第163回直木賞を受賞した作家の馳星周氏が15日、北海道からリモートで受賞会見に臨み、喜びを語った。

直木賞を受賞した馳星周氏


芥川賞を受賞した2人の会見の後に登場した馳氏。今の心境を聞かれ、「受賞の知らせを聞いてからこれ(=自分の会見)が始まるまで長かったです(笑)」とギャグを飛ばしたが、報道陣の反応が聞こえなかったのか、「あっスベった?」と不安になって確認した。

7回目の候補で受賞となった今作『少年と犬』について、「動物を出す小説がずるいっていうのは分かってます」とした上で、「でもずっと犬と暮らしているので、書きたいというより書かざるを得ないんです。今回の小説の中にもあるんですけど、動物っていうのは神様が人間に遣わせてくれた生き物。動物がいなかったら人間は傲慢になるだろうと思ってるので、そこを僕なりに書きたかったんです」と強調。

続けて、「本当に動物を出すのはずるいと思ってます、分かってます。でも書きたかったんです、許してください」と重ねて訴え、報道陣を笑わせた。

2年前から夏は故郷である北海道・浦河で過ごしている馳氏。「直木賞というのはこういうものなんだよ、というのをみんなで分かち合おうと思って」と、地元の人たちと一緒に結果を待っていたそうで、実際に受賞の知らせを受け、「僕が競馬のGIレースを勝ったように喜んでくれています」と歓喜の様子を伝えた。

芥川賞は、高山羽根子氏と遠野遥氏がW受賞。高山氏は「もう少し書いても大丈夫だと思えることができたので、ホッとしました」、遠野氏は「驚いたままで緊張して、状況に頭が追いついていないです」と、率直な心境を語っていた。

高山羽根子氏


遠野遥氏