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 マンションやアパートの賃貸物件を探す際、間取りや築年数、設備などさまざまな条件があるがもっとも重要なのが家賃。希望するエリアで条件に見合う物件が複数あれば、1円でも安いところに住みたいと思うのではないだろうか。

 ただし、地域の相場より大きく安い場合は注意が必要。何かしらの理由で訳あり物件になっている可能性があるからだ。

◆激安物件をその日のうちに契約

 印刷会社に勤める出村修さん(仮名・29歳)が以前住んでいた都内の1DKのアパートは、最寄り駅から徒歩5分の距離で家賃は5万4000円。同じ地域の似た条件の物件よりも明らかに安かった。

「建ってから何十年も経っているわけではなくバス・トイレも別。住宅検索サイトで見つけた物件で、ちょうど休日だったこともあってすぐ不動産屋に電話。その日のうちに内覧をさせてもらいました」

 数年前にリフォームを済ませており、室内は新築かと思うほど。物件を見てすっかり気に入ってしまい、すぐに契約。その翌週には入居したという。

「引っ越す前よりも通勤時間が20分近く短くなり、それなのに前に住んでいたところよりも家賃が安かった。本当にいい物件を見つけたと自画自賛しました」

 ところが、そのことを仕事帰りに飲みに行った際、会社の後輩に話すと、「事故物件とかじゃないですよね?」と冗談交じりに言われる。それまで自分の新居が事故物件である可能性はまったく考えていなかった。

「頭を思い切り殴られたような衝撃でした。言われてみると、相場よりも大幅に家賃が安い理由がわからない。ヘンな間取りでもないですし、家賃を下げなければ入居者が入らないような立地でもありません。僕自身、安さに目がくらんでしまったこともあり、何も聞かずに契約してしまったので」

◆引っ越した家が事故物件として『大島てる』に載っていた?

 このとき、後輩から「ここで調べてみたらどうですか?」と教えてくれたのが事故物件紹介サイトの『大島てる』。サイト内に表示された事故物件マップで自分の新居を調べてみると……なんとビンゴ! 出村さんが引っ越したまさにその部屋が事故物件になっていたのだ。

「孤独死とあり、私が入居する数年前の日付が入っていました。『うわぁ、マジか』って思わずつぶやいてしまいましたが、だから家賃が安かったんだと理由を知って妙に納得しました。ですが、あの部屋にもう戻りたくないとかネガティブな感情はなかったです。すでに住み始めて半月以上経っていましたが、霊的なこととかは一切なかったので。まあ、僕自身は霊感とかまったくないですけど(笑)。

 それに昔、1人暮らしだった叔父が孤独死していたことも大きかったのかもしれません。僕自身が部屋の後片付けをしたわけじゃないですが、孤独死に対して免疫があったのかなって。もしこれが殺人や自殺であれば、嫌だと感じたかもしれませんけどね」

 事故物件の場合、不動産会社は重要事項説明といって次に入居する住民に説明する義務があるが、2人目以降の入居者に対してはあくまで任意。そのため、何も話さないケースがほとんどだ。

 しかし、出村さんがこの事故物件に住んでいたのは半年ほど。その間、金縛りに遭ったことすら一度もなかったが引っ越すことを決断する。

◆怪奇現象はなかったが…

「彼女ができたからです。一応、供養的な意味で部屋の隅に盛り塩をした皿を置いていたのですが遊びに来た彼女に聞かれ、前に住んでいた人が亡くなったからだと正直に伝えました。そしたら怖がってしまいウチに来なくなっちゃったんです。彼女は実家暮らしだから2人でゆっくり過ごせなくなるのが嫌で、それで部屋を出ることにしたんです」

 不動産屋に退去する旨を告げた際、事故物件であることを知ったと告げると態度は一変。同じ大家が所有している近くの別のアパートを勧められ、そこに移り住むことになったという。

「何も言わずに入居させた後ろめたさがあったんでしょうね。次の部屋も5000円だけですが本来の家賃より安くしてくれました。ただ、事故物件ならそれよりさらに1万円以上安かったからちょっと惜しいことをしたなとは思いましたけど(笑)」

 孤独死は大きな社会問題となっており、事故物件は今や珍しいものではない。それでもいくらリフォームされているからといはいえ、何の抵抗もなく住めるという人は決して多くないはず。やはり安い物件にはそれなりの理由があるのだ。<取材・文/トシタカマサ>

【トシタカマサ】
ビジネスや旅行、サブカルなど幅広いジャンルを扱うフリーライター。リサーチャーとしても活動しており、大好物は一般男女のスカッと話やトンデモエピソード。4年前から東京と地方の二拠点生活を満喫中。