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 真夏に行なわれる注目の重賞、GII札幌記念(札幌・芝2000m)が8月23日に行なわれる。

 例年、秋の大舞台を目指すGI級の馬が何頭か出走する。おかげで、過去10年の1番人気の戦績は、2勝、2着4回、3着2回、着外2回とまずまずだ。しかしながら、2011年にトーセンジョーダンが勝って以来、8年連続で1番人気の勝利はなし。最近は、3連単でオイシイ配当がしばしば生まれており、穴党にとっても見逃せないレースとなっている。

 そして、今年は3頭のGI馬が参戦。そのうち、ラッキーライラック(牝5歳)、ノームコア(牝5歳)といった2頭の牝馬が人気を集めそうだが、はたして、それらが順当に上位を争うのか。日刊スポーツの松田直樹記者はこんな見解を示す。

「札幌記念は、2014年の勝ち馬ハープスター、同2着のゴールドシップ、さらに2019年の1着ブラストワンピース、同3着のフィエールマンら、秋にGI凱旋門賞(フランス・芝2400m)などの海外遠征を控えた馬の、"壮行戦"となることもあるレースです。

 ただ、今年はコロナ禍にあって、これから海外遠征に向かう馬はほとんどいません。実績馬にとっては、秋の国内GIに向けての"始動戦"といった意味合いが強く、"先"を見据えた仕上げであることがイメージできます。

 加えて、各方面からGI昇格を望む声が大きい"スーパーGII"でありながら、今年の顔ぶれはやや小粒な印象。となれば、穴馬が台頭する余地も十分にあるような気がします」

 また、デイリー馬三郎の吉田順一記者も、今年の札幌の馬場状態に着目し、波乱ムードを匂わせる。

「先週のレース後、あるジョッキーが『内側(の馬場)が荒れてきました』とコメントしていましたが、今週からCコースを使用。荒れてきた部分は隠れますし、乾燥度が高まれば、(力の要る)洋芝とはいえ、それなりに時計は速くなってきそうです。

 それでも、野芝の東京コースのような高速化は望めません。とすれば、距離に不安のあるノームコアについては、パフォーマンスが落ちる可能性は大いにあります。

 片や、想像以上に馬場が悪かったGI宝塚記念(6月28日/阪神・芝2200m)では6着に終わったものの、適度に馬場が荒れていた昨秋のGIエリザベス女王杯(京都・芝2200)を勝っているラッキーライラックは、札幌の洋芝にも対応できそう。馬体や走法からも、問題なくこなせると踏んでいます。

 そうなると、同馬の牙城は揺るがない印象がありますが、札幌記念では過去8年、1番人気が勝っていないのは事実。そのことを考えると、ラッキーライラックを馬券の軸としながらも、馬単や3連単などでは違う馬を1着にすれば、オイシイ配当が見込めるかもしれませんよ」

 そう語る吉田記者は、ラッキーライラックの逆転候補として、トーセンスーリヤ(牡5歳)の名前を挙げた。

「昨年の暮れに復帰して以降、条件戦を順当に勝ち上がってきて、本格化の兆しを見せています。2走前のGIII新潟大賞典(5月10日/新潟・芝2000m)では、オープン入り初戦の身でありながら、あっさりと重賞初制覇を遂げました。荒れた馬場でありながら、1分58秒6という好タイムで勝ったことも高く評価できます。

 初のGI挑戦となった前走の宝塚記念では7着に敗れましたが、渋化した馬場とハイペースの流れを考えれば、悪くない内容だったと思います。その後の回復も早く、予定を早めて始動。すでに美浦トレセンでビシビシとハードに追われています。

 ウッドチップコースでの稽古が基本ということもあって、直前入厩で挑みますが、攻めの強度を踏まえれば、陣営の思惑どおりに仕上がると見ています。メンバー的に見て、2、3番手でスムーズに走れる可能性が高く、展開利を生かせれば、2度目の重賞制覇も夢ではありません」

 トーセンスーリヤについては、松田記者も穴馬の一番手に推す。

「札幌は4戦1勝、2着1回、3着1回、4着1回。函館は3戦して2着3回と、北海道の洋芝巧者です。GIの宝塚記念は家賃が高かったですが、札幌記念なら十分に戦えます。

 ロングスパートで押し切った新潟大賞典で新境地を開拓しましたが、もともと直線の短いコースで、立ち回りのうまさを発揮してきた馬。主場となる4場(東京、中山、阪神、京都)の中でも、最もトリッキーとされる中山で2勝しており、競馬センスのよさは折り紙付きです。

 現在の札幌の馬場傾向も、その機動力を後押し。先週の札幌・芝レースでは、14鞍中11鞍で4角3番手以内の馬が勝っていて、前を行くトーセンスーリヤにとっては、プラス要素でしょう。

 今週から仮柵が移動し、最内の荒れ馬場が大きくカバーされるCコース使用となれば、よりこの馬の特性が生きると思います。当初は、GIIオールカマー(9月27日/中山・芝2200m)での復帰予定でしたが、前倒ししたことがいきなり吉と出るかもしれません」

 このトーセンスーリヤだけでなく、吉田記者にはもう1頭、気になる馬がいるという。

「ペルシアンナイト(牡6歳)です。前走の宝塚記念では、渋化した馬場でのハイペースのなか、今までにない好位で立ち回っていました。さすがにそれは厳しく、15着という結果に終わったことは仕方がないと思っています。

 3歳時にGIマイルCS(京都・芝1600m)を勝って以降、4歳時のGI大阪杯(2着。阪神・芝2000m)とマイルCS(2着)、そして5歳時のマイルCS(3着)と、3回しか馬券圏内(3着以内)に入っていませんが、GIで上位争いを演じることはできています。その点を踏まえれば、能力落ちはないと見ています。

 昨年の札幌記念でも、勝ったブラストワンピースからコンマ3秒差の5着。血統や馬体面からすれば、洋芝は向いている印象で、チャンスはあるはずです。

 2週前の写真撮影では、今までよりもだいぶスカッとしたフォルムを見せていました。それでいて、トモの丸みやボリュームは申し分なく、今年になって一番動けそうな体つきをしています。今年のメンバーと今の状態を鑑みれば、昨年以上の結果が期待できるのではないでしょうか」



札幌記念での激走が期待されるブラックホール

 一方、松田記者ももう1頭、穴馬を推奨する。唯一の3歳馬、ブラックホール(牡3歳)だ。

「GI日本ダービー(5月31日/東京・芝2400m)では、2着馬サリオスと同じメンバー2位タイの上がり(34秒1)をマークして、7着という結果を残しました。

 そうして、トーセンスーリヤと同じく、この馬も当初はGIIセントライト記念(9月21日/中山・芝2200m)が始動予定でしたが、状態がよく、今回は前倒しての参戦となります。札幌滞在が合うのか、調子をグングンと上げていて、1週前の追い切りでは、芝で6ハロン74秒6−1ハロン12秒0と、実戦とさほど変わらない時計をマークしました。

 このタイムを見て思い出したのが、昨夏に制したGIII札幌2歳S(札幌・芝1800m)での最終追い切りです。当時は、6ハロン72秒8−1ハロン11秒7という猛時計でした。動きのよさが成績に直結するとしたら、今夏の体調もすこぶるよく、レースでの楽しみが広がります。

 今の札幌・芝は、前残り傾向が強いですが、コース自体はコーナーが緩く、立ち回り次第では差しも届く設定。流れひとつで、上位に食い込む可能性はあると思いますよ」 今春、牡馬相手のGI大阪杯(4月5日/阪神・芝2000m)を快勝し、現役トップレベルの実力を示したラッキーライラック。その牙城を崩すのはかなりハードルが高そうだが、同馬の最大目標はあくまでもこの先。余力残しの仕上げであれば、万全の仕上げで臨む馬がひと泡吹かしてもおかしくない。そして、その大役を果たす馬が、ここに挙げた3頭の中にいても不思議ではない。