ミニストップ初のソフトクリーム専門店「ミニソフ」。写真は5月29日にオープンした吉祥寺サンロード店(筆者撮影)

全国に5万5000店舗が展開し、すでに“飽和状態”を通りすぎているともされるコンビニ業界。女性の社会進出、少子高齢化、世帯人数の減少などを背景に店舗数・売り上げともに伸ばしてきたが、2019年12月末、ついに店舗数が減少に転じた。人口減少からくる客数の伸び悩み、人件費の高騰などもコンビニ業界のマイナス要因として挙げられる。

「ドミナント戦略」と言われた店舗数を増やしてコストダウン、売り上げアップを狙うビジネスモデルは過去のものとなりつつあるようだ。

ソフトクリーム専門店を立ち上げたミニストップ

そんな中、業界では4位のミニストップが、ブランド戦略に打って出た。ミニストップといえば、ソフトクリームやオリジナルスイーツ“ハロハロ”などをはじめとする店内加工フードのイメージが強い。そうした一般に定着したカラーを最大限に活用するためか、このたび、新業態としてソフトクリーム専門店「ミニソフ」を立ち上げたのだ。


1番人気の北海道バニラ、税込み360円(筆者撮影)

現在、新宿、吉祥寺など都内近郊を始め、京都、名古屋、大阪など11店舗を出店(8月28日時点)。4月8日に発表されたニュースリリースでは早期に100店舗出店を目標として掲げていたが、新型コロナウイルス感染症の影響で、出店スピードはややダウンしている。

新業態立ち上げの理由について、同社ミニソフ事業を担当する渡邊大吾氏に聞いた。

「これまでも、店内加工フードの専門店はアイデアとして社内で出ていました。しかしとくにきっかけもなく、都度立ち消えになっていたところです。そこへ、今年5月が40周年にあたり、ではわれわれは何をするかということになった。CVSのほかにも柱となる事業を、ということになり、満を持して新しい事業部を立ち上げた、というのが経緯です」(ミニストップ ソフトクリーム事業本部の渡邊氏)

同社のCVS事業、前年7月から開始した「おにぎり100円」などのプロモーション企画が牽引し9〜2月の2019年下期としては前年比プラスに。2020年2月期としては、1934億3900万円で前年比94.2%の売り上げを計上した。

出店については採算の見直しを行い、この1年で237店舗を閉店。一方で採算性の高い店舗やミニソフの出店を進めて、現在1997店舗となっている。ミニソフの立ち上げは、CVS事業とも絡んだ、大きな戦略の中に位置づけられていることがわかる。


8月10日に発売した、季節限定のベルギーチョコレートシリーズ。写真はワッフルソフトクリーム「プレミアムベルギーチョコ」税込み540円(写真:ミニストップ)

ただ、ブランディングの意味合いは、同社としては当初あまり意識していなかったようだ。実際、2018年7月から埼玉の越谷レイクタウンで行われたソフトクリーム専門店の試験運用時は、あえてミニストップのカラーを排除したという。

「ミニストップの運営であることが、プラスになるのかマイナスになるのか、当初はつかめていませんでした。価格もコンビニよりアップしていましたので、専門店らしさを全面的に押し出した店舗デザインにしていました」(渡邊氏)

しかし結果としては、ブランドとしての特徴がはっきりしなくなってしまったようだ。こうした課題を1つひとつ見直してオープンしたのが「ミニソフ」ということになる。店名やロゴからもわかるように、ミニストップらしさを前面に押し出したほか、たくさんあったメニューを収斂。

「メニュー数が多いということは一見、お客様サービスのようですが、結局自分の好きなメニューを探したり、迷ったり、というところでお客様のストレスになる面もあります。逆にメニューを絞り込むことによって、1品1品の価値をアップしていく方法をとりました」(渡邊氏)

「食べる」と「飲む」でソフトクリームを楽しむ

商品ラインナップとしては、まず、ミニストップでも定番のソフトクリームが主力となる。北海道産生乳を使用したコクのある味わいと、なめらかな口当たりはミニストップのソフトクリームそのまま。コーンをワッフルタイプに変え、ソフトクリームも“1巻き程度”増量して価格は360円(税込み)。ミニストップのソフトクリームのおよそ1.5倍だ。

また、ソフトクリームのさまざまな楽しみ方を「食べる」と「飲む」の2カテゴリーで訴求する。「食べる」カテゴリーは、ソースやフルーツなどのトッピングでアレンジを加えた「ワッフルソフトクリーム」や、かき氷のような「果実氷」で構成される。


夏季限定のクラウンメロンを使用したワッフルメロンソフトクリーム(税込み520円)。ソフトクリームと、果肉を凍らせた果実氷をダブルで味わえる。希少な食材を使用できるのも、店舗数が限られたミニソフならではのメリット。季節限定商品のため、現在は取り扱いなし(筆者撮影)

そして「飲む」は、ミニソフのために新たに開発されたカテゴリーだ。シェイクのようでありながら、ソフトクリームのなめらかさも併せ持つ。シンプルな「のむソフトクリーム」と、フルーツやソースを加えた「のむソフトクリームパフェ」の2種類がある。

価格やメニューラインナップは店によっても異なるが、旬のフルーツなどを使った季節がわりの商品も加え、20種類程度をそろえるという。

「商品や店づくりで大切にしたのが、日常にひとときのリラックスタイムをもっていただけることや、素材を生かした優しい味わいです。

今回、不特定多数の方にリサーチをする中で、ソフトクリームに期待することとして、懐かしいとか、優しいといったキーワードが上がってきたためです」(渡邊氏)

また「家に持ち帰れないソフトクリーム」だからこそ、求められる味わいがあるらしい。


通年で販売される「ワッフルマンゴーソフトクリーム」税込み490円(左)と「のむソフトクリームパフェいちご」税込み540円(筆者撮影)

「とくに主婦の方は、忙しい中で、ソフトクリームに“自分だけのリラックスタイム”を託しているということがわかりました。アイスクリームは買って帰れるため、どうしても家族の人数分買わなければならず、自分だけの楽しみではなくなってしまう。その場で食べる、即時消費だからこそいいのです」(渡邊氏)

確かに、家族分買うとなれば、子どもや夫の好みを優先して自分が残ったものを、と考える人も多いだろう。その場で食べられるソフトクリームだからこそ、自分だけの密かなご褒美にできるわけだ。

では、オープンしてみて、実際の客層や来店数はどうだろうか。都内近郊でも店内スペースが比較的広く、メニュー数も多い吉祥寺サンロード店では、5月29日のオープン当初は行列ができるほどで、予想どおりの感触を得ているという。ほかの店舗を含め、コロナの影響がありながら日に200〜300名が来店する店もあるそうだ。客層も、若い人からお年寄りまで幅広い。スイーツなので女性が多いという予想は立てていたが、男性1人客も一定数は訪れるという。

これは1つには券売機を導入したことが功を奏しているようだ。


自動券売機を導入し、オペレーション効率をアップ。コロナ対策としても効果的だ(筆者撮影)

もともとの狙いは、スタッフの作業をシンプルにするため。絞ったとはいえ、20種類のメニュー数があれば、オペレーションも複雑になり加工に時間をとられる。それにレジの作業が加わるだけで、都度手洗い、手袋をつける、といった過程が発生する。レジ無人化は、スタッフが加工に専念できるようにとの意図だった。

しかし人に相対しなくていい分、男性も人目を気にする必要なく、また心置きなく時間をかけてメニューを選ぶこともできる。またコロナ対策としてメリットがあることはもちろんだ。

店内がミニストップカラーで統一されていることも、男女問わず入りやすい雰囲気を作っていると言えるだろう。

コンセプトからぶれないようにする

今後の重要な課題として予想されるのが、客の要望に応えながらどう商品展開していくか、だという。

「ソフトクリーム専門店をうたっていることもあり、商品カテゴリーをどこまで扱うかは難しい問題です。例えば、コーラフロートは明らかにミニソフの商品カテゴリーから外れる。コンセプトからぶれないようにすることが大切だと思っています」(渡邊氏)

まずは直営店でしっかりと収支をとりながら、将来的にはFC展開も含めて100店舗を目指すという。

冒頭にも述べたように、コンビニも「どこにでもある、何でもある」便利さだけでは難しい時代となっている。プライベートブランドを強化したり、先日紹介したクックパッドマートのように、他業種と連携するなど、特徴を出すためにさまざまな方策を模索している。そしてウィズコロナを含め、時代に合わせた柔軟な運営が求められているようだ。ミニストップのように業態開拓に打って出るのも、そうした施策の1つとなるだろう。