円熟味が加わりました(写真・事務所提供)

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 山田邦子はやはり、芸の人である。今年2月にユーチューバーデビューすると、その軽妙な話術がウケ、注目度がじわじわ高まっている。話を聞けば、還暦を迎えてなお意気軒昂。「やりたいこと」が山積みのようだ。

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 素人時代にバスガイドのモノマネで人気を博した彼女は、1981年にデビューした。20歳のときである。ほどなく「オレたちひょうきん族」でブレイクし、以降は「邦ちゃんのやまだかつてないテレビ」などの冠番組でお茶の間の顔となった。全盛期はなんと、レギュラー番組14本。“天下を獲った唯一の女芸人”ともてはやされた。

 そんな芸歴40年のベテランは、90年代後半に露出が減ったが、結婚、乳がん摘出を経てもなお、お笑いの舞台には立ち続けた。そして昨年、デビュー当時から所属した太田プロを退社し、今年2月、「山田邦子 クニチャンネル」を開設。6月に誕生日を迎えたばかりだ。

円熟味が加わりました(写真・事務所提供)

「ついに60になっちゃいましたよ」と、ご本人が語る。

「あまり実感はないけど、衰えは感じますね。ガードレールを飛び越すのはやめたし、階段も手すりの近くを下りるようになって。あと物覚えが悪くなったかな。ユーチューブは、ネタをやりたいと思ったのが最初でした。でも、いまは業界通の人っていないじゃないですか。年代的にいっても、私だったらあまり角が立たないし、四方八方にアンテナが利く。ジャニーズから大御所まで喋れるでしょ」

転換期

 番組では芸能人の逮捕や不倫などの時事ネタも扱い、独自に芸能人をランク付けしている。派手な演出やテロップを排したシンプルなつくり。話芸一本勝負だ。

 酒豪編では志村けんやタモリなどとの“交遊抄”を披露。再生回数130万回を超えた「怖かった芸能人ランキング!」では、横山やすしや内田裕也、岩下志麻といった大物とのやりとりも。淡谷のり子のモノマネなど、得意のネタも入る。

 ただし、現時点での登録者数は約5万1400人。やや淋しい気もするが、ご本人は、後輩芸人たちも見てくれているみたいだから、と気にかけていない。

「今後は、いろいろなユーチューバーとのコラボにも挑戦したい。面白そうでしょ。演歌の山内惠介くんなんて、演歌界の貴公子なのに二重跳びしてましたから。今年82歳になる小林旭さんは、“毎朝、こうやって洗面台で腕立て伏せしてます”だって。やっぱりマイトガイは違うよ。それと、女優の草笛光子さんにぜひユーチューブをやってほしいな。(86歳の)いまもダンスの舞台ではピンヒールで、足も上がる。ストレッチとかお洒落の話を聞いてみたくないですか」

 舞台といえば、と彼女。

「5月の舞台がコロナで11月に延期になってね。もともと私は芝居もやっていたんだけど、いまはこの舞台だけ。20年ほど、映画やドラマへの出演がストップしてるんです。まだ台本は覚えられるから、芝居をやりたいなあ。“樹木希林さんの枠”をやってみたいんです。おばあちゃんでも魔女でも意地悪な役でもいいの。そんな役、ないかしら?」

 そう笑いつつ、続ける。

「この40年でテレビは番組数が激増し、特定の番組を楽しむ形ではなくなりました。昔は家族揃って見ていたのが、ビデオ録画と携帯電話でチャンネル争いもなくなってね。好きなものを好きなときに見る。その転換期にユーチューブで勝負するのは、芸人としていいチャンスかもしれません」

 やまだかつてなく充実した昨今なのである。

「週刊新潮」2020年8月13・20日号 掲載