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 夏の函館開催も、はや最終週。最終日のメインを飾るのは、GIII函館記念(7月19日/函館・芝2000m)だ。

 このレースは、とにかく”荒れる”重賞として知られる。過去10年で馬連の万馬券が3回も出ており、平均配当はなんと9946円。3連単では10万円超えの高配当が7回も出ているのだ。

 1番人気は、昨年のマイスタイルが勝利するまで、12年連続で白星なし。過去10年の戦績も1勝、2着1回、着外8回と惨憺たるもので、函館記念の馬券検討においては、「端から1番人気を外して考えたほうがいい」と言われるほどだ。

 そんな波乱続出のレースにおいて、どんな馬を狙えばいいのだろうか。日刊スポーツの松田直樹記者は、「まずは脚質に注目すべき」という。

「JRAの全10場で、芝コースの直線が最も短いのが、函館競馬場(262.1m)。当然、差し・追い込みが難しく、昨年は芝競走全体(84鞍)で、4角1番手にいた馬が21勝を挙げています。

 今年も2日間の開催を残して、芝競走70鞍中、4角1番手にいた馬が28勝。この中には、後方からまくってきた馬もいますが、勝率40%という数字は驚異的です。今年は、例年以上に前残りの傾向が強くなっているのかもしれませんね。

 もちろん最終週ですから、多少の馬場悪化も予想され、差し馬の台頭を許すこともあるでしょうが、基本的には先行馬が狙い目ではないでしょうか」


函館記念での一発が期待されるトーラスジェミニ

 そこで、松田記者が推奨するのは、トーラスジェミニ(牡4歳)だ。

「全5勝の同馬。3角までに先頭に立ったレースが9鞍あって、そのうち4鞍で勝利を手にしています。脚質の傾向に、ピタリとハマります。

 2走前のGIIIエプソムC(6月14日/東京・芝1800m)でも、最低の18番人気ながら、逃げ残って3着。不良馬場にもかかわらず、前半1000mを59秒1というタイムで引っ張って、最後まで粘った脚力には確かなものがあります。

 さらに、前走のオープン特別・巴賞(7月5日/函館・芝1800m)では、中2週で挑みながら、骨のあるメンバー相手に難なく快勝。マイペースに持ち込めば、かなりしぶといです。

 今回は中1週となりますが、コンディションは良好。先行馬向きの函館の芝であれば、重賞でも一発の期待が膨らみます」

 手綱を取るのは、前走に引き続き木幡育也騎手。それもまた、「魅力のひとつ」と松田記者は言う。

「デビュー4年目の木幡育騎手。JRA通算48勝のうち、3分の1にあたる16勝が逃げでのもの。その極意については、本人が『逃げ馬に乗る時は、2番手の馬につつかれず、なるべく単騎でいけるように意識しています。そのほうが(馬が)リラックスできるし、息も入りやすい。4コーナーからは早めに差を広げて、後続に脚を使わせる形で乗っています』と、明かしてくれました。

 トーラスジェミニの勝ちパターンは、まさしくそのコメントどおりの競馬。同馬とのコンビで4勝を挙げており、相性は抜群です。今回も積極策を取って、重賞初制覇を成し遂げてほしいですね」

 松田記者はもう1頭、推奨馬を挙げる。

「バイオスパーク(牡5歳)です。前走のオープン特別・都大路S(5月16日/京都・芝1800m)では惜しくも2着に終わりましたが、直線で一度は先頭に立つ奮闘を見せました。

 オープン昇格後は2戦とも道悪でしたが、脚力の強さを発揮して4着、2着と健闘。オープン入りを決めた3走前の3勝クラス・飛鳥S(2月2日/京都・芝1800m)で、3着に退けたトーセンスーリヤがのちにGIII新潟大賞典を制したことからも、同馬の能力の高さは明らかです。完全に本格化を遂げたと見ていいでしょう。

 洋芝向きの先行力もあって、実際に函館では3戦1勝、2着1回、4着1回と適性の高さを示しています。時折見せる出負けさえなければ、好勝負になると思います」

 一方、デイリースポーツの大西修平記者は、重賞実績があり、決め手勝負に優れた2頭を狙う。

「1頭はプレシャスブルー(牡6歳)です。前走のGIII新潟大賞典(5月10日/新潟・芝2000m)では、14番人気の低評価を覆して好走。上位2頭が逃げ・先行馬という結果にあって、後方からメンバー最速の上がりを繰り出して、僅差の3着まで追い込んだことは価値があります。

 また、同レースで4着だったブラヴァスが先週のGIII七夕賞で2着。戦ったメンバーを考えても、馬自身の地力強化を証明するレース内容だったと言えます。

 この中間は、リフレッシュ放牧を経て、ここを目標に帰厩。攻め気配も上々で、馬の雰囲気は申し分ありません。函館は初参戦となりますが、札幌での勝ち鞍があって、洋芝への適性にも不安はなし。ハンデが据え置きの54kgというのも好材料と言えるでしょう。

 トーラスジェミニの逃げを意識して、他が早めに動いてくるようなら、この馬の末脚が生きるはず。道中でロスなく、リズムよく運べれば、重賞初制覇のチャンスです」

 大西記者が推すもう1頭は、2歳時に重賞2勝を挙げているニシノデイジー(牡4歳)だ。

「前走のGII目黒記念(5月31日/東京・芝2500m)では、18着と大敗。ゲートが決まったことで、好位で運ぶ形になりましたが、それが裏目に出てしまった印象です。最後に、この馬らしい末脚が見られませんでした。

 そこから、今回はひと息入れて、立て直してきました。しっかりと調整を積んだことで、反撃態勢は整っていると思います。この馬の持ち味を知り尽くしている勝浦正樹騎手に手綱が戻るのも、心強い限り。ハンデも56kgなら、能力を発揮するうえで支障はないでしょう。

 2000mへの距離短縮もプラスに働きそうですし、道中でうまく脚をタメられる形になれば、最後は必ず差してくるはず。重賞2勝、GI3着の実績があり、底力はメンバー屈指。前走の大敗で人気を落すようなら、積極的に狙ってみたいです」 今年も高配当必至のハンデ重賞。波乱の立役者となる馬が、ここに挙げた4頭の中にきっといる。