お弁当初心者にも気軽に挑戦できるレシピがいっぱいの『藤井弁当』(学研プラス)がヒット

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 「お弁当はワンパターンでいい」。おかずは3品まで、しかもすべて卵焼き器1つで作ることができる『藤井弁当』(学研プラス)が今年1月に発売に。お弁当本売り場が賑わう時期に加え、コロナ禍でのステイホームで休校中の子どもへのお弁当作り、外食自粛するビジネスパーソンなどのニーズに合わせ、同書も発売後即重版がかかったという。「日常の弁当作りのハードルが地上40cmまで下がった」「冷凍食品に頼らず楽しくお弁当男子やれてます」と購入者のレビューも好評価が多い。今までの常識を覆すシンプルな弁当本が多くの人に愛される理由とは? 著者である料理研究家の藤井恵さんに、秘話を聞いた。

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■お弁当って何を入れたらいいの? 念願叶ってできたシンプルなレシピ本

――今年1月に発売された『藤井弁当』が大きな反響を呼んでいます。まずは、発売のきっかけを教えていただけますでしょうか?

【藤井恵(以下、藤井)】私自身、2人の娘のために15年近くお弁当を作り続けてきました。その中で長く実践してきた“フライパン1つで、3品しか使わないお弁当”の本をずっと出したいと思っていて。念願叶ってできた本が『藤井弁当』です。

――藤井さん自身が実践してきた方法だったんですね。

【藤井】そうなんです。実は私、上の娘が幼稚園に入るまで、お弁当を作ったことがあまりなかったんですね。幼稚園児用の小さいお弁当に何を詰めていいのか、どのぐらいの量がいいのか分からず、色々なお弁当本を見たんです。そうしたら「こんなにいろんなものを入れなきゃいけないのか!」とプレッシャーになってしまって…絶対にできないと思ってしまいました。

――意外です! それまでお弁当には縁がなかったということでしょうか。

【藤井】はい。最初はキャラ弁を作ったりもしましたが、だんだん仕事と家事、子育てとやらなければならないことが増えてしまって、バランスがとれなくなってしまったんです。それで、なるべく楽にするにはどうしたらいいんだろうと考えた結果が、“シンプルなお弁当”だったんですね。

――手間を省いたシンプルさが人気ですよね。

【藤井】朝は、お弁当も作らなきゃいけないし、子どもたちに朝ごはんを食べさせて、幼稚園の時は送り迎えもしなければいけない。忙しい中で、フライパン1つで、しかも卵焼き器だけで作るようにしてからは、かなり楽になりました。

――“卵焼き器だけで作る”という発想はどこから生まれたのでしょうか?

【藤井】幼稚園時代はメインと野菜の2品だったんです。小学生になってだんだん量を食べるようになってきたので、卵焼きは必須だなと思ったんですよね。それで、卵焼きとメイン、ゆで野菜のすべてを作れる卵焼き器にたどり着きました。

――なるほど。ちなみに、朝ごはんのメニューはお弁当とは別に作られていたんですか?

【藤井】別でした。朝ごはんは「ごはんと味噌汁」か「パンとスープ」と決めていて、ガスコンロの火口をお弁当用に1つ、朝ごはん用に1つ使う感じでしたね。そういう意味でも、お弁当が卵焼き器1つで作れるのは理にかなっていたと思います。

■大忙しな朝も二日酔いでも “体が覚えている”お弁当の作り方

――1つのお弁当箱の中で、栄養や色どりなど「五感」で楽しめるところも、藤井さんのお弁当の魅力だと感じます。メニューを考える上で意識されたことはありますか?

【藤井】“タンパク質と野菜が取れればいい”ということをベースに、なるべくシンプルに考えました。調味料もいろいろなものを合わせるのではなく、塩コショウだけ、ケチャップだけなど、できるだけシンプルにしています。

――家にある調味料だけで、しかも1種類の味つけでできるのは、初心者にも分かりやすいですよね。

【藤井】塩コショウだけでも、ちょうどいい味がつけば、十分おいしくなりますからね。余分なものをそぎ取って、なるべく分かりやすくお伝えできたらいいなという思いがありました。

――藤井さん自身が、お気に入りのレシピはありますか?

【藤井】一番好きなのは、塩コショウだけのレシピです。塩ゆでブロッコリーに、塩の卵焼き。全部塩であっても素材の味がするからおいしいんですよね。お弁当って冷たくなってもおいしいし、安心感があると思うんです。撮影をしながら改めて「お弁当っていいな」と思いました。

――本の中で「5日間繰り返すと、体がお弁当作りを覚えていく」、「筋トレのようにじわじわ効いてくる」など、表現がユニークなのも印象的です。

【藤井】毎日繰り返すと、本当に体にすり込まれてできるようになるんですよね。私自身、お酒が大好きなんですが、二日酔いでも作れるくらい体が覚えているので少し時間がかかっても(藤井弁当なら)なんとかできるんです(笑)。

■初心者や男性からの反響も 華やかではなくとも“生活に根付いたお弁当”を

――幅広い世代から「お弁当作りが楽になった」、「無理なく続けられる」との声が多く上がっています。

【藤井】そういったお声をいただけて本当によかったし、嬉しく思います。お料理が好きな方や得意な方ばかりではないですから。私自身も、料理研究家という仕事をしているとはいえ、毎日お弁当を作るのは本当に苦痛でした(笑)。なので、今お弁当を作っている方に、少しでも楽に思ってもらえたら幸いです。

――“こんな人に手に取って欲しい”という思いはありますか?

【藤井】「もうお弁当なんか作りたくない」と思っている方に一度見て欲しいです(笑)。今回は幼稚園生向けではないですが、お弁当作りが初めての方にもぜひ見ていただけたらと思います。あとは、男性にもオススメです。実は、社会人になって一人暮らしを始めた甥っ子も「本を見て作れるようになったよ」と連絡をくれて。実際に活用してくれて、とても嬉しかったですね。

――コロナ禍で、自分のために毎日お弁当を作ったり、外食をせず家で料理をする機会も増えたように思います。毎日続けるためには、無理せず作れることが重要なのかもしれませんね。

【藤井】お弁当も食事も、無理をしないことが一番心の栄養になると思います。ストレスになってしまったら、何もいいことがないですから。今回は、何品も入っている華やかなお弁当ではないけれど、“生活に根付いたお弁当本”ができたと思っています。

――娘さんが成長されて、お弁当作りは卒業されたということですが、改めて、お弁当を作っていた頃を思い返していかがですか?

【藤井】今は、作っていてよかったなと思います。大変でしたし、何度も500円玉を持たせて「これで買って」と言おうかと思いましたが、結局作り続けたんですよね。もうちょっと楽してもよかったかもしれないと思うので(笑)、みなさんにはぜひ楽になって欲しいです。

――最後になりますが、今後取り組んでみたいテーマがあれば教えてください。

【藤井】私自身お酒が大好きなのですが、今はなかなか気軽に会食や飲み会ができないですよね。今までおつまみ本はたくさん出しているのですが、今度は洒落たものではなく、私が普段仕事を終えた後に簡単に作っているおつまみの本を出したいです。

――確かに、家飲みする方も増えていますよね。

【藤井】手をかけなくてもおいしいものって、意外とたくさんあるんです。“ちくわのマヨ辛し和え”とか、“千切りキャベツの塩昆布和え”のように、おいしくていくらでも食べられる簡単なレシピをまとめて本にできたらいいなと思っています。