今度は「金融利権」を画策する菅氏

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「暗黒法」とも言われる国家安全維持法が施行されたことで、これまで「アジアの金融センター」と呼ばれた香港から金融機関の人材や企業が流出する動きが出始めている。日本がその受け皿となれれば、莫大な国益をもたらすことは間違いない。しかし、誘致にあたる菅義偉官房長官は、自らの“利権”を優先するあまり、最有力候補の東京ではなく、大阪と福岡に特区を作る意向なのだ。

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「国家安全維持法が施行されたことで、香港における経済活動への不透明感が強まりました」

 こう解説するのは、第一生命経済研究所主席エコノミストの永濱利廣氏。公用語が英語で、法人税率の低い香港にはこれまで金融業者を含む外資系企業が集まりやすかった。しかし、大規模な民主化デモが頻発するようになると、「アジアの金融センター」の座は揺らぎ始め、今回の暗黒法の施行により、その座から陥落することが決定的になったのだ。

今度は「金融利権」を画策する菅氏

 では、どこが香港に取って代わるのか。イギリスのシンクタンクが今年3月に発表した「国際金融センター指数」では、東京はニューヨーク、ロンドンに次いで3位となっている。

「最新版のレイティングは、ロンドンが742点、東京が741点、上海が740点です。つまり、東京とロンドン、そして上海はとはほとんど横一線で並んでいるのです。ですから、東京は、ロンドンを超え世界第2位のグローバル金融センターになれる絶好の位置にいます」(シグマ・キャピタルのチーフエコノミストである田代秀敏氏)

 となれば、日本政府は上海やシンガポールなどのライバルに負けないようにするため、東京に資金投下する必要があるのだ。ところが、7月に二度にわたって行われた和泉洋人・総理補佐官と関係各省の幹部による打ち合わせで明らかになった方針は、

「菅さんの意を受けた和泉さんがそこで出した指示は、『大阪を中心とする関西圏や福岡の特区』に国際金融機能や人材を誘致するための課題を検討せよ、というものだったのです」(永田町関係者)

 なぜ世界的にも評価が高い東京は外されたのか。背後にあるのは、菅官房長官の意向だ。政府関係者は、菅官房長官の「小池都知事嫌い」も影響しているとしつつ、決定的なのは“利権”であると解説する。

「関係の深い日本維新の会への『土産』ですよ」

 と先の永田町関係者。コロナの影響で開業に暗雲が立ち込めはじめたIR(カジノを含む統合型リゾート)に代わる経済の起爆材として金融センターの誘致を差し出した形だという。

 一方、福岡が俎上に載せられた背景には、福岡を地盤に持つ麻生太郎・副総理の存在がある。

「元々、菅さんと麻生さんは犬猿の仲。その2人が金融センターを巡って手を組んだ。『ポスト安倍』を狙う菅さんが麻生さんの協力が欲しくて、麻生さんがそれに乗ったということです」(政府関係者)

 8月19日発売の週刊新潮では、既に動き始めている「大阪・福岡案」の詳細について報じる。

「週刊新潮」2020年8月27日号 掲載