男子バレー・龍神NIPPONの要
柳田将洋の決意 前編

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 男子バレー日本代表の主将を務める柳田将洋が、古巣のサントリーサンバーズに復帰した。2017年にプロ転向し、同年から3シーズンをドイツやポーランドのリーグで活躍。世界と戦うために進化を続けてきた柳田が、再び日本の「V.LEAGUE」でのプレーを選んだ理由、かつて所属していた時とのチームの違いなどを語った。


古巣のサントリーサンバーズに復帰した柳田(写真/サントリーサンバーズ提供)

――あらためて、今シーズンを日本でプレーすることに決めた理由を聞かせてください。

「新型コロナウイルスの影響もありましたが、ベストなパフォーマンスを維持するためのコンディション作りや、自身の今後の成長のことも考えて決めました。昨シーズンにプレーしたユナイテッド・バレーズとの契約延長の話、他の海外のクラブからのオファーもありましたけど、『何がベストなのか』を考えた結果、日本でプレーすることが一番いい選択だと判断しました」

――サントリーサンバーズを選んだ決め手は、やはり古巣だったからでしょうか。

「(2017年に)海外のリーグに挑戦する際に背中を押してくれた感謝の気持ちが、ずっと心の中にあったので。日本でプレーするならまたサンバーズに入って、前に在籍した時よりもいい結果を残したいと思っていました」

――柳田選手が日本に戻ってきたことで、同じ日本代表の西田有志選手(ジェイテクトSTINGS)との対戦が大きな注目を集めそうですね。

「僕は西田ほど結果を出せていませんから、試合をする日がきたら頑張りたいと思います(笑)。西田に限らず、誰に対してもチャレンジャーの気持ちで臨みたいです」

――チームに合流したのはいつ頃ですか?

「6月に入ってからですかね」

――久しぶりの日本での生活はいかがですか?

「海外にいる時は意識していませんでしたが、帰国してしばらくは母国での生活なのに少し違和感がありましたね(笑)。言葉や街並みはもちろん、『自転車やバイクの数が多いな』といったところも。あらためて、文化の違いを実感しました」

――日本に戻ってきたことは、代表の活動も見据えて、という部分もあるでしょうか。

「代表でプレーを続けることが大きな目標のひとつなので、それは常に頭の中にあります。日本のリーグでは代表選手たちと切磋琢磨できますし、外国人選手もレベルの高い選手が揃っている。そういった中で揉まれながら、活躍できれば自信になると思っています」


昨シーズンはドイツのユナイテッド・バレーズでプレー photo by Amy

――チームメイトには、ロシア代表としてロンドン五輪の金メダルを獲得した、ドミトリー・ムセルスキー選手がいます。柳田選手も「彼からいろいろ学べることも、(サンバーズを選んだ)要因のひとつ」と明かしていましたね。

「そうですね。オリンピックの雰囲気、その中でどういった気持ちでプレーをしていたのかなど、いろんなところに興味があります。代表の試合で対戦したこともありますが、彼ほど身長が高く(218cm)、体もがっちりして威圧感のある選手は、海外のリーグでも少ない。ただ大きいだけじゃなくて、ひとつひとつの動きにもムラがないですね。

 サントリーの練習で、あの高いブロックのプレッシャーを感じられることも大きいです。僕は海外に行く時に『外国人選手と常に対等に渡り合っていきたい』という目標を掲げていましたが、日本でも常にメダリストと練習ができることは、本当に大きな財産です」

――以前から、理想とする選手にパナソニックパンサーズのミハウ・クビアク選手(ポーランド)を挙げていました。彼と同じリーグで対戦できるのも楽しみなのではないでしょうか。

「彼は今も、僕が目標とする選手のひとりです。彼は現代バレーを体現する選手。コートを挟んで何度も対戦することで、彼からもたくさんのことを学べることを楽しみにしています」

――サントリーのチームとしての印象を教えてください。

「昨シーズンは、ムセルスキーやジー(中国代表の主将)がいて、『攻撃力があるチームだな』という印象がありました。そこに自分が加わることで、さらに攻撃力を上げられるんじゃないかと思います。また、チームにより一体感を出すために、日々の練習からコミュニケーションをしっかり取ることを意識しています。

 選手の年齢層は、僕がサンバーズにいた時よりも『若いな』というのが率直な印象でした。以前は僕が若手だったから、チームメイトがすごく年上に感じたのかもしれないですけど(笑)。ボール練習の時間が長く取れていないのでプレーの特徴などはまだ把握しきれていないんですが、サイドアタッカーにしても僕より大きい選手が何人もいますし、そういうところをチームの強みにしていきたいですね」

――若い選手が多い中で、柳田選手にはチームリーダーとしての役割も期待されているんじゃないでしょうか。

「そういった役割は、長くチームでプレーして周囲と信頼関係を築いている選手のほうが適任でしょうね。現在のキャプテンである大宅(真樹)は、いろいろ試行錯誤している最中だと思うので、それを可能な限りサポートしていきたいです。他には藤中(謙也)、鶴田(大樹)さんなどがチームの中心になるでしょうが、若手選手たちとのバランスを整えることも、僕なりにやっていけたらと考えています」

――ドイツでも早々とリーグが終わってしまって、なかなかボール練習ができなかったと思います。それらをやり始めたところなのか、感覚は戻ってきているのかなど教えていただけますか? 

「ケガをした時などにボールに触れないことはありましたが、健康状態にまったく問題がないのに、これだけボールを使った練習ができないことは初めてでした。これから徐々にいろんな練習ができるようになっていくと思いますが、以前と感覚が違うといった部分は少なからず出てくるでしょう。

 そういった時に、『なんでできないんだろう』とか『前はできたことなのに』といったようにネガティブな気持ちになる瞬間があるかもしれませんが、『こうしたらできる』というポジティブなマインドに変換していきたいです。そうすることで、今できることが明確になって課題を設けやすいですし、無理な動きをしてケガをするリスクも軽減できると思います」

――サントリーは、新監督として元日本代表の山村宏太さんを迎え、チーム変革の年にもなると思いますが。

「監督が代わることで、チームも新しいことにトライしていきますから、僕もそれにアジャストしていきたいです。チームが生まれ変わるわけなので、僕も含めたすべての選手が同じスタートラインに立っているということ。海外リーグに挑戦した時と同じように、『ポジションを勝ち取る』という気持ちでやっていきたいです」

――2017年5月からプロ契約選手として活動し、サポーターズクラブやオンラインアカデミーなど、ファンの方々との交流が多くなった印象があります。サントリー復帰後もそれを楽しみにしている方がたくさんいると思いますが、今後について聞かせてください。「そういった活動を通じて、あらためて多くの方にサポートいただいていることを実感しています。アカデミーを立ち上げる際は、自粛期間中に自分にできることを考えて、『自分が積み上げてきた経験を、いろんな方に生かしてもらいたい』という思いで始めました。これからも、ファンの方たちからいただいたパワーを、プレーだけでなくさまざまな形で返していけたらと思っています」

(後編につづく)