サッカー日本代表 現ベストメンバーを考える 後編

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 W杯予選が来年に再延期になり、この先の活動の見通しがまだ不透明なサッカー日本代表チーム。もし今すぐに試合があるとしたら、2020年8月時点で選ばれるべきベストメンバーはどんな顔ぶれになるのか、識者たちが選出した。前回の活動から8カ月が経ち、所属クラブでの状況から状態のいい選手、悪い選手が誰なのか。また、現在適任がいないポジションもわかってきた。

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大きな飛躍を遂げた久保建英には、この先の日本代表の中心的な活躍が期待される

海外組で活躍した選手は使いたいところ

浅田真樹(スポーツライター)


充実の大島と遠藤をボランチで組ませたい

 ヨーロッパではシーズン途中で打ち切りになったリーグもあり、海外組に関しては現状をつかめないところもあるが、概ね充実したシーズンを送った海外組に加え、Jリーグで好調の選手を選んだ。

 何と言っても、まずは久保建英だ。ラ・リーガ再開後は際立ったパフォーマンスを披露していた。現状において海外組のなかでも最高のプレーを見せている。使わない手はない。

 久保につづくのは、フランクフルトでの活躍が目覚ましい鎌田大地。本来は1トップ向きではないとは思うが、2列目は人材豊富なこともあり、鎌田がハマってくれれば先々の見通しが明るくなる。同じく、ブンデスリーガのシュツットガルトで右肩上がりに調子を上げた遠藤航も、今使いたい選手だ。

 南野拓実はリバプールへの移籍で、さすがに出場機会は減らしたが、彼自身のパフォーマンスは悪くない。久保や鎌田にはない日本代表での実績もあり、外す理由にはならないだろう。

 DFラインでは、冨安健洋、酒井宏樹が所属クラブで安定したプレーをつづけた。経験もあり、彼らが守備陣の中心となる。

 一方、国内組だが、まずはJ1でのパフォーマンスが際立つ古橋亨梧を抜擢したい。中島翔哉、堂安律らが物足りないシーズンを過ごした今、新戦力を試すチャンスだ。

 ボランチでは大島僚太を、同じリオ五輪組の遠藤と組ませたい。これまでケガが多く、再三日本代表招集を棒に振ってきたが、現在の川崎フロンターレでのプレーは出色で、まさに充実期を迎えている印象だ。

 GKには中村航輔。ケガがなければ、すでに日本代表の主力にもなれたはずで、今季も出場機会を得てからはいいプレーを見せている。

 難しいのは、左サイドバック(SB)と左センターバック(CB)の選択だ。国内外を問わず、正直、これといった決め手がない。長友佑都、吉田麻也への回帰も視野に入れつつ、新たな顔を加え、選択の幅を広げたい。

クラブでコンスタントに試合に出ているメンバー

飯尾篤史(スポーツライター)


コンスタントに試合に出ているメンバーを選出

 所属クラブでコンスタントに試合に出ているメンバーを選出したが、唯一の例外が南野拓実だ。冬に移籍したリバプールではスタメンの機会が少なかったが、所属するのは昨シーズンの欧州王者であり、今シーズンぶっちぎりでプレミアを制したチームなのだ。南野を選ばない手はない。

 その南野を左サイドにスライドさせてまで起用したいのが、鎌田大地。シント・トロイデンから復帰したフランクフルトで、公式戦10ゴール9アシストと大きく飛躍。サガン鳥栖時代から定評のあったフィニッシュワークに磨きがかかり、ヨーロッパリーグ(EL)のラウンド32ではハットトリックを決めたほど。ヨーロッパの速さ、強さにも完全に適応した鎌田を一度、トップ下で試したい。

 右サイドはマジョルカで孤軍奮闘した久保建英を、満を持してスタメンで起用。アトレティコ・マドリードの猛者たちを手玉に取ったドリブルを、遺憾なく発揮してほしい。ヘンクでスタメンを張り、ベルギーで一目置かれている伊東純也も外しがたい存在だが、スーパーサブとして快足を生かしてもらおう。

 ザルツブルクの奥川雅也は、チーム内で南野の後継者と評価されている24歳。プロ1年目だった15年夏に京都サンガF.C.から欧州に渡り、過去4シーズンは期限付き移籍で経験を積んだが、昨季は公式戦11ゴールとブレイク。代表に招集されても不思議ではない。

 ボランチの一角は、名門シュツットガルトのドイツ1部復帰に貢献した遠藤航。もうひとりは、スペイン3部に降格したデポルティーボ・ラ・コルーニャの柴崎岳より、現在無類の強さを誇る川崎フロンターレの心臓、大島僚太を推したい。遠藤と大島のリオ五輪コンビに、ロストフへ移籍した橋本拳人が食い込めるかどうか。

 1トップの大迫勇也と、CBのセリエAコンビ、吉田麻也&冨安健洋は文句なし。右SBも酒井宏樹を脅かす存在は見当たらない。バックアップには東京五輪世代の21歳、橋岡大樹に経験を積ませたい。

 問題は左SBだ。頼みの長友佑都は今年2月以降、登録から外れて公式戦のピッチに一度も立っていない。契約満了でガラタサライを退団したが、現時点では所属先が決まっていない状態なのだ。シント・トロイデンの松原后も8月9日のヘントとの開幕戦ではベンチを温めていた。

 一方、Jリーグに目を向けると、最も好パフォーマンスを見せているのが、川崎フロンターレの登里享平。ただし、代表未経験者であり、今年30歳になるため、選出は難しい。

 そこで、本来はボランチだが、昨シーズンに何度か左SBでも出場した中山雄太を抜擢した。長友のように上下動をするタイプではないが、正確な左足のキックでビルドアップに貢献でき、偽SBとして中盤でプレーしても面白い。

 GKはシント・トロイデンのシュミット・ダニエルが負傷で長期離脱中。そのため、ポルトガルリーグ後半戦でポジションを掴んだ権田修一と、J1で現在、好セーブを連発している柏レイソルの中村航輔の争いになる。

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2列目を刷新して攻撃的に臨みたい

井川洋一(スポーツライター)


両翼を生かしたダイナミックなゴールを期待する

 現時点のベストメンバーなので、直近の結果とパフォーマンスを重視した。W杯予選を考えると格下との対戦になるので、中盤は正三角形から逆三角形にして、より攻撃的に臨んでもらいたい。

 1トップはブレーメンでチームと共に苦しいシーズンを過ごしながら、最終盤に復調した大迫勇也。昇降格プレーオフでなんとかブンデスリーガ残留を決め、心身ともにひと息つけているはずだ。

 そのバックアッパーには、北海道コンサドーレ札幌で得点を重ね、ベルギーへの移籍も噂されている鈴木武蔵を推したい。今季は出場した全公式戦でネットを揺らしているうえ、直接FKも武器になっている。

 2列目は、これまでの主力全員がクラブで出番を減らしているので刷新した。左翼にはセルビアの名門パルチザンで研鑽を積む浅野拓磨、右翼には名古屋グランパスで得点を重ねる前田直輝を抜擢。どちらも推進力と決定力を兼備しており、逆サイドからのクロスに飛び込むダイナミックなゴールを期待する。

 中央にはフランクフルトでレギュラーとなり、アーセナルやドルトムントといった強豪を相手に決定的な仕事を披露した鎌田大地と、ビジャレアルでも着実に存在感を高めそうな久保建英を置く。このふたりには日本随一のスキルと創造性を発揮してもらいたい。Jリーグで首位をひた走る川崎フロンターレのオーガナイザー、大島僚太も面白い。

 アンカーには、シュツットガルトで1部昇格に貢献した遠藤航か、FC東京からロストフへの移籍を果たした橋本拳人のどちらかを。

 CBには守備の国イタリアでプレーするおなじみのふたりが入るはずだ。吉田麻也は冬に移ったサンプドリアで最終ラインの中央を任され、冨安健洋はボローニャで主にライトバックとして1年目からレギュラーの座を守りつづけた。川崎の屋台骨、谷口彰悟の代表復帰も見たい。

 代表で不動の左SBだった長友佑都は長らく実戦の機会から遠ざかり、現在は無所属なので、マルセイユの酒井宏樹を左に回し、右には新天地の川崎で躍動する山根視来を抜擢。柏レイソルの25歳のGK中村航輔には、この後の代表を長く支える存在になることを期待したい。

さまざまな組み合わせをテストしたい

後藤健生(サッカージャーナリスト)


コンディションのよさそうなメンバーを選んだ

 日本で新型コロナウイルスの感染者数が増加している現在、ヨーロッパのクラブに所属している選手を招集することは可能なのだろうか? たとえば、日本からヨーロッパに帰った時に行動制限などが課せられるようなら「強行招集」はすべきではない。

 今回はその点は無視して全選手を対象としてベストメンバーを選んだが、リーグ戦が途中で終了してしまったフランスやオランダでプレーしている選手たちはコンディションに不安があるので先発からはずした。

 たとえば、守備陣ではリーグアンが打ち切りとなったマルセイユ所属の酒井宏樹や出場機会が少ないままガラタサライを退団した長友佑都は起用せず(とくに長友は年齢的なこともあり、バックアップ探しは急務)、SBにはJリーグで好調なプレーを見せた室屋成と佐々木翔を起用した。最近のパフォーマンスを見れば、酒井高徳の代表復帰や若い鈴木冬一の抜擢も期待したい。

 MFは柴崎岳と遠藤航で決まりだろうが、Jリーグ組で成長著しい田中碧や、ロシアに移籍したばかりの橋本拳人も絡んでくる。

 攻撃陣でもオランダリーグの打ち切りで活躍の場を失った堂安律や、個人的な理由からポルトで出場機会を失った中島翔哉ははずし、スペインでその実力を証明した久保建英や、それぞれの所属チームで好調だった鎌田大地、浅野拓磨を試したい。鎌田はやはりトップ下だろうから、南野拓実は左サイドや1トップでテストしたい。

 W杯2次予選は再延期になったが、JFAは親善試合を組む意向だという。もしそれが実現するなら、最終予選に向けてのチームづくりが最優先。同時に若手中心で戦う試合もあっていい。