反町康治技術委員長(写真は7月のもの、オンライン会議アプリ『Zoom』のスクリーンショット)

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 日本サッカー協会(JFA)は28日、反町康治技術委員長の連載「サッカーを語ろう」を公式サイトでスタートさせた。初回から「(技術委員長の)名前を変えた方がいいんじゃないか」「ピッチに落ちているのは喜怒哀楽」と“反町節”が散りばめられ、4000字以上の長文コラムを掲載。技術委員長の仕事、サッカーの普及、今後の選手育成など、多岐にわたるテーマを論じている。

 反町氏は今年3月下旬、関塚氏の跡を継いで新たに技術委員長に就任。当時はちょうど新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が政府から発令された時期で、代表活動は現在まで多くのカテゴリで停止しているが、先の読めないコロナ禍での強化策やさまざまな組織改革案を練っているようだ。

 初回コラムでは「プロの現場で19年間、いろいろな修羅場をくぐり抜けた経験を糧にしながら、いろいろな人に会いに出かけ、話し合い、学びながら、今よりも少しでも良いゲーム環境をつくっていきたい」と意気込みを述べた反町氏。「ある高名なプロ野球の監督は『グラウンドには銭が落ちている』との名言を吐いたそうだが、僕はピッチに落ちているのは喜怒哀楽と考える方。今回の仕事でも、そういう哲学を形にしていけたらと思っている」と自身の立場を示す。

 その上で「世間一般の方は、技術委員会は日本代表と名のつくチームの強化を担当する部署であり、技術委員長はそのトップだと思われている人がほとんどだろう。それは間違いではないのだが、やはり仕事の一部に過ぎない」と説明。JFAアカデミー福島の今後、WEリーグを始めとする指導者ライセンス制度、ユニバーシアード大会のサッカー競技廃止など、さまざまな論点を挙げつつ、「僕自身は、そういう課題を委員長面して解決する気はない。いろんな人に会って、話を聞いて、意見を採り入れていく風通しのいい委員会にしたいと思っている」と仕事との向き合い方を述べた。

 また技術委員会の仕事として、これまで力を入れてきた「代表強化」「選手育成」「指導者養成」に加えて「普及」の重要性を指摘。「日本社会の現状として深刻な少子化があり、減る一方の子供たちはインドア派が増えていると聞く」「いかに子供たちを外に連れ出すか、スマホではなくサッカーボールに触ってもらうか、リアルなサッカーの試合を見てもらうか。サッカーの入り口、サッカーとの接点をもっともっと増やさないと、これから先細りになっていくという危機感が僕にはある」と強調している。

 さらに選手育成については「ポストユース」(18歳以降)の問題に着目。「『鉄は熱いうちに打て』というけれど、高校を出た後、大学を出た後の熱い期間に十分に鉄を打ててないように思う」とした上で、MF板倉滉やMF食野亮太郎の名前を挙げつつマンチェスター・Cの補強戦略を例に出し、「日本はこれがなかなかできていない。若い選手を囲ってレンタルにも出さず、才能を眠らせたまま、選手生活に『さよなら」になるという例が後を絶たない。育成を考えると、そこが一番のボトルネックになっている」と警鐘を鳴らした。

 反町氏はコラムの最後に「いろいろなことがコロナ禍で次々と起こる中で、それに一つ一つ対処していく自転車操業のような日々。その対応を誤らないように心がけてはいるが、そこに10年後、15年後という視点を外してはいけないとも思う」と指摘。「今、コロナ禍に直撃されている小学6年生は10年後には五輪世代になっている。たった10年しかないと思うと、今、ちゃんと将来につながることをしなければと思うのである」と先を見据えている。

 コラム全文はJFA公式サイト(http://www.jfa.jp/news/00025245/)に掲載。月1回ペースで連載される予定だという。