「ごめん、もう仕事しきらん」のLINEスクリーンショット(ABEMA TIMESの2020年7月15日付より)

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「会社を辞めたい」と子どもが突然相談してきたら、あなたはどう答えますか?

「どうした?何があった?」

と理由を尋ねたり、

「どんな仕事でもつらいことはある。逃げてはダメだ。我慢しないと」

と説教したりする人が多いのではないだろうか。

そんななか、「ごめん、もう仕事しきらん」とLINEで訴えた息子に、何も理由を聞かずに、

「よかよか 辞めてこい!」(父親)「はあい了解っっ」(母親)

と即座に返事を寄こした両親の反応が「ステキすぎる!」と話題になっている。

「なんか涙出ちゃった。私なら息子になんて言えるかな」

話題のきっかけになったのは、インターネットニュース&テレビのABEMA TIMESの「『ごめん、もう仕事しきらん』息子の退職相談に両親の反応は?素敵すぎる家族LINEが話題に」(2020年7月15日付)という見出しの記事だ。

記事によると、仕事を辞めたいと思った息子が、LINEで家族に相談したやりとりを、スクリーンショットを添付してSNSに投稿した=写真(左)参照。投稿主は「やめるきっかけとなった日の家族LINE。母の謎テンションスタンプはおいといて、このLINEでだいぶ救われました」とツイートした。

投稿主は就職したものの仕事がつらく、父と母、妹の家族グループに「ごめん、もう仕事しきらん」とメッセージを送った。すると父親から1〜2分以内に「どうした!?」「きついんか!?」「よかよか 辞めてこい!」と励ましのメッセージが。さらに母親からも「はあい了解っっ」というハイテンションなイラストスタンプとともに、「通らないと、わからないからね。お疲れ様でした。しばらく、心の休養してください」という温かい言葉が送られてきた。ABEMA TIMESの取材に対して、投稿主はこうコメントしている。

「父からの『よかよか、辞めてこい!』という返信がすぐに届いて涙が...。辞める理由を言えていなかったのにただただ『ありがとう』と感謝しました。母から送られてきたスタンプには一気に解放されたような気持ちになって、いい意味で私の感情を壊してくれました(笑)。感謝です!就活また頑張ろうと今思っています」

ネットでは、この両親に称賛の声があふれている。

「なんか涙出ちゃった。私は息子になんて言えるかな。『はい。次行こう、次』だな。旦那が心配だ。専門学校卒からの勤続20年以上。『俺は〜』とか『継続は力なり』とか、説教臭いことを言いそう」
「息子さん、限界だったんだろうな。お父さんの返信早っ!2分で『よかよか、辞めてこい!』ってスパッと返せるお父さんカッコイイ!お母さんのドーンと構えてますよ〜感もいいなあ。『しばらく心の休養をしてください』が何もかも理解してくれていて温かい言葉だ」
「九州の人は、他人に厳しく、身内には甘かけんねー(笑)。それがよかところたい」
「私ならまず『どうした?』って聞いちゃいそうだな。それがさらに追い込んでしまうかもね」

親として似たような体験をした人たちからは、こんな声が。

「私、息子に3年頑張ってごらんって言ってしまった。息子も納得して続けて、結局転職した。でも3年のキャリアが転職にプラスになったようです。何で3年って言ったのかは謎。結果オーライでした。すまん」
「ご両親の即答と懐の大きさも素晴らしいが、そのひと言を発信できた息子さんも偉いよ! よく言えたねぇ。私も息子の連絡が急に途絶えて、あと一歩と肝を冷やしたことがあります。原因はパワハラでした。限界に気がつかず、助けてのひと声すら思いつかないまま取り返しつかない事態にならなくて良かった」
「ハッとさせられました。受験生の娘、小学校の頃から厳しい進学塾に通っていましたが、強いストレス症状が出て、やめたいと。今のこの時期に塾をやめるの! と責めるようなことを言ってしまいました。苦しんでいる娘の気持ちをまずは汲み取るべきだった、とこのLINEを読んで気づかされました」
「わが子の時は、出向で遠方に行き人間関係と仕事内容でついていけず、泣きながら電話してきました。ともかく自分で自分の意思を伝えて帰ってこいと。結果その会社を辞め、なぜか辞めてから自転車で日本一周に! よほどストレスだったのか、帰ってきたら別人のようでした」
「うちも息子のときもそんな感じ。息子は私たちに言い出しにくく、なかなか辞められずにいたとのこと。『会社を辞めたい』と言われたときに、『早く言えばいいのに〜! 私たちが怒ると思ったん?んなわけないやろ〜! 若いんだからまだまだなんぼでもやれるやろ〜』って笑いました。息子は翌日退職してスッキリした顔。今の会社は人間関係も問題なく、自分に合っているようです」

「私も子どもに逃げ道を作ってあげられる親になりたい」

LINEの親のような両親を持ちたかったと、うらやむ声も多かった。

「いい家族だな。私が仕事で心を病んでいた時に、親が言ったのは『辞めてどうするの? どうせ何やっても続かないよ! 我慢して続けなさい!』でした。わかってくれる人はいないんだ...と絶望して、命を落とすところでした。このことがあってから、誰かに相談された時にはいつも『命をかけてまでする価値のある仕事はない』とキッパリ伝えます」
「うちの親は絶対許さないだろうな。私が夫に殴られて(5回目)脳震とうを起こしたときも、『離婚なんて恥ずかしい! 離婚するなら縁を切る!』って言われたしね。うちの親は、子供の大学・職業・結婚・孫の有無・家持ちかがステータス。自分がうまくいってきた人たちだから、次は子供に矛先が向く。今は孫の学力かな。こういう人(たぶん私もこの人種の子供だからこうなる)を親に持つと子供は大変だよね」

一方で、LINEの両親と同じような親を持って救われたという人も多かった。

「私も仕事は3年続けないと!って思い続けて、パワハラとセクハラに耐えて、頭に円形脱毛症できて、吐血して...。親に相談したら『辞めちまいな!』のひと言で救われたよ。おかしな会社がホワイトになることは絶対ないから、逃げるしかないよ!」
「うちの両親は、どうしてもしんどい時は、学校や仕事でも『休んだらいい』『やめたらいい』と言ってくれました。逃げといえば逃げですが、逃げ道があるということ、親がそれを許してくれるということは、とても安心感がありました。その親が唯一、逃げちゃダメと言ったのが子育て。産後うつがしんどいときに、『1つの命を産んだ以上、逃げずにちゃんと育てなさい。助けられることは助けるから、旦那さんとみんなで育てていこう!』と言われました。私も子どもに逃げ道を作ってあげられる親になりたいと思っています」

(福田和郎)