ダービージョッキー
大西直宏が読む「3連単のヒモ穴」

◆関屋記念で狙える「大穴」はこちら>>

 長かった梅雨が明けた途端、強烈に暑い日が続いていますね。コロナ禍という大変な状況にありますが、熱中症にもくれぐれもお気をつけください。

 さて、中央競馬界は今週から、小倉開催がスタートし、新潟と札幌は開催替わり。夏競馬も、はや後半戦から終盤戦へと差しかかろうとしています。

 今週の重賞は、新潟でサマーマイルシリーズ(※)第3戦のGIII関屋記念(8月16日/新潟・芝1600m)が、小倉でサマー2000シリーズ第3戦のGIII小倉記念(8月16日/小倉・芝2000m)が行なわれます。どちらも楽しみな一戦ですが、面白いメンバーがそろった関屋記念を、ここでは取り上げたいと思います。
※夏競馬を盛り上げるために行なわれている重賞のシリーズ戦(※一部、リステッド競走も含む)。6月〜9月に開催される指定重賞での成績をポイント化し、その総合得点を競うもの。芝のスプリント戦(1000m〜1200m)を対象にしたものが『サマースプリントシリーズ』、芝1600m戦を対象にしたものが『サマーマイルシリーズ』、芝2000m戦を対象にしたものが『サマー2000シリーズ』。そして、それらすべてのレースを対象にしたものが『サマージョッキーズシリーズ』。それぞれのシリーズチャンピオンには褒賞金が与えられる。

 GIII中京記念(7月19日/阪神・芝1600m)を勝って、現在サマーマイルシリーズのトップに立っているメイケイダイハード(牡5歳)は、関屋記念にも出走してきました。こちらは、ここで連勝と決めれば、文句なしのサマーマイルシリーズ優勝となります。

 オープン入り後は惨敗続きで、頭打ち状態にあったメイケイダイハード。中京記念では、厩舎サイドでさえ惨敗を覚悟していたそうで、最低18番人気でした。そうした状況での勝利ゆえ、その結果をどこまで評価していいのか難しいところですが、シリーズ優勝が視界に入ってきた今、陣営の仕上げにも気合が入っていると思いますし、馬自身も"勝った"という経験によって、本来の覇気を取り戻すかもしれません。

 その他で注目されるのは、サマーマイルシリーズを意識している印象がある矢作芳人厩舎の2頭。中京記念3着のエントシャイデン(牡5歳)と、今年からサマーマイルシリーズに組み込まれたオープン特別の米子S(6月21日/阪神・芝1600m)で3着、中京記念で5着だったミッキーブリランテ(牡4歳)です。どちらもポイントを稼いでいて、関屋記念に勝てば、シリーズ優勝の可能性が膨らんできます。

 以前は、対象レースが3つしかなかったこと、そしてサマーシリーズよりも秋のマイルGIを目標とする馬が対象レースに1戦だけ臨んで勝つことが多かったため、サマーマイルシリーズでは規定ポイントに届く馬が1頭もおらず、シリーズチャンピオンの「該当馬なし」という年が頻繁に見られました。しかし、対象レースが増えた今年は、シリーズ優勝へ向けての争いが白熱し、面白い戦いが見られそうです。

 とはいったものの、今年の関屋記念で個人的に最も注目しているのは、クリノガウディー(牡4歳)。サマーマイルシリーズのタイトルにはあまり関心がなさそうな馬なんです。前走のGIII CBC賞(7月5日/阪神・芝1200m)では、1番人気を大きく裏切ってしまいましたが、今度こそ、があるのではないかと思っています。

 いまだに勝ち星は、新馬戦の1勝だけ、というクリノガウディーですが、今年のGI高松宮記念(3月29日/中京・芝1200m)では1位入線を果たしています。進路妨害によって、4着に降着となってしまいましたが、その激走が脳裏に残っている方も多いのではないでしょうか。

 仕切り直しの一戦に選んだのは、サマースプリントシリーズのCBC賞。実質的には勝っていた高松宮記念の結果を踏まえて、スプリント適性の高さを陣営も信じたのでしょうが、結果は12着の惨敗に終わりました。

 1勝馬にもかかわらず、高松宮記念を勝ったと見なされて、最も重いハンデ58kgを背負わされたことも可哀相でしたし、2度目のスプリント戦という経験が浅いなか、ラブカンプーの暴走気味のハイペースに付き合わされたことも不運でした。ただ、クリノガウディーという馬は、注目される立場になるとさっぱり。これまでも上位人気になった時は、ことごとく馬群に沈んできました。

 思えば、新馬戦でも良血馬がそろっていたレースで、クリノガウディーは人気の盲点になっていました。以降、好走したレースは、大敗後の人気が急落したタイミングがほとんどでした。

 高松宮記念の時もそうでしたが、クリノガウディーが好走する時は、他馬からのマークが薄く、有力馬に出し抜けを食らわすような形で、気づいたら抜け出していた、というパターン。自分でレースの流れを作って、他馬の仕掛けを受けて立つ、という形は向いていないように思います。

 また、昨年の夏以降は、右回りで凡走し、左回りに替わって巻き返し、という結果を繰り返しています。今回は、まさに右回りで人気を裏切ったあとの、左回りの舞台。いかにも、という感じがします。

 さらに今回、横山典弘騎手が続けて騎乗することも好材料でしょう。前走は回ってきただけで終わってしまいましたが、今度はいろいろなことを考えていると思いますよ。どれだけ人気が落ちるかわかりませんが、低評価になればなるほど、馬券的な妙味は増しますし、一発への期待も膨らみます。


関屋記念での一発の可能性を秘めているアンドラステ

 人気が急落するようなら、クリノガウディーこそ、穴馬としてオススメですが、今回の「ヒモ穴馬」には、もう1頭別の馬を取り上げたいと思います。

 クリノガウディーと同じ4歳馬ですが、その戦歴は真逆とも言えるアンドラステ(牝4歳)です。ずっと重賞を走り続けてきて1勝馬のまま、というクリノガウディーとは違って、アンドラステは大舞台の経験は少ないものの、条件戦を地道に勝ち上がってきて全4勝。いまだ底を見せていません。

 前走のGIIIエプソムC(6月14日/東京・芝1800m)では、重賞初挑戦で、しかも牡馬相手ながら4着と善戦。初めて3着以内を外す結果となりましたが、不良馬場で、内が極めて有利な展開のなか、ただ1頭、馬場の真ん中から脚を伸ばしてきた姿には、着順以上の凄味を感じました。

 今回は、2走前の3勝クラス・パールS(5月16日/新潟・芝1800m)で快勝している新潟コース。厩舎サイドの判断を見ると、左回りの走りがいいので、牡馬相手でもエプソムC→関屋記念というローテーションを組んできた様子がうかがえます。

 鞍上は、デビュー2年目にしてメキメキと頭角を現している岩田望来騎手。現在48勝を挙げて、全国リーディング8位という好成績を残しています。その勢いは、父である岩田康誠騎手を完全に凌いでいます。

 唯一物足りないのは、重賞勝ちがないことでしょうか。成績向上とともに、今春あたりからは重賞で有力馬に乗る機会も増えてきているのですが、なぜか結果に結びつけることができていません。エプソムCでも、馬場や展開がもう少し味方してくれていれば、重賞初勝利もあったと思うのですが......。 そのうっ憤を晴らすためにも、関屋記念での奮起が期待されます。アンドラステとのコンビで初の重賞制覇なるか、注目です。