今シーズンのJリーグは点が入る。漠然とした肌触りだが、J1もJ2も良く入っている。

 J1は8月16日までに10節を消化しているが、総得点は249を数える。1試合平均では2.83点になる。

 この数字を上回るシーズンを探し出すには、実に06年までさかのぼらなければならない。過去5シーズンに絞っても、15年が219点、16年が226点、17年が217点、18年が212点、19年が208点となっている。「249」という数字の大きさが、浮かび上がる。

 J2はどうだろうか。8月16日までに12節を消化しており、総得点は315である。1試合平均では2・40点だ。

 こちらは現行の22チームによる2回戦総当たり制となった12年以降で、歴代2位となっている。12節終了時の最多は、18年の322点だ。いずれにしても、平均以上のペースで得点が生まれている、と言うことはできそうだ。

 得点が増えている理由はいくつかある。

 ひとつは交代人数の増加だ。

 ウィズ・コロナのリーグ戦開催ということで、今シーズンは試合中の交代枠が「3」から「5」に増えている。フレッシュな選手がより多くピッチに立てることで、攻撃の停滞を抑えることができる。後半開始や後半途中から、もう一度攻撃のギアを上げることが可能になっていると考えられる。

 8月15日に行なわれた北海道コンサドーレ札幌対川崎フロンターレ戦は分かりやすい。前半を1対0で折り返したアウェイの川崎Fは、後半開始から投入された三苫薫、64分から出場した小林悠が、それぞれ2得点をあげて6対1の大勝に結びつけた。

 ゴール増加のふたつ目の理由には、「5人交代の相乗効果」をあげたい。得点シーンを見ていると、J1、J2を問わずに思い切りのいい一撃が多い。守備側のミスが絡んだ得点もあるが、攻撃側の意欲を褒めるべきものが多いのだ。

 先発で出場している選手からは、フル出場を前提に体力を少しずつ使っていくのではなく、「いけるところまで全力でいく」という姿勢が感じられる。途中出場で起用された選手からは、「ここで結果を残す」というどん欲さが立ち上がっている。今シーズンが総力戦であることは周知の事実で、「スタメンかサブかを問わずに、ピッチに立った選手が結果を残す」というスタンスが、どのチームにも浸透しているのだろう。

 得点の多さに違う角度から光を当てれば、「過密日程」や「暑さ」の影響があげられる。ターンオーバーを敷いてもクオリティが落ちないチームばかりではなく、その結果として小さな綻びから得点が生まれる、ということも確かにある。「得点が多い」のではなく「失点が多い」という言い方をすれば、暑さによる集中力の低下もその理由にあげられるはずだ。

 それでも、各チームの守備が不甲斐ないと言うつもりはない。得点が多いことを、個人的に歓迎したい。

 得点を決めた選手は、自信をつけていく。数字を残すことでさらに自信を深め、スケールアップしていく。このままたくさんのゴールが生まれるリーグとして2020年シーズンが進んでいき、点を取ることに目覚める選手が何人も出てきたら面白いと思うのだ。