逃げてもムダ

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“モスクワの長い手”に追いかけられれば、国外逃亡も意味をなさない――。亡命者たちに、そんな恐怖を植え付ける暗殺劇が再び頻発しているという。

 今月4日、オーストリアの首都・ウィーン郊外で、チェチェン共和国出身の難民男性が射殺された。

「昨年夏にはドイツの公園で白昼堂々、チェチェン人男性が射殺され、今年2月にはフランスのホテルで同じくチェチェンの反体制派の男性が殺害された。チェチェンでは2007年からロシアのプーチン大統領に近いカディロフ大統領が強権政治を敷いており、ロシア当局の関与は確実とみられる」(全国紙記者)

 他国の領土で思うままに暗殺を繰り返すとは、相も変わらぬロシア流。

 国際問題研究家の瀧澤一郎氏によれば、

「今回殺された男性は機密を握る高官などではありませんでした。ただネット上で反体制を煽っていただけですが、暗殺の理由としてはそれで十分だった」

逃げてもムダ

 さらに、こんな事情も。

「最近は極東のハバロフスクで大規模な反政権デモが行われるなど国内情勢は不安定。“米欧の不安定こそロシアの安定をもたらす”との考えを哲学とするプーチンは、あえて欧米からの批判を呼び込み、これと対峙する“頼もしいプーチン”を国内向けにアピールしようとしたのでは」

 使える手足は強大。

「軍参謀本部情報総局(GRU)には『29155部隊』という数々の暗殺を成し遂げてきた特殊部隊がある。悪名高きソ連時代のKGBも、対外情報庁(SVR)、連邦保安庁(FSB)などに分かれて存続、構成員は36万人もいるとか」

 スケールも桁違い。

「週刊新潮」2020年7月30日号 掲載