新型コロナは人間関係にまで影響している(写真はイメージ)

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 新型コロナウイルスの蔓延が社会にもたらした影響は、経済的打撃だけではなかった。子どもの予防接種をめぐり、それまで仲の良かったママ友グループが壊れてしまった新米ママのケースを、ライターの吉田みく氏が報告する。

【写真】ママたちの間ではマスクマウンティングも繰り広げられている

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 今回の騒動を語ってくれたのは麻美さん(仮名・29歳)。生後8か月の子を持つ新米ママだ。

「我が子を守るために、私なりの新型コロナウイルス対策はしていました」

 ステイホームを心がけ、不要不急の外出を避けた生活をしていた。実母に頼るつもりだったところを一人で頑張りもした。初めての育児で、新型コロナウイルスという見えない敵と戦う日々に心が折れそうになったこともあったが、子どものためを思って毎日堪えながらの生活だったという。

 神経をとがらせる毎日を送っていた麻美さんであったが、唯一、楽しみにしていることがあった。それは、育児サークルで知り合ったママ友5人で行うLINEでの交流だ。

「お互いの子ども達の成長を報告しあったり、離乳食の相談もしたりしました。子ども達が寝た時間に、オンラインお茶会もしたんですよ」

 同じ月齢の子を持つママ友もいたため、育児初心者の麻美さんにとっては心強かった。直接会うことはできないものの、繋がりを感じることができ、とても嬉しかったと語る。時には、新型コロナウイルスで意見の食い違う夫のことで盛り上がりすぎてしまうこともあったんだとか。

 そんなママ友たちの仲良しトークが、子どもの予防接種をめぐり騒動へと発展することになる。

「“コロナだけど予防接種は行かなくちゃね〜”と話したママ友がきっかけでした」

 麻美さん自身、新型コロナウイルスの恐怖を感じながらも子どもの予防接種のために病院へ行っていたのだが、ママ友Aはこんなことを言ったそうだ。

“コロナで大変な中、予防接種に行くの?”

 麻美さんと他のママ友がAに話を聞いてみると、新型コロナウイルスの感染拡大防止のために、予防接種を控えているとのことだった。

「気持ちが分からないわけではないんですけどね……。私も一時期はスケジュール通りに予防接種へ行くことを躊躇しましたから」

 そんな時、日本小児科学会が“(新型コロナの感染予防を優先して)乳幼児健診や予防接種の時期を回避するデメリットは大きい”という見解を出したことを耳にし、麻美さんは考えを切り替えることにしたそうだ。

「もしかしたらこの情報を知らないかもしれないと思い伝えたら、ママ友Aに“そんなこと知ってるわよ、バカにしてる?”って言われてしまいました」

 良かれと思って伝えた情報が、思わぬ形で伝わってしまった。麻美さんは後悔したと話す。

 ママ友Aによると、子どもの予防接種を控えることにしたきっかけは、重症化リスクが高いとされる高齢の親族が近所に住んでいるため、万が一のことを考えての行動だった。Aがこの機会に予防接種やワクチンについて調べてみたところ、ワクチンの安全性や効果に懐疑的な意見がさまざまに飛び交っていることを知ったという。そして彼女は、“予防接種を受けないという選択”をする育児に興味を惹かれるようになったのだった。

 とはいえ、この考え方はグループでも少数派だったようで、他のママ友たちは返答に困っていたようだと麻美さんは言う。

「この件があってから、ママ友Aをはぶく形でLINEグループが新たに作られました」

 麻美さんはこの状況を、“学生時代を思い出す”と、寂しそうに語っていた。最近ではママ友Aのことを“自然派ママ”などと揶揄するママ友もでてきたそうだ。

「LINEのグループトークに参加するのが嫌になりました。最近では既読スルーしてしまいます。新型コロナウイルスのせいで、せっかくの関係が壊れてしまいました。本当に憎いです」

 ママ友には様々な価値観を持った人がいる。また、新型コロナウイルスがきっかけで、今まで持っていた考えが変わった人もいるだろう。そんな相手に対する言葉選びを誤るだけで、それまでの人間関係があっという間に崩れてしまうこともあるのだ。