都道府県別の域内総生産および新型コロナ感染者数の指数化グラフ

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 新型コロナ感染対策を優先させるか、それとも経済活動を重視するか。意見は割れている。自粛解除後に感染者数が再拡大し、ここにきて独自の自粛要請や非常事態宣言に踏みきる自治体もあらわれてきた。人やモノが動けば、感染リスクは高まる。そこには、経済活性化とウイルス感染というジレンマがいやがうえにも見えてしまう。

【写真】国内主要都市の市内総生産と新型コロナ感染者数


域内総生産とコロナ感染に相関性

 試みに、都道府県別の域内総生産(GRP)と新型コロナ感染者数について、両者を指数化した折れ線グラフをつくってみた。オレンジ色が前者で、グレーが後者を示している。ともに東京都を100として、各都道府県を比較している。2つの折れ線グラフが、似たようなかたちを描いていることがわかるだろう。

 なかでも大都市圏をもつ埼玉県、大阪府、兵庫県、福岡県は、2つの折れ線の間隔が狭くなって、東京都に近いかたちになっている。いっぽうで、神奈川県や愛知県は経済規模に比較すれば、感染者数は比較的抑えられている。

 地域別にみれば、東北や北関東、中国、四国、九州(福岡県を除く)は首都圏や関西圏に比べて、グレーの折れ線が低位置にある。つまり経済規模に比して、感染者数が少ない。ただし沖縄県はここ最近になって感染者数が急増。クラスターの発生が大きな要因のひとつとされ、島を訪れた県外在住者による感染拡大が懸念されている。

 国内の主要都市についても、各市の市内総生産と新型コロナ感染者数をグラフ化すると、両者の相関性はうかがえる。ここでも仙台市と広島市は経済規模に比して感染者数は抑えられ、東北地方や中国地方の特徴があらわれている。だとすれば、こうした地方にコロナ対策と経済活性化の鍵が隠れているのかもしれない。


大都市圏ではない地方にヒントが

 考えてみれば、経済活動を活性化させてきたものは「移動」と「集中」だった。たとえば都道府県別の年間延べ宿泊者数(2018年)を見ると、1位の東京都から順に大阪府、北海道、沖縄県、千葉県、神奈川県とつづく。いずれも感染者指数が高い地域だ。反対に、宿泊者数がもっとも少ない県は徳島県で、四国や中国、東北は下位に集中している。

 今回のコロナ騒動で、「移動」と「集中」は制限を余儀なくされた。それぞれの対義語は「定住」と「分散」だ。ウィズ・コロナがいわれるなか、大都市圏ではない地方のあり方になにか大きなヒントが隠れてはいないだろうか。

 実際、大都市圏で働く若者や早期退職者と地方の中小・中堅企業をマッチングさせる事業が立ちあがっている。テレワークを活用し、都市部に住みながら地方に関わる「ふるさと副業」の動きもある。定住と分散とは、一極集中ではなく中心点の多極化・多層化なのかもしれない。

※ 域内総生産(GRP)は平成29年度の数値(内閣府発表)、新型コロナ感染者数は8月3日までの累計(厚生労働省発表)、都市別数値は各市発表に基づく(8月5日時点)。

(まいどなニュース/サンテレビ特約・大西 昭彦)