皆さんは誰に投資の相談をしていますか。相談相手を間違えると素人ほど痛い目を見ます。本記事では陥りがちな投資アドバイザー選びの失敗事例から本当に信頼できるアドバイザーの探し方について紹介したいと思います。

投資を相談する相手は誰がよい?


○証券会社に株式を買った方がいいか聞くのは魚屋に「魚を食べた方がいいか」と聞くようなもの

証券会社をメインの投資アドバイザーとしている方はそれなりにいるのではないでしょうか。初めて働いたのが日本の大手証券会社だった私からすると、実は初心者はあまり証券会社に相談しない方がいいのです。

初心者は証券会社を投資のプロと思って、この人が言ったことは間違いないだろうと思いがち。なので、勧められた株が下がると「だまされた! 投資はもうやめる!」となって、日本から1人の投資家が消えていくみたいな状況が生まれてしまうのです。

未経験者でも株が下がる可能性があることを理解するべきでしょうが、証券会社の担当者による説明が悪い可能性もあります。それは、株価が「上がる」と言って売るケースが多いからです。

本来であれば、「株なので下がる可能性もあり1/2、1/3になるかもしれない」と説明しなければいけません。しかし、そんな説明をされると、買うことを不安に思いますよね。

投資に慣れている人であれば、担当者を全面的に信用することが少なく、株が下がっても気にしませんが、初心者は気を付ける必要があります。

また、ありがちなのが、証券会社に「株式を買った方がいいですか?」と質問する人。魚屋が肉を勧めることはないので当然、魚を食べた方がいいと勧めます。

保険会社の営業マンを信用しすぎて陥る保険地獄

投資した始めての金融商品が保険という方はかなり多い印象で、ネット証券を含めて証券会社と取り引き経験のある人の割合が50〜60%としたら、保険取り引きがある方の割合はほぼ100%な気がします。それくらい「保険」という金融商品は普及しています。

しかし、初心者や投資を知らない人ほど、「保険は投資だ」と勘違いしています。これは保険会社の営業マンが言うからそう信じているケースが多いのです。確かに保険には、株式などリスク資産に投資しているものも存在します。

しかし、間違いなく保険は投資とは異なり、投資を考えたいなら、インターネット証券などで直接行った方が良いでしょう。理由は簡単で保険型の投資商品は保険会社のコストが多大にかかっており、投資効率が悪いのです。

「保険は投資」と勘違いすると、基本的に多ければ多いほど良いと勘違いをしてしまい、必要以上に多額の保険をかけてしまっている事例が多いです。

例えば、投資に関して相談にくる方で、毎月30万円、40万円とさまざまな保険に加入している人がいます。そういう場合、もしもの時の死亡保障金額は数億円になるのですが、「そんなに死亡保障は必要ですか?」と尋ねると、「必要ない」と答えるケースが多々あります。

「なぜこんなに多くの保険に入ったのでしょう?」と聞くと、保険会社の担当に「預金にしておくのはもったいない! 保険で資産運用しましょう!」と勧められたからだと言うのです。

保険に加入しすぎている方の特徴は、普通に投資するよりも効率が悪いので、まったく資産が成長しておらず、資産形成ができていません。老後の生活資金はこのままで大丈夫か、と心配になる人が多いのです。

初心者がやりがちで、保険会社の営業マンに「絶対してはいけない質問」は「毎月どれくらい保険に入った方がいいですか?」。「保障だけでなく資産運用もかねて、入れるところまで入りましょう」と答えると思います。

保険は保険、投資は投資と理解しましょう。

保険は死亡や病気の保障を得るためのもので、投資の器としては効率悪い金融商品。営業マンの言葉に惑わされず、自分に必要な死亡保障金額を保険会社のツールを使ってしっかりと確認し、それが1,500万円であれば、その分の保険に入れば済む話です。保険会社に保険商品の内容やリスクを相談しても、人生の相談をしてはいけません。

○不動産の営業マンを信用しすぎて陥る不動産地獄

不動産投資をする人は日本では少ないでしょうが、最近は普通のサラリーマンによる不動産投資が増えているので、ここで失敗例を説明したいと思います。

不動産業界は証券や保険と異なり当局の指導がさほど厳しくないです。金融業の免許を持っている業者には金融庁や財務局から顧客への投資リスク説明、商品内容説明、交付する書面など徹底的に義務づけられ定期的に検査がありますが、不動産会社にはそれがありません。

取り引き時に重要事項説明をしないと業法違反になりますが、それは取り引きを成立させるための要件で、投資リスクを説明するものではないのです。

「不動産地獄」に陥る人に一番多いと思うパターンは「新築マンション投資によるマイナスキャッシュフロー」。中古マンションは新築マンションに比べると利回りが低いです。不動産投資の前提は、銀行から借り入れをしてその資金で不動産に投資し、そこの賃料収入から銀行借り入れの元本や利息を返済するというもの。

利回りが低いということはその賃料収入が少ないということです。マイナスキャッシュフロー(以下、マイナスCF)になるという意味はその賃料収入から借り入れ返済を引いた値がマイナスになる。つまり、賃料収入では返済しきれず、持ち出しが発生している状態なのです。新築マンションに投資するとこの状態になる可能性が高い。

分かりやすく実際の事例を使って説明したいと思います。前提は5年前、都心新築区分マンション10部屋に投資(投資総額2億円、平均年利回り3.5%)、銀行借入総額2億円(借入金利1.8%)。物件、借り入れの条件は相場だろう。この前提だと年間の賃料収入は700万円に対して、借り入れ返済総額は770万円となり70万円のマイナスCFとなります。

毎年70万円の持ち出しが必要なのに、なぜこの物件に投資したのでしょうか。この方は高収入で税金が高く節税目的で投資をしたのです。マイナスCFですが、税的メリットを感じ、それを納得した上で投資しています。では、なにがこの場合問題なのでしょうか。それは、このマイナスCFが拡大していること。

新築物件は新築プレミアムが存在しているので家賃が中古より高いです。なので、新築物件を借りる人は高い賃料を払うが、次に入居する人にとっては中古なので賃料は下がる可能性が高い。そして月日を追うごとに古くなり、賃料は下がり続けます。

紹介したケースでは、築5年で年間家賃は700万円から665万円と35万円下がりました。家賃は5年で5%くらい下がることになります。つまり、マイナスCFは返済総額770万円から665万円を差し引き105万円となりました。

投資した物件は人口減少地域でさらに賃貸需要の減少もあり、賃下げ圧力が強く今後も毎年1%ずつくらいマイナスCFは拡大しつづける可能性が高いでしょう。さらに5年後には140万円、10年後には175万円、15年後には……。

分かりやすいよう詳細は省略しますが、5年の間にも修繕費や諸経費、空室になっている期間もあり、それらを含めるとマイナスCFはさらに大きくなり、修繕費や空室率は古くなるごとにかかるので、マイナスCFは将来は大変な数字になることが予想できます。これが「不動産地獄」です。

この不動産投資家の落ち度は勉強不足で家賃下落を想定しなかったこと。また、不動産を販売した営業マンが不誠実なのは家賃下落を説明しなかったことです。

そして、その家賃下落を説明する義務がない不動産業界では、この営業マンが説明しなかったことは「お咎めなし」となるのです。

○信頼できるアドバイザーの探し方

これまでの失敗事例を見ていただければ分かるように、投資初心者にとってもっとも大事なのは信頼できるアドバイザー探し。その重要なポイントは3つです。

○資産全体の提案をしている会社にまず相談する

株式や債券、不動産そもそも自分が何にどれくらい投資すればいいのかを検証する必要があります。特定の商品だけを持っている会社に相談すると必ずその商品を勧める提案やトークになるので、そのバイアスがない会社に相談するのが重要です。

○1社だけではなく、何社か話を聞いてみるということ 

10社とは言いませんが、複数社聞くべきでしょう。そうすることで会社ごとの特徴や考え方が分かり、その中で自分に一番合う会社をアドバイザーとして選べばよいのです。

○余裕がある会社と担当者を選ぶこと

余裕がない会社や担当者を選ぶと、顧客のリスク許容度の範囲を超えていてでも、商品を買わせたいというバイアスが働きます。顧客のメリットより、会社や担当者本人のメリットを選ぶのです。会社も担当者もどちらも余裕がないと顧客本位の良い提案は絶対にできません。

○まとめ 

本記事は以上となりますが、投資アドバイザー選びの大事さを分かっていただけましたか。本当に信頼できるアドバイザーを探すのは簡単ではないですが、数年をかける価値があると考えています。皆さんが素晴らしいアドバイザーを見つけ、少しでも資産形成が進むことをお祈りしております。

○著者プロフィール:世古口俊介(せこぐち・しゅんすけ)

プライベートバンカー、株式会社ウェルス・パートナー代表。大学卒業後、2005年4月に日興コーディアル証券(現・SMBC日興証券)に新卒で入社し、プライベート・バンキング本部にて富裕層向けの証券営業に従事。その後、三菱UFJメリルリンチPB証券(現・三菱UFJモルガンスタンレーPB証券)を経て2009年8月、クレディ・スイス銀行(兼クレディ・スイス証券)のプライベート・バンキング本部の立ち上げに参画し、プライベートバンカーとして同社の成長に貢献。同社同部門のプライベートバンカーとして、最年少でヴァイス・プレジデントに昇格。現在は株式会社ウェルス・パートナーの代表として富裕層や事業オーナー向けに資産配分と資産運用設計の最適化コンサルティングを提案。