アニメの制作サイドとして入口の役職であり、将来的には演出家や監督、プロデューサーなど多岐にわたる仕事につながる「制作進行」がどういう仕事なのか、実務内容まで細かく解説したマニュアルが、日本動画協会の公式サイトで無料公開されています。

「アニメシリーズ制作における 制作進行のマニュアル」 WEB 無償公開のお知らせ | 日本動画協会

https://aja.gr.jp/info/1583

TVアニメシリーズ制作における制作進行のマニュアル | 日本動画協会

https://aja.gr.jp/download/tv-anime_seisakushinko_manual



このマニュアルは大きく「1.日本アニメの特徴と形式」「2.制作進行とは」「3.アニメ制作の基本工程」「4.アニメに関わるスタッフ」「5.制作進行の実務」の5つの章で構成されています。

「1.日本アニメの特徴と形式」の章は「日本のアニメの特徴」「アニメのフォーマット」「アニメの映像単位」「アニメの収益と波及効果」の4項目で、アニメ制作関連会社が2016年時点で622社あり、アニメの権利に関わる売り上げが2018年に2兆1814億円に達していることなどに言及しています。



「2.制作進行とは」の章は、「制作進行とは」「制作進行に求められる能力」「制作進行のキャリアアップ」「秘密保持の重要性」「報告・連絡・相談の徹底」の項で成り立っています。制作進行という役職で求められる全般的素養や実務能力はなにか、どういうキャリアアップのパターンがあるのか、といったことが書かれています。



「3.アニメ制作の基本工程」の章は、「アニメ制作の基本工程」「基本工程のための用語集」「アニメ制作を管理するためのツール」の3項目。作品の企画が立てられてから公開までにどのような工程を経るのか、制作進行はどんなものを使って制作の管理を行っているのかが解説されています。



「4.アニメに関わるスタッフ」の章は、「制作関連のしごと」「シナリオ関係」「監督、絵コンテ、演出」「設定」「アニメーター」「仕上、特殊効果、撮影等デジタル関連」「美術(背景)」「音響」と、セクションごとに作品内でどういった役割を果たしているのかの解説が行われています。



「5.制作進行の実務」では、マニュアルの分量のほぼ半分を割いて、制作進行が行う実務の解説が行われています。小見出しをずらっと並べるだけでも大変な仕事であることが伝わってきます。

・スケジュールの立て方

・制作進行の仕事の流れ

・演出打ち(演出打ち合わせ)

・作監打ち(作画監督打ち合わせ)

・原画マンの集め方

・作打ち(作画打ち合わせ)

・レイアウトとラフ原画の回収

・レイアウトとラフ原画のチェック

・原画の回収とチェック

・動画検査との調整

・動画の発注

・背景打ち(背景打ち合わせ)

・色打ち(色打ち合わせ)

・仕上工程

・色指定・セル検との調整

・撮打ち(撮影打ち合わせ)

・撮入れ

・ラッシュチェック

・編集

・アフレコ

・ダビング

・リテイク作業

・原版組み

・V編(ビデオ編集)

・完成後にすること



このマニュアルは、株式会社トリガーの舛本和也さんが執筆した「アニメーション制作における制作進行の座学本」のデータをベースに、制作進行業務をマニュアル化したもの。

なお、制作進行としての体験を踏まえた書籍として、舛本さんは「アニメを仕事に! トリガー流アニメ制作進行読本」を出版しているので、「アニメーターとしてではなく、制作側としてアニメに携わりたい」と考えている人は、ぜひこちらも読んでみてください。