TikTok米国事業の売却には中国政府の承認が必要に。ByteDance「遵守する」
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中国ByteDanceがTikTokの米国事業を売却する際には、中国政府の承認が必要になるとBloombergが報じました。これは、中国政府が人工知能技術の輸出に課した新たな規制によるもの。TikTokの米国事業をめぐっては米マイクロソフト等が買収の意向を示していますが、少なからずの影響を与えそうです。

中国商務省は28日、音声認識やテキスト認識などのAIインターフェースや、データを分析して個人向けにコンテンツを推奨する技術等を、輸出制限対象のリストに追加しました。ここに掲載されたものは、国家経済の安全保障を守るため、海外の移転は政府の許可制になると述べています。

米Bloombergの匿名情報筋によると、新たな規制はByteDanceがTikTokに使っている技術を対象としており、どのような取引にも政府の承認が必要になるとのこと。ただ、売却を遅らせることを目的としており、完全な禁止ではないとも伝えられています。

ByteDanceはこれを事実と認め、中国の技術輸出に関する規制を「厳格に守る」との声明を発表しています。事情に詳しい関係者いわく、同社の幹部は新規則の理解に努めているが、すでに対立している米中政府をどちらも満足させようとする試みは、あらゆる取引の条件をより困難にする可能性が高いとのことです。

米トランプ大統領は中国企業が保有するTikTokは「重大な脅威」として米国での使用を禁止すると早くから公言し、MSによる買収交渉が明らかになった後には、45日以内に売却せよとの大統領命令に署名(その後90日以内に延長)。どうにか買収が軌道に乗りそうだった矢先、今度は中国政府が待ったをかけ、禁止せずともブレーキを掛けてけん制している格好です。

今年6月にTikTokのCEOに就任したケビン・メイヤー氏は、わずか3ヶ月で辞任を明らかにしました。事業を取り巻く政治環境が急激に変化し、世界の隅々にまでTIkTokを広げる舵取りどころではなくなっていましたが、メイヤー氏の目指した「次期フェーズ」の前にはまだまだ難関が立ちはだかっているもようです。

Source:Bloomberg