ソフトバンク/SoftBank/5Gってドラえもん?「のび太登場」篇

新型コロナウイルスの感染者数の増加が連日報道される中、7月前期の新CM数は338作品で前年同期比75%と減少した。一方でCM好感度は同99%とほぼ横ばいで、在宅時間の長期化といったコロナ禍の影響を思わせる結果となった。

CM好感度の首位はゼスプリ インターナショナル ジャパン『ゼスプリ キウイフルーツ』。“キウイブラザーズ”が筋トレやジョギングなどの健康法に挫折するも、「♪ヘルシーは好きなことを楽しみながら」といった軽やかなCMソングに合わせて踊る姿を映すCMだ。キャラクターのかわいらしさに加え、「好きなことなら長続きできるよ」といったポジティブなメッセージが引き続き高く評価された。

2位はKDDI『au』。「三太郎」シリーズのアニメCMが好スコアを維持した。CMは三太郎の前で大黒天が「ポーン!」などと言いながら彼らの目の前でタヌキの姿に戻ってしまうストーリーで、『au PAY』の支払いで『Pontaポイント』が貯まることをアピール。彼らの息の合った掛け合いを再現したアニメに注目が集まり、男性や主婦層を中心にヒットした。

おなじみのキャラクターを多彩なキャストで実写化

3位にはソフトバンク『SoftBank』の新CMがランクイン。「5Gってドラえもん?」をコピーに、第5世代移動通信システム・5Gを訴求するシリーズで、ドラえもん役のブルース・ウィリス(声:藤岡弘、)、45歳ののび太役の堺雅人に加え、15歳ののび太役に鈴木福、両親役として小手伸也と阿佐ヶ谷姉妹の渡辺江里子が登場した。

白戸家の隣に引っ越してきた野比家が上戸彩らとあいさつを交わしていると、机の引き出しから堺が現れるという内容だ。おなじみのキャラクターを多彩なキャストで実写化した本作は、家族を軸にしたコミカルな掛け合いがポイント。30代の男性や50代の主婦の支持を伸ばした。

4位はアサヒ飲料『濃いめのカルピス』。長澤まさみが女友だちと訪れた温泉施設で風呂上がりに商品をひと口飲むと、幼い頃の記憶がよみがえり「あ、あの味」とつぶやく。続けて5歳の彼女が「いいの! もっと濃い方がいいの!」と口をとがらせながら兄の制止を振り切り、母親に内緒でカルピスの原液をグラスに注ぐ回想シーンが映され、ラストは幼い頃のように「いいの! いいんだよ〜」とおどける長澤が友人に「キャラも濃いめ」とツッコまれる内容だ。40歳以上の女性を中心に多くの支持を得た。

本作はオンエア開始から3カ月以上経ったCMだが、長澤のコミカルな演技や子役の本間さえのかわいらしさが好評で、打てば響く成功事例といえるだろう。「小さい頃と今の長澤さんのどちらもかわいい」「何度見ても子役の女の子がかわいくて癒やされる」といったコメントが目立ったほか、家族のひとコマに思い出を重ねた視聴者から「自分も小さい頃そうだったなと昔を思い出した」といった感想も寄せられた。

アサヒ飲料/濃いめのカルピス「あの頃の味」篇

このほかにも家族をテーマにしたCMが上位に並んだ。深田恭子、多部未華子、永野芽郁が三姉妹を、ガチャピンとムックがその両親を演じるUQコミュニケーションズ『UQ』のシリーズCMが6位に入った。ピンク・レディーの『UFO』のイントロが流れる中、ソファでそれぞれクールな表情でポーズを決める5人が映され、「これずーっと前のCMよね?」「ずーっとイチヨンパを伝えるためよ」といった会話が重なる。

そして「♪UQ」というフレーズを合図に彼女たちがカメラ目線となり、スマホを手にダンスをするシーンに切り替わる内容だ。本作は2016年に放送されたシリーズ第1弾のリメイク版で、当時と同じ映像にCMそのものへの“ツッコミ”のようなセリフを重ねることで完全に新しいクリエイティブのCMとして生まれ変わらせた。コロナ禍による制約をCMのインパクトに昇華させ、女性を中心に高い評価を得た。

UQコミュニケーションズ/UQ「ずーっと前のCM」篇

親子さながらの空気感や楽しげな掛け合いに注目

大塚製薬『ポカリスエット』は、母娘役の吉田羊と鈴木梨央がイエロー・マジック・オーケストラの『君に、胸キュン。』を歌いながら家の前で仲良く阿波踊りをするCMがヒット。15回と少ない放送回数ながら、「親子の仲良しな感じが印象的」「ほのぼのとしていい」といったコメントが相次ぎ、2人の本物の親子さながらの楽しげな様子が人々の心を捉えたようだ。

このほか、モスフードサービス『モスライスバーガー』のCM(15位)は「海老天めんたい味」と「よくばり天めんたい味」の2つのバーガーが漫才を披露する内容で、お笑いコンビ・ぺこぱがナレーションを担当。“否定しないツッコミ”といった彼らの持ち味を生かした表現が支持された。

また花王『アタックZERO』(17位)は、松坂桃李ら演じる“#洗濯愛してる会”のメンバーが商品が「抗菌+(プラス)」に進化したことを泣きながら喜び合うCMを展開。女性層からのポイントを伸ばした。

今期はコロナ禍の影響でこれまでどおりのCM制作が難しい状況が続く中でも、アニメーションやリメイク、タレントの声の出演など、アイデアの力で注目を集めたヒット作が目立った。また視聴者の反応を見ると、家族や気の置けない仲間との何気ないやり取りを映したCMに共感が寄せられているようだ。ストーリーやキャラクター設定はキャッチーなものが多く、必ずしも日常と地続きのCMばかりではないものの、そこに描かれる人と人との交流や温かい関係性はいずれも安心感を与えてくれる。

閉塞感のある情勢下でストレスの多い日々を送る生活者にとって、ユーモアや癒やしの力で不安な気持ちを和らげてくれるCMは、平時の何倍も魅力的に映ったのではないだろうか。