女性パチスロライターの水樹あや

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 出玉性能を抑えた「6号機」への入れ替えが進み、なかなか大勝ちできなくなったといわれるパチスロ業界。かつてスロットの収入だけで生活していた“専業”も絶滅寸前かと思いきや、意外にも変化に対応しながら生き残っているという。女性パチスロライターの水樹あやが、新時代の“パチプロ”の実態をレポートする。

【写真】コスプレ姿の水樹あや

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 顔面カエル似ライターあや吉こと、水樹あやです。

 突然ですが皆さん、好きなことをして生活したいと思ったことはありませんか? 毎日会社に行って帰るだけの日々、好きでもない上司に誘われて行く飲み会、噂話大好きな同僚や事務のおばさん、仕事をしに行っているのに面倒な人間関係に疲れる日々……。「こんなのはもう嫌だ! 好きなことして生きていきたい!」と、一度は思ったことがあるはず。コロナ禍の今だからこそ、余計にそう思うのかもしれません。

 でも、世の中には好きなことをして生活している人たちもいます。大好きなパチンコやパチスロを毎日打って生計を立てる“パチスロ専業”もそのひとつ。ある意味、夢のようなお仕事なのです。

 昔はパチスロ専業をやっていたという人も、たまに聞きますよね。有名な方でいうと、NHKから国民を守る党の立花孝志さんなどもパチンコで生計を立てられていたと話しています。

 しかし、パチスロ6号機時代に突入した今、パチスロ専業は窮地に立たされつつあります。「パチスロ専業なんて絶滅してしまえばいい!」という意見の方が大半だと思うのですが、そこはひとつ、ある種のアングラ情報だと思って大目に見てもらえれば幸いです。

 そもそも、パチスロ専業とは社会一般的に職業として認められてはおらず、資格や認定団体があるわけではないので、あくまで“自称”でしかありません。YouTubeやFXの収入で生活している一般の方と同じで、公的には無職です。なので、“スロプー”や“スロニート”などと呼ばれたりもします。資格がない以上、プロと趣味の違いってとても曖昧ですよね。

ローリスク・ローリターン時代へ

 では趣味でパチンコ、パチスロを打ってお小遣いを稼いでいる人とパチスロ専業との違いは一体何なのかというと、専業という文字通り「パチンコ、パチスロだけで生計を立てることができる人」と定義できるかと思います。

 言葉にすると簡単なように思えるのですが、そんなことはありません。当たり前ですが、生活するためには毎日パチスロで勝たねばならないのです。そして現代のパチスロ専業は、なろうと志しても、実際になれる人はごくわずかです。

 なぜそれだけ難しいのかというと、現代のパチスロは「6号機時代」に突入しており、
昔のパチスロ機とはまったく性能が異なっていることが一因になっています。

 私は5号機世代なので4号機時代に詳しいわけではありませんが、今よりはるかに高い出玉性能を持っていたのは確かです。その代わりに投資スピードが早く、“ハイリスクハイリターン”な時代でした。

 それが5号機、6号機と徐々に出玉性能が全体的に低下し、その代わり投資スピードが緩やかになった。つまり“ローリスク・ローリターン”の時代になりました。それに比例して、1日あたり得られる収入が下がってしまい、パチスロで獲得したお金だけで生活するのが難しくなっているのです。

 家賃を支払うことが難しくなった人、彼女に誕生日プレゼントさえも買ってあげられず、心が折れて引退した人。4号機から5号機、5号機から6号機への移り変わりで出玉性能が落ち「普通に働いた方が稼げるんじゃないか」と思って引退した人。そんな方がたくさんいるのではないでしょうか。

 しかし、実際にはパチプロは絶滅していません! 多少出玉性能が低下したぐらいではパチプロを駆逐することはできないのです。それどころか、厳しい変化を乗り越え進化しています。例えるなら、「ピカチュウ」が「ライチュウ」に進化するように。

専業を続けられる「2つの理由」

 では、昔の時代とどう変わっていっているのかと言いますと、大きく分けて次の2点が挙げられるかと思います。

 1つ目が「パチスロ専業のIT化」です。4号機時代では、下見で台のデータを確認する際、店舗のデータロボやデータランプを直接見に行っていたようですが、今ではWEBやアプリで出玉情報が見られるようになっているホールが大半です。

 私自身、取材や優良店情報など雑誌で仕入れていたものが、今やWEB、アプリ、LINE、SNSに変わり、そのすべてのツールを駆使して日々アンテナを張り巡らせています。夜の21時頃になるとLINEが鳴りまくるのもそのせいです。

 専業の人も同じです。プライベートや仕事の連絡が埋もれるほどの情報量に、彼女がいる人などは浮気を疑われるレベルですね。もっとも専業の人は1日中打っていることが多いので、浮気している時間もないと思いますが(笑い)。

 2つ目が「行動範囲の拡大」です。特定のお店で毎日立ち回る「ジグマ」と呼ばれるプロは近年とても減ったと思います。なぜ減ったのかというと、1つ目に挙げたようにパチスロ専業がI T化していることにより、情報が広まるのが早く、ジグマ的立ち回りをできるホールがとても少なくなったからです。

 設定状況が良い優良ホールをこっそり見つけても、通っていたらいつの間にかSNSに上げられて人が集まってしまい、気づけば他の専業に喰われてしまうこともあります。情報社会になればなるほど、情報が一瞬で広まり専業だらけになってしまうのです。便利になった反面、専業からしたらかなり不便になりましたね。

 昔はホールと共存していくためにも、加減をして勝ち過ぎないように調整する……ということをしていた方もいましたが、今そんなことをしていたら、軍団やガツガツしているプロにすぐ荒らされてしまいます。機種の設定判別数値や期待値のある台の情報など、すべてネットで簡単に見られる時代なので、優位に立つにはその他の部分で差をつけるしかなくなっているのです。

 だからこそ、稼動しないときに色々なホールの状況を把握しておくことで、狙えるホールの引き出しを増やして、どんな状況でも対応できるようにしている人が昔よりも増えた印象があります。もちろん、今でも閉店後のデータや出目をチェックしに行って、特定のホールで立ち回っているジグマ系の方もいらっしゃいますが。

好きだからこその「稼業」

 こうしてみると、パチスロ専業って、案外マジメでしょ? そんなに色々なことができるのであれば、その能力を他に活かせばいいのにと言われることも……。でも、好きなことだからこそ続けられるのです。

 中には毎日毎日打っていて、「パチスロなんてもう好きじゃない、稼ぐためにやっているんだ!」という人ももちろんいます。けれど、そう言っている方が楽しそうに打っている様子を見ると、なんだかんだ好きなんじゃないかと思います(笑い)。

 その他にも日々いろいろなことを工夫して実践している人はいますし、今日もどこかのホールで高設定を求めて、パチスロ専業は日々進化しているのです。