PC版ホライゾン ゼロ ドーン、不具合修正パッチでセーブが消える不具合(復旧方法あり)
Guerrilla Games / Sony

多数の不具合を抱えたまま発売されたPC版『ホライゾン ゼロ ドーン』は、小刻みな修正パッチで現在も改善が進んでいます。

多くは「起動しない」「クラッシュする」「表示の不具合・品質低下」などを修正するものですが、一方でパッチを適用するとセーブデータが消えて続きをプレイできなくなる致命的な不具合も発生中です。

Horizon Zero Dawn はソニーが2017年にPS4で発売したSFオープンワールドRPG。開発はソニー傘下の Guerrilla Games。

Windows PC版の『Horizon Zero Dawn Complete Edition for PC』は、ソニーが内製したプレイステーション独占の看板タイトルをPCでも発売する新しい試みの試金石となる作品です。

開発元のゲリラはPS2時代以来PC向けゲームを発売していませんでしたが、独自のゲームエンジン Decima はコジマプロダクションの Death Stranding でも使われており、Windowsで市販ゲームを動かす実績はあります。

しかし8月7日に発売されたPC版ホライゾンは不具合が多く、Steamでは起動しない・クラッシュする・推奨環境でもグラフィックパフォーマンスが低い、PC版ならではの利点とされた高解像度や高フレームレートで問題が頻発するといった報告が多数。

遊べたプレーヤーからはゲーム内容についての賛辞が、ろくに遊べないプレーヤーからは下げるレビューが投稿されたことから、総合で「賛否両論」ステータスでデビューとなっていました。

PC版ホライゾン ゼロ ドーンは「賛否両論」デビュー、不具合は「最優先で改善」を約束

開発元ゲリラはこうした報告に対して、発売同時のデイゼロパッチ後も残る不具合は会社の最優先課題として修正すると確約し、約一週間後の14日にはパッチ v1.01、8月19日にはv1.02を配信して修正に努めています。

発生していた・現在も発生する問題はたとえば

・起動できない

・起動後にクラッシュする

・初回起動時に必要な最適化中にクラッシュする (必要な残りストレージ容量が正しく確認されず容量不足で落ちる、メモリ不足で落ちるなど)

・ゲーム中、誤ったメモリ上書きによりクラッシュ

・ゲーム中、GPU周りの要因でハング

・推奨環境以上でも、特定のGPUで極端にパフォーマンスが落ちる

・さまざまな表示の不具合、フレームレートの低下、カクつきモタつきなど

・UI要素が重なって表示される (マウス・キーボード操作時)

・ゲーム内の機能の不具合 (スローモーション効果が機能しない等)

・4KやHDRが正しく表示されない

・異方性フィルタリングなど、一部の設定画面が機能しない

・本来表示されるべきでないデバッグ名が表示される

なかなか壮観ですが、ゲームエンジン自体の問題だけでなくローカライズや文字コードの扱いにも手が回らなかった部分が多いらしく、日本語を含むマルチバイト文字環境で発生する不具合も多数あります。

特に大きいのが、パッチv1.01後に発生した「セーブデータが消えて続きが遊べなくなる」不具合。

これはセーブデータを保存するパスのユーザー名等に日本語を含むマルチバイト文字(Latin-1以外)が含まれているとき、正しく扱えずゲーム側から見えなくなることで発生しており、セーブデータのファイル自体は消えていません。

ゲリラは1.02パッチノートのなかで、ファイルを正しい場所に書き戻すスクリプトを用意したと述べていますが、ユーザーがかんたんに利用できる方法はなく、英文FAQページから「その他の問題を報告」を辿りメールで助けを求めるよう指示しています。

(自力で解決したユーザーが手順をSteam等で共有しているため、場所を特定してバックアップを取ったうえで、手動で書き換えれば修正可能です)。

そのほかローカライズや文字まわりで発生する / していた不具合は、

・初回ロード画面で、英語以外の環境では本来のテキストではなく仮置きのプレースホルダーが表示される

・ユーザー名に特定の特殊文字を使っている場合、フォトモードの写真がセーブできない

・日本でも「丸ボタンでキャンセル、Xボタンで決定」のまま (デイゼロパッチで修正済。プレイステーションを含め、海外では✗で決定、○がキャンセル)

など。

Guerrilla Games - パッチノート

最新パッチの時点でも、クラッシュやゲーム中に固まる、特定GPUや環境でパフォーマンス低下、異方性フィルタリングやHDR等一部の設定が効かないといった問題は解決できていません。

同じ Decimaエンジンを使ったPS4 / Windowsマルチ作品のデススト(Death Stranding)ではこうした騒ぎになるほどの不具合やパフォーマンス問題はおきていなかったことを考えると不審ですらありますが、ローカライズまわりだけでなく多くの環境で問題が発生していることから、エンジンの最適化不足以前に、あらゆる意味で検証不足・完成度不足のまま発売してしまったことがうかがえます。

PC版ホライゾンの価格は、Steam / Epic ともに4900円。PS4版のコンプリートエディションは、廉価版のベストヒットが出ているため定価で2189円(DL版)。頻繁にセール対象になるため、1000円前後で買えることもよくあります。

現状のPC版が「除去中の地雷原」と言わざるを得ない状況である一方、PS4版は当然ながら快適に遊べるのは確かですが、ホライゾンはPS4 Proでも30fps固定のゲーム。ある程度以上のゲーミングPCを持っていて、動きの激しいゲームで30fpsは厳しい、PCゲームで高解像度60fps以上に慣れているという場合、PC版しか選択肢がありません。

PS4からPCへのセーブデータのエクスポートや共有なども現状では対応していないため、PS4で途中まで進めてからPCに引き継いで遊ぶことも不可。PS4でプレイ済み、続編の前にPCで終わらせたりもう一周したい場合、強くてニューゲームは諦めて最初からプレイすることになります。