合後、オンライン取材に応じた森山監督は「前回はやっと集まれて、練習試合ができない状況で練習したが、今回は練習試合ができるというそれだけで進歩」と充実した表情。「付け焼き刃でトレーニングしたことが思ったより機能して、やられそうなシーンはあったけど、ゴール前の守備をしっかりやって5〜6点は防げた」と述べ、合宿中に行った守備練習がトレーニングマッチに表れたことに手応えを示した。

 また前回合宿の後にも強調していた「世界と戦う」という意識についても、「一生懸命戻って一生懸命守るというところで守備で疲弊した部分があったと思うけど、最後まで全力を出し切ったのので、出し切るメンタリティーはついてきたかな」と手応え。「代表に来たらこれくらいやらないといけないという基準になった」と今後も継続して発揮されることに期待した。

 9月下旬にはSBS杯の代替大会に出場予定。新型コロナの影響で海外チームを招集できないが、静岡ユース、清水ユース、磐田U-18といった年長の相手に挑む貴重な機会となる。森山監督が求めるのは「ちっちゃいけど噛みつくからな」という果敢なメンタリティー。指揮官は「牙を剥き出しにして、挑戦者の気持ちで向かっていって欲しい」と先を見据えた。

(取材・文 竹内達也)