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はじめに

自動車業界において、成功が独善性を生み出すとすれば、それを実証できそうなクルマは、フォルクスワーゲン・ゴルフをおいてほかにはない。

とはいえ、50年近くにわたり、それを匂わせさえしなかった。ゴルフは、自動車界における静かなるアイコンとでもいうべき地位を、ますます確固たるものとし続けているのみだ。

フォルクスワーゲン・ゴルフ 1.5 eTSI 150 スタイル DSG    OLGUN KORDAL

そうしたゴルフの独特なポジションは、セールス面におけるマージンをみれば理解できることだ。自動車販売が好調な年でも、欧州市場で年間25万台を売る新型車はせいぜい10車種といったところ。30万台を超えるのは、そのうち4〜5車種あればいいほうだろう。

しかしゴルフは、ここ10年ほどの間、50万台以上をマークした唯一のモデルだ。それも、2014年と2015年、2度も達成している。欧州では他を圧倒するベストセラーで、直接的な競合モデルとなるフォード・フォーカスやオペル/ヴォグゾール・アストラの最高記録と比べてもダブルスコアの大差をつけているのだ。

しかしながら、その文脈でいくと、今回はちょっとしたギャンブル、ということになる。8代目ゴルフは、フォルクスワーゲンが誇る不朽の5ドアファミリーカーにとって、5代目以来でもっとも大胆な再定義かもしれないからだ。自動車メーカーとして、リスクヘッジの観点からすれば、売れ筋モデルをガラリとイメージチェンジするのが常道とはいえないのはおわかりだろう。

キレのよいルックスだけでなく、パワートレインには新開発のハイブリッドシステムを採用し、ハンドリングはシャープさを増した。キャビンはシンプルなデザインで、マーケットの先端をいくアクティブセーフティ技術も見受けられる。

世界でも屈指の大メーカーがそうした開発努力を惜しまなかった理由はなにか。それは、欧州のミディアムハッチバックセグメントが縮小し続けていることだ。新型ゴルフが図った冒険的な変貌の狙いは、そうした現状に歯止めをかけることにほかならない。

意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆

8代目ゴルフは、パリッとアイロンの効いた服のような仕立てを目指した。ボンネットからボディサイド、リアエンドに至るまで、シャープな折り目や特徴的なプレスラインが、トラディッショナルでシンプルな歴代モデルよりも数多く目に付く。

これは、ドイツ車ブランドの多くが、製造クオリティの技術的な精密さをルックスで主張しようとする際に多用する方法だ。少し凝り過ぎにもみえるが、ほとんどのテスターの意見は、絶対的に否定するというものではなかった。

ボンネットからホイールアーチにかけて左右3本ずつの峰が前後方向に走るスタイリングは、従来のゴルフより現代風になったが、それがむしろ没個性的にみえるのは皮肉な話。かつてのゴルフは、もっと骨太で勢いがあった。    OLGUN KORDAL

ただし、あるテスターは、エッジの効いたモデルが多いこのクラスで存在感を際立たせようという意図がはっきり見て取れるが、むしろ逆効果ではないか、と皮肉まじりに評した。

全長は3cmほど伸びているが、そのほかの寸法は先代モデルとほぼ変わらない。プラットフォームは、やはりスティール素材を用いたMQBをベースに、アップデートが図られたバージョンだ。

サスペンションも先代と同じく、四輪独立懸架とリアにトーションビームを用いる仕様とが用意される。後者は、150ps未満のエンジンと組み合わされる。コイルスプリングと固定レートのガスダンパーが標準装備されるのも同様だ。

ステアリングは、切り足すほどにギア比がクイックさを増す可変レート式ラックを装備。これもゴルフVIIに見られたデバイスだが、このゴルフVIIIではアッパーだけでなくロアーもクイックになった。

サスペンションはどの仕様でも、全体的にレートが高められた。サブフレームやリンク、ブッシュも新設計され、配置も見直されている。

DCCことアダプティブダンパーは、上位グレードに用意されるオプションで、よりいっそう機能を高めたという。ボディの動きを抑えて乗り心地を向上させるため、自動的に硬軟を切り替えるのはもちろんだが、この新型ダンパーはコーナリング時に左右独立して調整し、ハンドリングのレスポンスを高める。

XDSこと電子制御トルクベクタリングともネットワークを効果的に形成し、より円滑な協調を図る。それとは別に、特定の状況で快適性を高めるため、きわめてソフトでシステムを分断するモードも設定される。

エンジンのラインナップは、109psの1.0L直3ターボにはじまり、1.5L直4ターボのTSIエヴォが数機種。そのうちひとつには7速DCTと48Vマイルドハイブリッドアシストが組み合わされる。さらに、2.0LディーゼルのTDIは115psと150ps。今後はおなじみのGTIや、GTD、GTE、Rといったバリエーションが追加される予定だ。

今回のテスト車は、150psの直4ターボにマイルドハイブリッドを組み合わせる1.5LのeTSI。残念ながら、フォルクスワーゲンが貸与してくれた車両は、アダプティブダンパーなしの個体だった。

内装 ★★★★★★★★☆☆

物理的スイッチを並べ立てたこれまでのゴルフに慣れていると、新型のインテリアには驚かされるはずだ。いっぽう、ドライビングポジションは毎度ながら完璧な配置で、ひたすらまっすぐな、ほどほどの高さだ。中間グレードのスタイルが備えるシートはほどよくサポート部が張り出し、頼もしく心地よい。

いっぽうで目新しい部分もある。ステアリングホイールの向こう側、メーターパネルとインフォテインメントディスプレイの周囲は、グロスブラックのプラスティックパネルが張り巡らされる。また、全体的なまばらさもこれまでにないものだ。

運転姿勢はいつもながら上出来で、装備も充実。インフォテインメントシステムは、慣れてしまえばなかなか使いやすい。しかし、詳しく観察すると、以前よりプラスティックの質感が低いところも見つかる。    OLGUN KORDAL

テクノロジーの先進性は、新型ゴルフの売りのひとつ。英国仕様は全車とも、10.0インチのインフォテインメントディスプレイとフルデジタル計器盤が標準装備。4万ポンド(約560万円)級の上級車でも、ここまで気前のいいものはそう多くないが、それが2万5000ポンド(約350万円)程度のモデルにも与えられるのだ。

これらを見て、フォルクスワーゲンがテスラのような方向性を目指そうとしてるのではないか、と心配になるのではないだろうか。送風の内外気切り替えからドライバーズエイドまで、すべての操作系をセンターディスプレイに統合するのではないかと。実際、このクルマを目にしたら、そうなったと思うひともいるだろう。

とはいえ、数少ないながらも残された実体スイッチ類と、静電容量式タッチ操作部はうまく配置されている。また、ステアリングホイールのスイッチ類と、表示の設定を変更できるメーターディスプレイの恩恵もあって、オーディオのミュートのようにシンプルな操作は1度か2度のタッチで済ますことができる。

VW最新のインフォテインメントシステムであるMIB3は、間違いなく慣れが必要だ。だが、操作を覚えてしまえば、機能性も便利さも並ぶものがほとんどないほど存分に発揮されているとさえ感じられる。

対照的に、ゴルフが長年にわたり育んできたはずの定評ある質感が、今回は十分ではなかった。スイッチ類が少ないので、このクルマが目指した魅力的な手触りを試す機会はあまりないのだが、それを差し引いてもインテリアがチープだと感じることはないのはたしかだ。

それでも、硬いプラスティックが使われている箇所は、これまでのゴルフよりやや多く見つけられる。その上、モールドのザラついたところも多少ある。

キャビンの広さはおおむね先代と変わらない。大柄な大人が後席に乗ってもとくに問題はなく、ラゲッジルームは大きめの荷物も積み込める。

とはいえ、クラストップレベルの広さというほどではない。それほど大きくない車体から想像する以上のスペースを備えるという、ゴルフお得意のトリックは健在、といったところだ。

走り ★★★★★★★★★☆

フォルクスワーゲンは、マイルドハイブリッドにMTを組み合わせることはないだろう。ともあれ、今のところ設定されているのは、1.5LのTSIエヴォの高出力版とDCTをベースにした仕様のみだ。

おそらく、これは賢い選択だろう。というのも、先だってテストしたフォード・プーマには、MTのハイブリッド車ならではの問題点がみられたからだ。

エンジンとDCT、そしてマイルドハイブリッドのマッチングは上々。低回転で高いギアに入れても、十分なトルクでスムースに走る。    OLGUN KORDAL

そのプーマは、エンジンブレーキ時にエネルギー回生を行うマイルドハイブリッドを備えていたが、クラッチとブレーキにドライバーの操作が加わることで、オートマティックな作動よりも多くのクセが、ドライバビリティに影響を与えてしまっていた。

また、その評価は、フォルクスワーゲン のエンジニアたちに対する脱帽の念の表れでもある。彼らはこのエンジンとギアボックスのインストールとチューニングにおいて、みごとな仕事をしてみせた。

予想どおりのスムースな運転に寄与し、モーター走行ほどではないが静かに回る。また高いギアでの低回転時にも想像以上にトルクがあり、使いやすい印象だ。

8代目ゴルフのパワートレインのなかでも、洗練度で選ぶなら間違いなくナンバーワンだ。おまけにかなり楽しく、それでいて燃費もなかなかのものだ。

ハイブリッドパワートレイン特有のクセもかなり抑えられている。低回転域でのパフォーマンスは、GTIの下位仕様といったところで、額面上のトルクは25%ほど高い。ただし、4500rpm以上での回りかたは、GTIのようにはいかないが。

走行中に15km/h程度の加速をするのはじつにたやすい。それが高いギアで、ほどほどにペダルを踏み込んだ場合でもだ。

エンジンは、可能とあればシャットダウンする。たとえば巡航時の下り勾配や、ナビゲーションシステムのデータから15秒程度はスロットルを開く必要がないとECUが判断した場合などだ。

また、ジャンクションが接近してスローダウンしたときにもエンジン休止を行うが、その際には適切なタイミングで自発的に回生ブレーキを効かせて減速するので、やや直観的ではないところがある。

DSGギアボックスは通常よりやや多くの仕事を課されるので、マニュアルモードでの変速はほかのモデルよりもややスロー。Sモードでは、急加速時に各段をキープする時間がしかるべきものよりやや長いが、これはその効果を狙ってのことだろう。

そのほかの点では、中級グレードのパワートレインに期待するものを裏切るところはほとんどなく、逆に称えるべき点は多い。

使い勝手 ★★★★★★★★★☆

インフォテインメント

標準装備される10.0インチディスプレイのインフォテインメントシステム、ディスカバリーナビゲーションはなかなかよくできている。2台の携帯電話を同時にペアリングでき、ワイアレス充電も可能。ミラーリングはApple CarPlayがワイアレス連携に対応し、Android Autoとミラーリンクも利用できる。

フォルクスワーゲンが提供するオンライン機能のWe Connect Plusは、定額で3年間使い放題。ナビゲーションシステムにリアルタイムの交通情報を取り込んだり、駐車場の空きスペースや近隣の燃料価格を検索したりできる。

インフォテインメントシステムは、オプションのディスカバリープロでもディスプレイのサイズは標準仕様と変わらない。しかし、音声とジェスチャーでの操作機能が追加される。    OLGUN KORDAL

テスト車にはオプションのディスカバリープロが装着されていた。ディスプレイのサイズは変わらないが、音声認識とジェスチャー操作が加わる。画面の下部にショートカット、右側にホームボタンがあるおかげで操作しやすい。その結果、メニュー画面からの移動や必要な機能の選択で、何度もタッチする必要がなくなっている。

ナビゲーションのマップは表示が非常に鮮明。ズームするのもかなり簡単でスムースだ。

燈火類

LEDヘッドライトは標準装備だが、マトリックスタイプのIQライトはオプション。標準ユニットでもかなり明るく、ロービームのレベルは上々のセッティングで、低速でのコーナリングライト機能は便利だ。

ステアリングとペダル

主な操作系は暗記で扱えるエルゴノミクスの優秀さは、理想的なペダル配置にもいえることだ。広く奥行きのあるフットウェルの内寄りに設置され、左側には十分な大きさのフットレストが用意されている。

操舵/安定性 ★★★★★★★★★☆

オプションのアダプティブダンパーをはじめ、走行モードの切り替えも、ローダウンしたスポーツサスペンションや可変レシオステアリングも装備していないテスト車は、うれしくなるぐらいドライビングがシンプルだった。

ほどよい速さのステアリングは手応えがかなり軽めで、走り志向のドライバーにとってはもっと魅力的なやりかたがあっただろうと思える。

歯切れよいルックスをどう捉えようと、マルチリンクのリアサスペンションにこだわるなら、この洗練された走りの質には引き込まれるはずだ。    OLGUN KORDAL

だが、しなやかで弾力のある乗り心地と良好なグリップやボディコントロール、やや控えめながら優れたハンドリングのアジリティが渾然一体となっている。結果としてゴルフVIIIは、新車市場において手頃な価格で手に入るなかでも、間違いなく運動性能の万能さと洗練性で抜きんでたモデルのひとつだといえるものになった。

だが、ちょっとばかりうんざりする点もある。それは最近のクルマにはよくあるフラストレーションの種だが、最近テストしたフォルクスワーゲン車にはみられなかっただけに、ゴルフでそれを体験するとは奇妙な話だ。

それは、標準装備のレーンキーピングシステムが、エンジンをかけるたびオンになってしまうこと。エンジンを切る前にオフにしていても、また走行モードや設定をどう変更していても、こればかりは避けられない。

とりわけうるさく感じるシステムではないのだが、やはりステアリングラックを勝手に動かされるのはちょっとばかり邪魔だ。それを除けば、軽やかで心地よく、好ましくフィールなのだが。路肩を走る自転車を避ける際など、ステアリングが不意に引き戻されると驚く羽目に陥る。

とはいえ、システムのスイッチを切れば、このゴルフのハンドリングはまったくもってリニアで予期もしやすい。その点は、歴代モデルでなじみのあるそれだ。

ステアリング入力への反応はプログレッシブで、突如として鋭く曲がるようなものではない。ボディはわずかなロールとピッチを許容するが、高い速度域でもドライバーにグリップレベルを見極めさせ、シャシーを操作する助けになる類のものだ。

さらに走らせてわかるのは、舵角が90°以上になると、じつに鋭く粘り強いところを感じさせはじめる。素早く切ってヒラリヒラリと走るのも楽しい。加えて、スタビリティコントロールは常時アクティブながら控えめで、必要なときにも強くは介入しない。

快適性/静粛性 ★★★★★★★★★☆

われわれが英国内でゴルフVIIIを試乗するのは、今回が2度目だ。そして、よりコストのかかるマルチリンクサスペンションをリアに備えるこのテスト車は、より小さいホイールを履くトーションビーム仕様よりずっとスムースで滑らか、さらに静かだった。

スポーティな走りを全面的に高めようとしたフォルクスワーゲンの意図からすれば、意外な結果だったかもしれない。それでも、今回は150ps以上のモデル、つまりマルチリンク仕様を選ぶのが得策だろう。先代では、トーションビーム仕様も悪くないと思ったのだが。

運動性能を高めるべく採用されたであろうリアのマルチリンクサスペンションは、乗り心地も大幅に改善してくれる。トーションビームとの差は、先代以上に大きい。    OLGUN KORDAL

マルチリンク仕様を選べば、これまでのゴルフが持ち得なかった、あらゆる点でコンプリートな運動性能をわがものとできるだろう。

乗り心地の吸収能力は常にありがたみを感じる。鋭く小さい突き上げをきわめて効果的に圧し殺しているかどうかにかかわらず、市街地を進むのは楽で、コーナリング中に遭遇する路面の隆起や排水溝のカバーもたやすく処理してくれる。

どんな場所でも、もっとも一般的な速度域では、横荷重がかかっていてもいなくても追従性に余裕があり、それでいてボディコントロールにだらしないところが出ることはない。

テスト車は18インチホイールを履いていたが、それが乗り心地のしなやかさに悪影響を与えることはなかった。おそらく室内の騒音レベルは1〜2dB高くなるだろうが、それでもほとんどの速度域で、2018年にテストしたメルセデス・ベンツA200に匹敵する水準にあるのだから、批判するには当たらない。113km/hでは、むしろゴルフのほうが1dB低かった。

購入と維持 ★★★★★★★★★☆

たしかにゴルフは、大衆車ブランドのファミリーカーとなるハッチバックとしては、依然として高価な部類に入る。しかし、エントリーグレードであっても装備は充実。上位グレードになるほど、ライバルモデルは太刀打ちできなくなる。

フルサイズ画面を備えるインフォテインメントシステムや、デジタル計器盤のアクティブインフォディスプレイのみならず、携帯電話のワイアレス充電デバイスやLEDヘッドライトも全車に装備。また、オンラインネットワークを用いた安全技術のCar2Xを標準搭載したのは、このクラスでは初のこととなる。

予想はいつもながら、最初のうちは上々だ。しかし、3〜4年が経過すると、カローラの強みが相対的に増してくるのはおもしろい。

今回のeTSIがマークした21.2km/Lというツーリング燃費は、フルハイブリッドのハッチバックに比べれば物足りないかもしれない。それでも、このクルマのパフォーマンスのレベルと魅力的な走りを考えれば、ほめるに足る数字だ。

WLTPモードのCO2排出量は134g/kmで、非ハイブリッドで2ペダルのライバル勢に対して2〜3%のアドバンテージがある。それほど大きくはないが、意味のある差だ。

スペック

レイアウト

フロントに横置きされる直列エンジンは、同じく横置きのDCTを介して前輪を駆動。テスト車の前後重量配分は、実測で61:39だった。

リアサスペンションは、150ps以上のエンジンを搭載するモデルと4WDバージョンには独立懸架のマルチリンク、下位モデルにはトーションビームを、それぞれ採用する。

エンジン

駆動方式:フロント横置き前輪駆動
形式:直列4気筒1498ccターボ、ガソリン、48Vベルト駆動マイルドハイブリッドアシスト
ブロック/ヘッド:アルミニウム
ボア×ストローク:φ74.5×85.9mm
圧縮比:12.5:1
バルブ配置:4バルブDOHC
最高出力:150ps/5000−6000rpm
最大トルク:25.4kg−m/1500−3500rpm
許容回転数:6500rpm
馬力荷重比:108ps/t
トルク荷重比:18.4kg−m/t
エンジン比出力:100ps/L

ボディ/シャシー

全長:4284mm
ホイールベース:2619mm
オーバーハング(前):−mm
オーバーハング(後):−mm

全幅(ミラー含む):2070mm
全幅(両ドア開き):3700mm

全高:1491mm
全高:(テールゲート開き):2000mm

足元長さ(前):最大1100mm
足元長さ(後):最大700mm
座面〜天井(前):最大1010mm
座面〜天井(後):最大950mm

積載容量:381−1237L

構造:スティールモノコック
車両重量:1380kg(公称値)/1330kg(実測値)
抗力係数:0.28
ホイール前・後:7.5Jx18
タイヤ前・後:225/40 R18 92Y
ブリヂストン・トランザT005
スペアタイヤ:スペースセーバー

変速機

形式:7速DCT
ギア比/1000rpm時車速〈km/h〉
1速:3.50/7.1 
2速:2.09/11.9 
3速:1.34/18.7 
4速:0.93/26.9 
5速:0.97/36.0 
6速:0.78/44.9 
7速:0.65/53.9 
最終減速比:1〜4速・4.80:1/5〜7速・3.43:1

燃料消費率

AUTOCAR実測値:消費率
総平均:16.2km/L
ツーリング:21.2km/L
動力性能計測時:8.6km/L

メーカー公表値:消費率
低速(市街地):12.1km/L
中速(郊外):17.7km/L
高速(高速道路):19.7km/L
超高速:17.0km/L
混合:16.9km/L

燃料タンク容量:50L
現実的な航続距離:813km
CO2排出量:134g/km

サスペンション

前:マクファーソンストラット/コイルスプリング、スタビライザー
後:マルチリンク/コイルスプリング、スタビライザー

ステアリング

形式:電動、ラック&ピニオン
ロック・トゥ・ロック:2.6回転
最小回転直径:10.9m

ブレーキ

前:288mm通気冷却式ディスク
後:272mm通気冷却式ディスク
制御装置:ABS、ブレーキアシスト
ハンドブレーキ:電気式、スイッチ(センターコンソール配置)

静粛性

アイドリング:42dB
全開時:76dB(4速)
48km/h走行時:60dB
80km/h走行時:64dB
113km/h走行時:68dB

安全装備

ABS/ESC/EDL/ASR/XDS/HBA/フロントアシスト
Euro N CAP:5つ星(1.5 TSI)
乗員保護性能:成人95%/子供89%
歩行者保護性能:76%
安全補助装置性能:78%

発進加速

テスト条件:乾燥路面/気温18℃
0-30マイル/時(48km/h):3.1秒
0-40(64):4.5秒
0-50(80):6.4秒
0-60(97):8.3秒
0-70(113):10.9秒
0-80(129):13.9秒
0-90(145):17.5秒
0-100(161):22.6秒
0-110(177):29.0秒
0-402m発進加速:16.5秒(到達速度:140.0km/h)
0-1000m発進加速:29.9秒(到達速度:178.3km/h)

ライバルの発進加速

ライバルの発進加速
トヨタ・カローラ 2.0 ハイブリッド・デザイン・スポーツ・ツーリング
テスト条件:乾燥路面/気温9℃
0-30マイル/時(48km/h):3.3秒
0-40(64):4.7秒
0-50(80):6.4秒
0-60(97):8.5秒
0-70(113):11.0秒
0-80(129):14.0秒
0-90(145):17.7秒
0-100(161):22.4秒
0-110(177):29.7秒
0-402m発進加速:16.6秒(到達速度:140.5km/h)
0-1000m発進加速:29.9秒(到達速度:177.5km/h)

中間加速

20-40mph(32-64km/h):2.5秒(2速)/3.3秒(3速)/4.8秒(4速)

30-50(48-80):3.2秒(3速)/4.4秒(4速)/6.3秒(5速)

40-60(64-97):3.6秒(3速)/4.6秒(4速)/6.2秒(5速)/8.7秒(6速)/11.1秒(7速)

50-70(80-113):4.3秒(3速)/4.8秒(4速)/6.5秒(5速)/8.8秒(6速)/11.1秒(7速)

60-80(97-129):5.4秒(4速)/7.0秒(5速)/9.2秒(6速)/12.1秒(7速)

70-90(113-145):6.4秒(4速)/7.6秒(5速)/10.3秒(6速)/13.5秒(7速)

80-100(129-161):8.0秒(4速)/8.9秒(5速)/12.0秒(6速)/16.4秒(7速)

90-110(145-177):11.4秒(5速)

各ギアの最高速

1速:46.7km/h(6500rpm)
2速:77.2km/h(6500rpm)
3速:120.7km/h(6500rpm)
4速:175.4km/h(6500rpm)
5速:223.7km/h(6205rpm)
6速:223.7km/h(4982rpm)
7速(公称値):223.7km/h(4149rpm)

7速・70/80マイル/時(113km/h/129km/h):2090rpm/2388rpm

制動距離

テスト条件:乾燥路面/気温18℃
30-0マイル/時(48km/h):8.5m
50-0マイル/時(64km/h):23.1m
70-0マイル/時(80km/h):45.4m
60-0マイル/時(97km/h)制動時間:2.71秒

ライバルの制動距離

トヨタ・カローラ 2.0 ハイブリッド・デザイン・スポーツ・ツーリング
テスト条件:乾燥路面/気温9℃
30-0マイル/時(48km/h):8.9m
50-0マイル/時(64km/h):24.5m
70-0マイル/時(80km/h):47.9m

結論 ★★★★★★★★★☆

今回のフォルクスワーゲンのように、欧州でのベストセラーを世代交代させるにあたって再定義を敢行するというのは勇気のいることだ。

そこまでしたところで、単に「新しいゴルフ」と捉えるのみのユーザーもいるだろう。特別に魅力的なモデルだとは考えないユーザーも少なくないはずだ。

結論:これまでどおりの長所に新たな強みを加えたゴルフは、またもクラストップレベルに身を置くこととなった。    OLGUN KORDAL

そうはいっても、明らかなリスクがあるのは、フォルクスワーゲンが今回行ったような、わずかながらもはっきりとした、乗り心地やハンドリングの再検討だ。

また、インテリアのエルゴノミクスを刷新したことも、やはりチャレンジング。そこそこコストのかかるタッチ式ディスプレイのインフォテインメント技術や最新のアクティブセーフティシステムを満載させたのも、小さからぬ冒険だといえる。

これまでのゴルフで当たり前になっていたマテリアルの高級感に比べれば、新型のそれはやや見劣りする。それでも、質感にガッカリさせられるというほどではない。

走行性能については、みごとな洗練性や経済性、万能ぶりや運転しやすさ、そしてなにより、どんな事態にも対応可能な小型ファミリーカーとしての完璧さをみれば、これまでどおり群を抜いている。

先代ゴルフがそうだったように、高い関心を集めそうな項目に関しては、必ずしも他を圧倒するわけではない。それはプレミアムなフィールやパフォーマンス、効率性、インテリアのハイテクぶり、そしてドライビングの魅力といった点だ。

それでも新型ゴルフは、じつに多くの面で強みを発揮している。やはりこのクラスでは、他の追随を許さない高みにある唯一の存在だ。

担当テスターのアドバイス

マット・ソーンダース

アダプティブダンパー装着車を試したいのはやまやまだが、このクラスにおける一線級の乗り心地をさらに向上させるのは難しいだろう。ハンドリングのアジリティには大きく貢献するかもしれない。そうなれば、少なくともハイエンドモデルであれば、フォーカスのシェアを脅かす存在になれるかもしれない。

リチャード・レーン

トラベルアシストこと、オプションの先進的なレーンキープシステムは装着したくない。システムのオン/オフのボタンが、ステアリングホイール上のレーンキープ用トグルスイッチに取って代わるだけでも、避けるには十分な理由になる。エンジンをかけるたびにレーンキープがオンになるのだから、それだけをすぐに切れるスイッチは残っていてほしい。

オプション追加のアドバイス

ローダウンサスペンションを備えるRラインに131psの1.5 TSIエンジンを組み合わせるのはやめたい。効率と洗練性の両面でベストなのは、eTSIの16インチ仕様だ。装備したいオプションは、1600ポンド(約22.4万円)のディスカバープロ・ナビゲーションと、625ポンド(約8.8万円)のヘッドアップディスプレイだ。

改善してほしいポイント

・レーンキープシステムは、スイッチを入れない限りオフにしておいてほしい。
・デバイスの充電用に、旧式のUSB2.0も設置してほしい。
・新たなデザイン言語を、もっとクラシックなゴルフに寄せてほしい。このままでは、最新のハッチバックと変わり映えしない。