2歳になったパンダの彩浜 飼育スタッフさんが語る苦労と喜びの700日
和歌山県のアドベンチャーワールドで暮らすジャイアントパンダの彩浜(さいひん)が、8月14日に2歳を迎えます。
飼育担当の中谷さんに、これまでの2年間を振り返ってもらいました。

※動画・画像提供:アドベンチャーワールド

――彩浜はどんな性格ですか?
中谷さん:彩浜だけでなく、お姉さんの結浜(ゆいひん)・桃浜(とうひん)・桜浜(おうひん)も含めて「浜家」は全体的に好奇心旺盛で、活動的ですね。

――公式Twitterでも、よくおてんばぶりを発揮されていますよね。彩浜だけの特徴はありますか?
中谷さん:彩浜はよく鳴く子だなぁと思います。パンダは10種類くらいの鳴き声があることがわかっているのですが、大人のパンダがごはんを欲しいときの鳴き声だけでなく、甘えるような声を出すことも多いです。

――すごく可愛いですね!
いまではすっかり元気な彩浜ですが、誕生時はこれまでアドベンチャーワールドで生まれた16頭のなかで最も小さい75g。最初は体温の低下も激しく、大きくなれるのだろうか…と心配されたそうですね。

中谷さん:はい。体が小さすぎて、毛が生えそろうまでは体温調整がうまくできず、保育器に入っていました。


――その、スタッフさんが24時間体制で見守っている時期に、希望がわいた瞬間や「無事に育つかもしれない」と感じた瞬間はありましたか?
中谷さん:正直、安心というのは今でもしていないんですが…。生まれて2日目に(スタッフが哺乳するのではなく)自分から自力でミルクを飲んでくれた時は、お姉さんパンダたちのように育つことができるかも!と思えました。

――2日目にはもう生命力を発揮してくれたんですね。良かったです…! パンダの赤ちゃんは大人に比べてすごく小さくて、母親が誤ってケガをさせてしまう事故もあると聞いたことがあるのですが、アドベンチャーワールドはその点で気をつけていることはありますか?
中谷さん:お母さんと赤ちゃんが会う別室を設けています。「ここに来るときは赤ちゃんと会うんだな」とわかって注意してもらえます。そもそも、彩浜たちのお母さん・良浜(らうひん)はすごく子育て上手で、彩浜が来ると真っ先に抱きしめに駆け寄ったり、遊びに付き合ってあげたり。本当に愛情豊かな性格で助けられました。


――お父さんの永明(えいめい)と交流はありますか?
中谷さん:パンダは父親が子育てに関わらない動物なので、基本的にはありません。アドベンチャーワールドの場合、個体同士が柵越しで姿が見える構造になっているので、そこでお互いに臭いを嗅いでいることはあります。親子だという認識があるかはわからないですが…。

――お気に入りのおもちゃはありましたか?
中谷さん:どんな遊具も気に入って使ってくれる子です。強いていうと、すべり台がお気に入りだったかも。降りるだけの動作を何度も何度も繰り返すブームが来ていたこともあります(笑)。


――マイブームがあるのは人間と似ていますね(笑)。2歳は、パンダにとって赤ちゃんではないけど、大人でもない、中間の年頃なのかなと思うのですが、今後はどう成長していくんですか?
中谷さん:赤ちゃんのパンダは遊ぶ時間が長いんですが、だんだん減っていきます。代わりに大人になると1日の中で竹を食べる時間が増えます。「寝るか食べるか」という生活を繰り返して体が大きくなっていくので、これからは竹をたくさん食べてもらえるようにしていくのが飼育スタッフの役目ですね。

――1歳頃にはお母さんのマネをして竹を触ったりもしていましたね。竹をあげるときは、どんな工夫をされていますか?
中谷さん:個体によって好む竹の種類や状態が違い、好きな竹でないと食べずに残したりします。たくさん食べてもらえるよう、好みに合わせた竹を調達するようにしています。ただ、パンダはニオイで食べ物を判断しているのに対して、人間の臭覚ではそこまで感じ取れないので、丁寧な観察が欠かせません。


――スタッフさんたちの日々の努力のおかげで、彩浜もすくすく育ってこれたんですね。今後の成長を楽しみにしています! 今日はありがとうございました。




和歌山県西牟婁郡白浜町堅田2399
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