カナダ・ケベック州にある、ユービーアイソフトのモントリオール・スタジオ(2020年7月18日撮影)。(c)Eric THOMAS / AFP

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【AFP=時事】性差別的な振る舞い、不公平な扱い、無視される訴え。仏ゲーム開発・販売大手ユービーアイソフト(Ubisoft)が世界最大のゲームスタジオとうたう、同社のカナダ・モントリオール開発スタジオの従業員らが、セクハラ問題で揺れる同グループの「恐怖の風土」について語った。

 匿名でAFPの書面による取材に応じた元女性従業員(Aさん)は、同社の代表作「ファークライ(Far Cry)」シリーズに関わる中で、2回の燃え尽き症候群と精神的・性的ハラスメントや侮辱を経験したこと、人事部が全く自分の話を聞こうとしなかったことを明かした。

 Aさんは、赤れんが造りのモントリオール・スタジオで、このFPS(主人公視点のシューティング)ゲームの開発に数年間携わった。

 3000人を抱える巨大スタジオで最も有害なチームとAさんが表現する職場で、Aさんは自身の容姿や精神状態に対してコメントされることに耐えなければならなかった。上司から、昇進の可能性が危険にさらされる不適切な申し入れも複数回あったという。

「恐怖の風土」は非常に悪質で、Aさんは転職したにもかかわらず、自身のキャリアへの影響をいまだに懸念している。

「私たちのような一介のアーティストが制作責任者から身を守ろうとする時、私たちの声が聞き入れられるのはほとんど不可能に近い」とAさんは述べた。

 Aさんのコメントは、こうした証言がまずビデオゲーム業界で、その後、よりユービーアイソフトに特化してソーシャルメディア上に出現し始めた6月下旬以降、AFPが入手し裏を取った多数のコメントと呼応している。

 世界で1万8000人を雇用し、制作チームの2割が女性であるユービーアイソフトは、イヴ・ギルモ(Yves Guillemot)最高経営責任者(CEO)が「企業風土において大きな変化」を約束するプレスリリースを発表し、再出発を誓った。

■「かわいいから雇った」

 しかしユービーアイソフトにおける性差別は「モントリオール固有のものではなく、同社の風土」だと長年働く女性従業員(Bさん)は言う。Bさんがモントリオール・スタジオに加わってすぐ、チームリーダーから、Bさんを雇ったのは「かわいかったから」だが「みんなも驚くほど、君はよくやっている」と言われたという。

 長年勤めた後、Bさんは「前進の余地がない」ことに気づいた。「業界に9年間いても、2年前に入社した男性たちより給料が低かった」

 Bさんは「片手を半分ズボンに突っ込んだプログラマー」のしつこい目線を思い出した。また、女性従業員らの服装を批評し、男性従業員に「見に行ってごらん」と促すメーリングリストを発見したこともあった。

 別の女性従業員(Cさん)は、モントリオール・スタジオは「目いっぱい働き、目いっぱい遊ぶ」という雰囲気で、それが「抑制が低下して略奪的な行動を取るという、安全でない風土をつくり出している」と説明した。

 仕事と遊びの境界線がはっきりしておらず、金曜日の夕方4時になると、従業員らはビールを買っては事務所に戻っていたという。

 冬のパーティーでは、屋外の通路を通って建物間を移動する際、「お尻や胸をつかまれるのが常だった」とCさんは回想した。

■「拒む余地はない」

 ユービーアイソフトに2015年に入社した女性(Dさん)は、入社直後に女性社員のグループに連れ出された。「(女性らは)何人かの名前を挙げて『彼らと二人きりで座らない、コーヒーを飲みに行かない、二人きりで部屋に入らない』ようにと言った」とAFPに語った。

 その後、同僚男性にデートに誘われたDさんが丁重に断ったところ、「拒む余地はないと思い知らされた」という。「ショックだった」

 問題の一部は、人事部の対応にあるとDさんは指摘する。人事部には親身になってくれる人もいた一方で、苦情を伝えたDさんを「口説き文句をよく受け取らず、ストレス管理ができない女の子」と見なす人もいた。

「残念ながら、ユービーアイソフトでは悪事を働く人が保護されている。そういう人たちは通常、重要な役職についており、仮に人事部や上司に相談したところで何もしてくれない」と別の元従業員(Eさん)は証言する。

「問題が起これば、その問題を問われている人が昇進する。給与の平等な支払いに言及すれば、ストレス軽減のため職務上の責任を減らすことも可能だと言われる」

「そう言われて、私はユービーアイソフトを退職した」

【翻訳編集】AFPBB News

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