(写真=Damir Khabirov/stock.adobe.com)

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新型コロナの影響で多くの企業が窮地に立たされている中、新しいサービスで利益や価値を創出している企業や個人事業主も存在する。コロナをきっかけに新たに誕生した、あるいは人気が加速したサービスの特徴と背景から、次なるビジネストレンドのヒントを得られるかも知れない。

■コロナ時代の新サービス4選

今回のコロナをきっかけに、これまでになかったニーズや課題が生まれている。それに応える形で注目を集めているサービス4つを紹介する。

● ●1.自分だけのバーチャル・ストリート・ショッピング「Streetify」

世界中にオンライン・ショッピングモールサイトは多数あるが、自分のお気に入りの店だけを集めたバーチャル・ストリート・ショッピングが楽しめるのは、英スタートアップが2020年3月にアプリとWEB版をリリースした「Streetify(ストリーティファイ)」だけだ。少しでも店舗でのショッピングに近い体験とエンターテイメントの要素をユーザーに提供するとともに、割引クーポンやキャッシュバックなどを利用して、ビジネスの集客に貢献するため開発された。

例えば、ロンドンのオックスフォード・ストリートなど地名を入力すると、実際にそのエリアに店舗を構えるリテールやレストラン、ビジネス、銀行などがリストアップされる。ワンクリックで目当てのサイトに移動して商品を注文したり、セール情報やグルーポンなどの割引クーポンをチェックできたりする。

また、すでにアプリやPCに保存しているお気に入リのサイトを「リテールストリート」や「トラベルストリート」などに分類して、自分だけのバーチャルショッピング・ストリートを作り、家族や友人とシェアすることも可能だ。現在は英国、米国、カナダ、インド、オーストラリアのみの利用となっているが、今後さらにグローバルな進出が期待されている。

● ●2.レンタルスペースとして活用する「AirBnBオフィス」

観光客の減少で閑古鳥が鳴いているAirBnBだが、宿泊目的ではなくオフィスなどのレンタルスペースとして貸しだすことにより、利益を上げているホストもいる。テレワーク中「自宅では仕事に集中できない」という人や、格安なフォトスタジオ、ミーティングルームを探しているビジネスパーソンなどに、通常の料金の半額あるいは時間単位で部屋を提供するというアイデアだ。

借りる側にとっても、無機質なレンタルオフィスよりリラックスできる上に、割安で活用幅も広いのではないだろうか。

● ●3.形態にこだわらない「ポップアップ・レストラン」

ショッピングモールや空き店舗、イベント会場などに一定期間出店するポップアップストアは日本でも馴染み深い。そのレストラン版がポップアップ・レストランだ。客席を有しないという点は、パンデミック以前から話題になっていたデリバリー専用レストラン、「ゴーストレストラン」と共通するが、既存の店舗の敷地を利用したり、即席で仮店舗を構えたりするという点が異なる。

例えばシアトルの老舗レストランCanlis(キャンリス)はロックダウンによる一時休業に屈することなく、ドライブスルーのハンバーガージョイントとベーグルショップ、そしてファミリー向けメニューのデリバリーサービスをいち早く開始した。レストランの庭に調理場として輸送用コンテナを設置し、ウェイターやウェイトレスとして働いていたスタッフが、デリバリー係に早代わりというわけだ。

機転の利いた業務転換により雇用を減らすことなく、普段とは違うかたちで利益につなげた好例である。アフターコロナは店舗や客席、伝統、ジャンルといった壁にこだわらず、例えばイベントスペースなどを利用した老舗日本料理店と新星イタリアン・レストランのポップアップ・コラボレーションや、テイクアウト・宅配限定メニューなど、様々な形態の「飲食」が増えるのではないだろうか。

● ●4.ARビューティーアプリ「YouCam Makeup」

AR(拡張現実)ビューティーアプリ「YouCam Makeup」は、インスタ映えする加工機能満載で、世界中の女性から大人気となっている。写真をアップロードすると、いろいろなメイクやヘアスタイルなどをバーチャル体験できるため、ユーザーは実際の商品を購入する前や店舗に足を運んでサンプル品を試す前に、自分に似合う色や好みのスタイルを試すことができる。

開発元である米ARコンテンツ作成企業Perfect Corpは、コロナの影響でオンライン利用者が急増したことを受け、現在ブラウザプラグイン(アプリケーションソフトに新機能を追加できるソフト)を化粧品ブランドに無料で提供している。化粧品ブランドは、自社のサイトで顧客に直接AR体験を提供することで、顧客とのコミュニケーションの維持やブランド力の強化に役立てることができる。

商品自体は新しいものではないが、「消費者とブランドの橋渡し役」というポジションを強化することで、ユーザーとクライアントの両方の増加につなげるという発想だ。

■コロナ時代の新サービスに求められる要素とは?

以上の例が示すように、コロナ時代のトレンドとなる可能性を秘めたビジネスは、いずれも「発想の転換」から生まれている。時代の変化に合わせて既存の商品やサービスを効果的にアレンジすることで、状況に関わらず所得源を枯らさないための工夫が成功のポイントだ。

インターネットを利用したサービスは利便性が高く、広範囲な消費者をターゲットにできるというメリットがあるが、ビジネス路線に走りすぎると無機質で味気ない印象を与えかねない。消費者の興味をひきつけると同時に良質なサービスを提供することで、顧客 ロイヤリティー(顧客がブランドに対して感じる信頼、や愛着)の獲得につながる、バランス良い戦略が必須だ。

文・アレン琴子(オランダ在住のフリーライター)