孫世代との接触には注意が必要(写真:アフロ)

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「現時点で判明しているだけでも、孫と同居する祖父母が感染した事例が10件近くあります。4月中旬に鹿児島県では70代の祖母が同居する20代の孫から感染。また、両親が感染したことで、孫を預かっていた祖母が感染した事例もあります」(医療ジャーナリスト)

離れた場所で暮らす親族と再会する人も多いお盆休み。しかしそんな“嬉しいひととき”がコロナ感染拡大の温床になりかねない。

7月22〜28日に東京都で発生した1千800人近くの感染者中、家庭内感染は212人。これは“夜の街”で感染した200人を超え、感染経路としては最多だ。緊迫する状況のなか、無症状者の多い若年層から重症化リスクの高い高齢者への家庭内感染が懸念されている。

さらに、帰省による感染が徐々に増加している。

「4月下旬に、東京から茨城県に帰省していた親族から70代の女性が感染。また7月17日には三重県で、帰省していた飲食店で働く20代の孫から60代に感染させたとみられる事例も報告されています」(前出・医療ジャーナリスト)

7月22日からはGoToトラベルキャンペーンも始まり、増加の恐れが高まる“孫感染”。小児科での診療経験も豊富な帝京大学大学院公衆衛生学研究科の高橋謙造教授は不安を漏らす。

「基本的に症状のないお孫さんから祖父母が感染してしまうことは今後増えてくると思います。またこれからは“夏風邪”がはやり出すタイミング。夏風邪の主症状は鼻水と発熱、コロナは空ぜきと発熱です。10歳未満は夏風邪の主症状である鼻水が出やすいのでわかりやすい。しかし、10歳以上になると、鼻水が出にくくなることもあり、コロナか夏風邪かの診断には医師も慎重になります」

そうはいっても、離れて暮らす高齢の祖父母が心配な人も多いはず。高橋教授は「帰省自体は問題ない」としつつも、細心の注意を払うべきだと語る。

「特に乳幼児の場合、昼寝や就寝する際は、祖父母と同じ空間にいることは避けたほうがいいでしょう。赤ちゃんがなめた積み木を床に置けば唾液が付着して床を媒介にウイルスが広がります。おもちゃで遊ぶ際はバスタオルを広げてその上で遊ばせるようにしてください。また手洗いだけでなく顔もなるべく洗ってください。十分すぎるくらい消毒を意識することが大切です」

迎える側にも準備が必要だ。

「帰省してくる家族は気がつかないうちに感染している可能性があるので、迎える側としてはまず、十分に換気ができる部屋に泊まらせること。お孫さんと遊ぶときも、必ずマスクをしてください。また食事の際は大皿になりがちだと思いますが、じか箸は絶対にやめて、必ず個別に取り分けるようにしてください」(高橋教授)

帰省する人は感動の再会が“まさかの結末”とならないよう気を付けて!

「女性自身」2020年8月18・25日合併号 掲載