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 今週から夏の新潟開催が始まる。オープニングを飾るのは、新潟の名物重賞となるGIIIアイビスサマーダッシュ(7月26日/新潟・芝1000m)だ。

 日本で唯一の直線競馬による重賞。2001年からスタートして、今年で20回目を数える。かつては、芝1200mのスプリント重賞で実績のある面々が強いレースではあったが、最近はその特殊な舞台設定にハマる、”千直”のスペシャリストの活躍が目立っている。

 過去10年を振り返ってみると、1番人気の戦績は7勝、2着1回、着外2回。数ある重賞の中でも、トップクラスの勝率を誇っている。そして今年も、千直実績が5戦4勝、2着1回というライオンボス(牡5歳)の1番人気が濃厚。勝ち負け必至の存在と見られている。

 こうした状況を踏まえると、穴党の出番がないように思えるが、馬券圏内(3着以内)には、伏兵馬がしばしば飛び込んできている。過去10年の3連単の配当を見ても、2016年を除いてすべて万馬券。今年も好配当が生まれる可能性は大いにあり、馬券攻略において、日刊スポーツの木南友輔記者はこんな見解を示す。

「どの馬にもチャンスがあるのが千直競馬ですが、ライオンボスの強烈な戦歴を見れば、同馬がやはり中心。相手に穴っぽいところを探して、好配当を狙う感じでしょうか」

 デイリー馬三郎の吉田順一記者も、ライオンボスには一目置いてこう語る。

「ライオンボスは、持ち時計もメンバー中2位。死角の少ないタイプであることは間違いなく、勝負付けが済んだメンバーが負かすことは極めて厳しいでしょう。ここは、未知の魅力に期待すべきでしょうか」

 吉田記者は続けて、未知の魅力となる候補について、次のような条件を提示した。

「JRAの馬場情報の写真を見ると、芝コースのコンディションは良好。レース中に雨さえ降らなければ、極端に悪くなることはないでしょう。馬場を軟化するエアレーションやシャタリングの作業も施していますが、馬場のよさを考えれば、ある程度の持ち時計は必要になると思います」


千直競馬での一変が期待されるモンペルデュ

 そこで、吉田記者が推奨するのは、今回初の芝レースに挑むモンペルデュ(牝4歳)である。

「モンペルデュは、ダートでも時計の出やすい締まった砂質を得意とします。昨秋、オープン入り初戦の室町S(1着。京都・ダート1200m)では、不良馬場となった同レースで驚異のレコード(1分9秒0)を記録しました。つなぎが短めで、クッション性に乏しいゆえ、追って味が出るタイプではないので、自信を持つスピードと先行力、それらを存分に生かしたスピード任せの競馬が理想です」

 ただ同馬は、室町Sを快勝したあと、地方交流重賞のJBCレディスクラシック(浦和・ダート1400m)に臨むも、落馬競走中止。その後、年明け初戦のオープン特別・大和S(2月23日/京都・ダート1200m)では大惨敗(16着)を喫し、続くオープン特別の天王山S(5月2日/京都・ダート1200m)は直前に出走取消と、リズムがよくない。

「JBCレディスクラシックでの競走中止による精神的なダメージは、たしかに大きかったと思います。そしてそれが、いつまで影響を及ぼすのか気になるところですが、密集度が高いコーナーのある舞台設定よりも、密集度の薄まる千直の舞台は、今のこの馬にとってはプラスに働くと見ています。

 本質的なものを踏まえれば、少し時計のかかる舞台設定のほうがパフォーマンスは増すと思いますが、パンパンの良馬場になっての高速決着となっても、十分に狙いは立ちます。鞍上が、千直競馬を得意としている西田雄一郎騎手というのも魅力。一発への期待が膨らみます」

 吉田記者はもう1頭、昨春のGIIIアーリントンC(阪神・芝1600m)を12番人気で制したイベリス(牝4歳)にも注目する。

「ここ3戦は惨敗続きですが、姉にアイビスSDを連覇したベルカントがいて、同馬と同様、イベリスもデビューからここまで、着実に馬体重を増やしています。そう考えると、イベリスも一介の早熟馬ではなく、まだまだ活躍が見込めそうな気がします。チークピーシーズを着用しており、バラけやすい直線競馬の舞台設定も合っていると思います。

 この中間は活発な動きを連発しており、態勢は万全。出走予定だったGIII CBC賞(7月5日/阪神・芝1200m)は無念の除外となりましたが、そこから3週延びたことで、より仕上がり度はアップしています。その気性や血統背景から、千直でこその”変身”が大いに見込めます」

 一方、木南記者は、ナランフレグ(牡4歳)を穴馬候補に挙げる。

「昨年暮れの3勝クラス・浜松S(中京・芝1200m)を勝った時に、重賞はもちろん、出走できればGI高松宮記念(3月29日/中京・芝1200m)でも狙ってみたいと思ったほどの馬です。

 追い込み馬ですが、1000mで足りるスピードがありますし、同じ舞台の前走・韋駄天S(5月24日/新潟・芝1000m)では5着に敗れていますが、鞍上の丸田恭介騎手は手応えをつかんでいる感がありました。最後に突っ込んでくる競馬での大駆けを期待したいと思います」

 木南記者ももう1頭、気になる馬がいるという。

「クールティアラ(牝4歳)です。調教の数字がべらぼうにいいんですよ。時計が出やすい美浦の坂路とはいえ、7月9日には4ハロン51秒4−11秒8という時計をマークして、目を引きました。

 千直競馬では、昨秋のルミエールオータムダッシュ(17着)、前走の韋駄天S(6着)と、いずれもライオンボスからは大きく後れを取っていますが、伸びしろが見込める4歳という若さ、そして具合のいい”夏に強い”牝馬ということで、狙ってみたいですね」 スタートから1分もかからずに決着がつく千直競馬。そのわずかな時間でオイシイ配当を運んできてくれる馬が、ここに挙げた4頭の中にいるかもしれない。