1970年代にフェアレディZが北米で鮮烈デビュー

 最近の日本市場、話題の上る新車は「ハリアー」、「アリア」、「タフト」、「ライズ」など、軽からプレミアムまでSUVのオンパレードだ。そもそもSUVとは、スポーツ・ユーティリティ・ヴィークルの略称であり、スポーツカーの進化版と言えるのかもしれない。

 一方で、スポーツカーといえば、スタイリッシュな2ドア車が規定路線だ。17年ぶりに復活した「スープラ」、マツダ100周年記念モデル登場の「ロードスター」、そして日産が2021年11月までの新型導入を確約した「フェアレディZ」がある。

 海外に目を向けると、日本のスポーツカーが最初に注目されたのは、「フェアレディZ」だ。70年代、オイルショックや排気ガス規制よって大排気量エンジン搭載のマッスルカーが姿を消したアメリカに、彗星のごとく登場した。北米では「Z(ジィー)」と呼ばれる。

「Z」の人気が高まったのは、手頃な価格で手に入り、デザインがスタイリッシュである上に運転が楽しいことだ。つまり、商品としてのバランスが良いことが、海外ユーザーにとっての魅力なのだ。こうした「Z」が切り開いた、日系スポーツカーのイメージは「スープラ」や「ロードスター」でも同じだ。

オープンモデルは女性人気が高い!

 34Zが出た2000年代前半、北米日産関係者は「アメリカはもとより、欧州でも、日本よりユーザーの年齢層は高めだ」といった。

 同じ話は、ロードスターのNC(3代目)でもND(4代目)も、マツダ関係者が漏らしたことだった。日本でも見られるスポーツカーのユーザー層は高齢化は、海外でも進んでいる。2020年時点では、主流は50代から60代ではないだろうか。

 こうしたユーザーが日系スポーツカーの話をする時、話題の中心はモデルとしてのヘリテージ(歴史)、それに併せてメーカーとしてのヘリテージになることが多い。「昔は良かった」とか「あの時の流れが、いまも脈々と引き継がれている」といった感じの話である。つまり、海外で日系スポーツカーに興味がある、または所有している人は、日系スポーツカーを介して、日本のモノづくりに対する関心が高いといえる。

 見方を変えると、そうしたユーザーの数は限定的であり、かつ若い世代がなかなか入ってこない。結局、日本と状況は同じなのかもしれない。ひとつ違うとすると、女性ユーザーが多いことではないだろうか。

 とくに、オープンカーやコンバーチブルの人気が高い。購入する理由は端的に、カッコいいから。さらに「日本車は故障が少なくて安心だから」というのが常套句である。